「中国や北朝鮮が攻めてきたらどうするのか」「攻撃されたら米軍基地、自衛隊がなくてどうやって守るのか」--これは「抑止力論」「自衛論」として、戦争法でも、沖縄基地問題でも、改憲問題でも、絶えず持ち出されます。これに対して反戦平和運動の側が十分に反論しているとは言えません。「攻められたときは自衛隊を利用する」「専守防衛で対抗する」「それは個別的自衛権の行使だ」等々。この問題を持ち出されると、足並みが乱れ、弱点が露呈するのが現状です。
これに対しては、本当に「中国や北朝鮮が攻めてくる」状況にあるのか、実際に戦争の危機を煽っているのは誰なのかを問題にしなければなりません。
--例えば、米軍による「自由航行権」を名目とした対中挑発と空母打撃群の南シナ海投入があります。この常軌を逸した軍事行動こそ、中国に対する危険きわまりない軍事威嚇そのものです。日本政府は40年もの間,日中合意の土台をなしてきた「尖閣諸島棚上げ」政策を放棄し、国有化を断行し、対中関係を一方的に断ち切りました。それと同時に、中国周辺海域における米軍の軍事的優位を確立するために、沖縄と南西諸島を軍事要塞化し、中国海軍を大陸沿岸に封じ込める計画を推進し、対中軍事挑発を強めています。
--北朝鮮の核実験とロケット発射は、北朝鮮を侵略し崩壊させることを視野に入れた米軍事戦略の転換、金正恩抹殺=「斬首作戦」まで振りかざした米韓合同軍事演習が生み出した脅威への対抗策に他なりません。
そもそも、中国と北朝鮮が日本に本格的・全面的に侵攻する能力も理由もありません。中国は繰り返し、米欧諸国の対外侵略や武力干渉に真っ向から反対し「民族自決」「不介入」を対置してきたし、米中関係の対話と緊密化を訴えています。北朝鮮も繰り返し、米朝対話と戦争状態の終結、平和条約締結を求めています。それに正面から応えず、軍事的対決を前に出し、軍事的脅威を与えているのは日米の側なのです。
(ハンマー)