映画「第九条」 これはすごい映画です!!
近未来の日本。政府が憲法改正をめざし、国民の声を聞くために各年代ごとに諮問会議を設置したという設定。映画の舞台は20代の諮問会議。集まったのは無作為に選ばれた12人の若者。9条維持か9条破棄か。議論は維持・破棄6対6のまま白熱していく。
12人の出演者による議論だけで構成された映画ですが、「憲法改正」をめぐる現代の日本社会を見事に反映した造りになっていると思います。憲法成立史を語るのは9条破棄派の弁護士、破棄を強く主張するのは防衛大学校の学生と軍事オタクの二人、そして9条維持を強く主張するのはNPOの国際ボランティア団体の職員。そして破棄派には大工やロックミュージシャンなどの青年。一方維持派は子どものいる主婦や非正規労働者、看護師など。
さまざまな論争が闘わされる。押しつけ憲法論、「大東亜戦争」は侵略戦争だったのか自衛戦争・解放戦争だったのか、9条があったから「拉致」は防げなかったのか、日米安保のおかげで日本は平和なのか等々。
9条破棄派は声が大きく、攻勢に出ているようにみえます。対する9条維持派はしゅんとして「とくになにもありません」と小声で答えるなど自信なさげです。維持派の人たちは、あくまで9条を守ることにこだわりますが、守勢に立たされているのは否定できません。
ところが両者の対立が極まったクライマックスシーンで、それまでほとんどしゃべらなかった森レイ子の扮する鈴木千恵(工場労働者)が静かに口を開き、やがてそれは力強いアジテーションになり、他の参加者を圧倒していきます。
その力強い言葉とは、憲法前文そのものなのです。
第九条の意味をあらためて心に刻むことが出来た映画です。是非ご覧下さい。
シアターセブン(阪急十三駅下車)
9/24(土)~9/30(金) 14:40(~16:03終)
10/1(土)~10/7(金) 11:00(~12:23終)
(オフィシャルサイト)https://dai9jo.localinfo.jp/
地味な工場労働者鈴木さんが語った渾身の言葉とは・・・
(ハンマー)