改憲の危険シリーズ 緊急事態条項(1)
安倍政権は、戦争法の制定によって戦争する国へ一歩踏み出すと共に、さらに憲法そのものの改悪へと進もうとしています。現時点で、「緊急事態条項」の新設を表明する一方、9条自体の改憲にも言及しています。危険極まりありません。緊急事態条項は憲法を停止し、国民の権利を奪って独裁体制を敷くもので、「お試し改憲」どころではありません。決して許されません。安倍政権の改憲の危険についてシリーズで掲載します。
憲法の停止--平和条項も、国民主権も、民主主義条項も全て中止
「緊急事態条項」新設は、安倍政権が最優先課題とする戦争国家作りと国民の総動員体制、市民の諸権利剥奪、反政府運動弾圧、メディア統制と言論圧殺などを、首相の独裁権限のもとで遂行することを可能とする恐るべき改憲です。
「緊急事態」が発動されれば、戦争放棄の9条も、数々の人権条項もすべて白紙となってしまいます。憲法を停止し、憲法に反する法律の策定も首相の独断で思いのまま、すなわちすべての権力を首相官邸と閣議にゆだねる、「立憲主義」の完全な否定です。
緊急事態条項は、自民党が2012年に発表した日本国憲法改正草案の第9章98条、99条に書かれています。その中身は以下です。
自民党の「改憲草案」で書かれている緊急事態条項の中身は以下
①内閣総理大臣による緊急事態の宣言。
②緊急事態発動の要件は
a)「我が国に対する外部からの武力攻撃」、b)「内乱等による社会秩序の混乱」、
c)「地震等による大規模な自然災害」、
d)その他の法律で定める緊急事態の4つ。
③内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる。必要な予算措置や条約締結も可能。
④憲法14条、18条、19条、21条をはじめとする人権の制約、権利停止。
⑤国民や地方自治体の国の命令への従属義務。
⑥緊急事態発令期間は100日だが、首相の判断で際限なく延長が可能。
※日本国憲法改正草案(自民党)参照
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf
「緊急事態に必要」は詭弁
安倍政権は、「首相非常大権」を許す「緊急事態条項」の必要について①大規模災害時の迅速集中的な対応の必要と②緊急時の国会議員不存在への対応の二点を上げます。ところが災害時の迅速対応は「災害対策基本法」「災害救助法」等がすでに存在しています。緊急時の国会は憲法54条に規定された参院の緊急集会が遂行する規定があります。いずれも全く根拠となりませなん。詭弁です。政府が本当に「必要」と考えているとしたら、それは憲法を一時停止し国会も国民の諸権利も無視できる独裁権力を得るために必要ということなのです。
(ハンマー)