朝日新聞が連日のように、意図的に中国の脅威を煽る異様な記事を朝刊一面トップ(大阪)で掲載しています。
12月30日の朝刊は、「中国軍が離島上陸計画--南シナ海「領有」へ圧力」との見出しで、中国が空爆や大型揚陸艦によって南シナ海の離島への侵略を計画しているかのような記事の作りになっています。ところがこの情報の元は「広州軍区関係者」ときわめてあいまいで、記事そのものをみても昨年初めに計画が作られたというだけで「実行に移す可能性は低」いとしています。しかもこの「関係者」なる人物は「島を奪還できる能力」を見せつけるといっているにもかかわらず、記事では“他国が領有している島に上陸し奪取する”と他国領土に侵略するかのような「拡大解釈」して説明しています。そして、昨年5月や今年の7月の中国の軍事演習や中国軍関係者の発言などの「状況証拠」をもとに勝手にシナリオをつくりあげているのです。明らかに記事は、中国の脅威、特に領土問題での脅威を煽るために作られています。記者の主観であることを隠すためにあいまいな情報源を提示して権威づけるというのは、扇動記事の典型的な手法です。社会的な影響力の大きい朝日新聞がこのような記事を朝刊トップに掲載することに強い違和感を感じます。
※空・海から奇襲…中国軍が離島上陸計画 領土交渉に圧力(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/1229/TKY201012290368.html
また12月27日にも朝刊トップで「中国機 南西空域を圧迫--自衛隊機へ接近・追尾」という記事を掲載しています。この記事では東シナ海上空で中国機が防空識別圏まで入って、自衛隊機に恫喝を加えてきているととらえてしまいますが、記事を読めば、そのような事例が尖閣問題が起こってからのことであること、そして日米合同軍軍事演習「キーンソード」を警戒してのことであることがわかります。領土問題棚上げの日中合意を破って日本の海上保安庁が中国漁船船長を逮捕し、新防衛大綱でも南西重視を露骨に打ち出し中国と領土問題を争っていく姿勢を示したことが背景にあるのは間違いありません。仮に記事の事例が事実であるにしても、「尖閣問題や日米軍事演習で南西空域の緊張高まる」くらいの見出しであってしかるべきでしょう。
※東シナ海、中国軍機急増 尖閣事件後、緊急発進相次ぐ(朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/senkaku/TKY201012260333.html
上記の二つの記事はスクープでも何でもないにも関わらず(記事の内容が正しいとしても、12/30の記事は昨年はじめの計画であるし、12/27の記事はここ数ヶ月の傾向である)、きわめてセンセーショナルに取り扱われているのも異様なところです。
さらに朝日新聞は12月27日付朝刊の8面、9面全面を使って「検証 中国の海洋戦略」という特集を組み、米太平洋軍ウィラード司令官のインタビュー記事などを載せています。その記事では、「泳ぎ出る巨龍 9つの門」として、中国海軍が海洋に展開するための9つのルートが提示し、その中で、千島列島より西北太平洋に抜けるルートから台湾海峡から太平洋に抜けるルートまでの6つが日本列島に関わっており、中国を軍事的に封じ込めるために日本列島を防波堤として使わねばならないかのような、かつての不沈空母を連想させる内容になっています。海空戦力を統合的に使う米軍の「エアシーバトル」戦略の中で、日本が中国と本格的な対決をする一翼を担うことを奨励するようなきわめて危険な内容です。
尖閣問題で、マスコミはおろか一部の民主勢力までが「固有の領土論」で民族排外主義的傾向を強める中、警戒が必要です。
(ハンマー)
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同時に、あらためて武器輸出三原則の意義を再確認できたと思いました。