国連は今こそベネズエラの危機に声を上げ、仲介と和平の提案をすべきだ
アルフレッド・デ・ゼイヤスから国連事務総長、国連人権高等弁務官への公開書簡
(1)元国連特別報告者でベネズエラへの国連特使であったゼイヤス氏がグテレス国連事務総長とバチェレ国連人権高等弁務官に送ったベネズエラ問題に関する公開書簡(2月23日付け)が、訳されてベネズエラ大使館のWEBサイトで紹介されている。
http://venezuela.or.jp/news/2159/ 参照
(2)ゼイヤス氏は両氏に、ベネズエラが危機に陥っている中、今こそ声を上げ、仲裁と和平に向けて具体的な提案を行うよう呼びかけている。彼は特定の場所、地域及び国際的な平和に貢献する条件を作り出すこと、武力紛争を回避し、平和的解決を達成するための仲裁及び交渉に向けて予防活動や不断の努力を行うことこそ、国連の最も崇高な任務だと想起を促している。
(3)そして、ベネズエラをめぐってジョージ・オーウェルが描いたような言葉の腐敗、人権を手段として利用し、それを「武器」として用い、そして今や人道援助すらそのように利用している状況が見られると憂慮を表明している。まさにトランプ政権と米欧政府がやっていることに対する痛烈な批判である。
(4)ゼイヤス氏は2017年11月から12月に、ベネズエラへの国連特使として派遣された。その際、当時の国連の勧告にベネズエラ政府が従ったことを思い起こさせ、ベネズエラ政府がいま現在抱える危機に関連して人道支援を正式に要請している、彼らを失望させてはならないと強調する。そして米国がコロンビアに輸送した人道支援物資や衣料品をすべて引き渡し、国連や中立組織を通じて速やかに配布すべきだと強調する。 ベネズエラ政府は中立で友好的な政府からの支援を歓迎し、要請している。彼は、援助は条件を付けずに誠意をもって提供されるべきだという。トランプ大統領やグアイド氏に聞かせるべきであろう。
(5)最後にゼイヤス氏は、違法な戦争だった2003年のイラク戦争の準備段階と不吉な類似点があると警告し、ベネズエラに対する絶え間ない脅威が国連憲章の第2条4項に違反していることは法学部の一年生にも明らかであると断言する。そして威嚇、経済戦争、金融封鎖及び制裁が米州機構(OAS)憲章の第3条の原則にも反すると厳しく批判している。
ベネズエラ政府寄りの人ではなく、中立的な専門家、元国連の報告者がベネズエラ問題をこのように見ていること、公に声を上げていることは重要である。もちろんそれは当たり前の見方であるのだ。しかし、われわれの周りでは「中立的」「客観的」と自称するマスコミ、メディアが自覚することなくトランプ政権の見解を口移しで垂れ流すだけで、自分の頭では考えず判断しない悲惨で堕落した状況の下では、彼の意見は貴重で大きな意味を持つのである。(W)