政府は8日の閣議で、憲法9条解釈として集団的自衛権行使に積極推進の立場を取る小松一郎氏を内閣法制局長官に決定した。異例の人事であり、安倍首相主導の独断的人事である。人事面から解釈改憲の道を整備しようというもので決して許されない。日本国憲法の根幹中の根幹である憲法9条の制約を、政府の解釈だけで根底から覆そうというものだ。
※法制局長官 小松氏決定 集団的自衛権容認派(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013080802000243.html
※【社説】なし崩し変更許されぬ 集団的自衛権を考える(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013080902000126.html
8日の朝日新聞は、阪田雅裕元内閣法制局長官のインタビューを載せ、集団的自衛権行使を容認することは、これまで60年以上にわたって積み上げてきた9条解釈、戦後の制約の蓄積を崩すもので決して容認できないこと、集団的自衛権の禁止は9条だけでなく、憲法全体の性格から導き出されていることを明言している。そして国連は集団的自衛権と集団安保を認めていることから、集団的自衛権の行使に道を開けば、国際法で認められたすべての戦争が可能になることに危惧を表明している。
そして注目すべきは、集団的自衛権の行使が持つ危険性を的確に指摘している点だ。阪田氏は、集団的自衛権は「国民にも相当覚悟がいる問題だ」とし、安保法制懇が具体的類型として上げている「頭上を米国向けのミサイルが通過する」「公海上の米艦をどう助ける」などはリアリティがないとする。そして実際に「集団的自衛権の行使」が問題になる場面とは、過去の事例からしても「現実に海外での戦闘に加われる」という点にあることをはっきりと言っているのである。まさにイラク・アフガニスタン戦争のような海外侵略戦争に、自衛隊が米軍とともに「武装勢力の掃討」など戦闘行為が出来るということにほかならないのである。
※内閣法制局の元長官、集団的自衛権めぐる動きを批判
http://www.asahi.com/politics/update/0809/TKY201308080462.html
※阪田雅裕・元内閣法制局長官との一問一答:1
http://www.asahi.com/politics/update/0809/TKY201308080468.html
※阪田雅裕・元内閣法制局長官との一問一答:2
http://www.asahi.com/politics/update/0809/TKY201308080469.html
※阪田雅裕・元内閣法制局長官との一問一答:3
http://www.asahi.com/politics/update/0809/TKY201308080470.html
(ハンマー)