ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.5
( 2021年5月27日 )
(コロンビア要点)
・ ドゥケは追い詰められつつある。前例のない76%の不支持率。 / 政府と全国ストライキ委員会との交渉が一定の進展。だが、政府は合意への署名を延期。今回の抗議行動開始後1ヵ月の5月28日に大規模抗議を予定。首都への終結を呼びかけ。
・ MRonlineの論評「2021年の危機のルーツ」で、ドゥケが税パッケージを課そうとした理由、その背後にある経済的推進力、彼の統治の破壊的な社会的影響について、かなり詳細な考察がなされている。【本文の後に全訳掲載】 / そのいくつかの要点は次の通り。 1)ドゥケの背後で前大統領ウリベが実権を握っている。 2)COVID-19の危機を利用して新自由主義改革をいっそう推進しようとした。 3)コロンビアの支配階級は米英帝国主義と緊密な同盟関係。 4)Covid蔓延以前から労働者階級の生活水準が低下。それがさらにいっそう悪化。公式貧困率が2015~20年の間に36.1%から42.5%に。 5)ドゥケの改革パッケージの原因は財政赤字。累積債務の悪化。2018年のGDPの47%から21年には約67%に。 6)新植民地主義国に典型的な、深い構造的問題。国の歳入の大部分が国外への利益流出で失われている。主に2つの理由。大企業に対する法人税減免と対外債務返済(特に高い金利による利払い)。 7)人民の大規模な抗議を引き起こした税制改革は国際金融機関がプッシュしていた。 8)コロンビアは戦争国家。米軍司令部と緊密な関係。 9)支配システムへの反対を示している人々をターゲットにした粛清。それは新しい段階に。主に新世代の若者をターゲットに。 10)特に2018年以降、生活水準が急激に低下。労働者階級の若者たちは失うものがなく、人民の抵抗闘争の最前線に。 11)暴力的弾圧は国際的・国内的に完全な免責の下で行われている。 12)国家財政危機、法人税の未収、多額の債務返済、莫大な軍事予算、これらは帝国主義との関係からきている。コロンビアの国家暴力から利益を得ている帝国主義勢力との闘いに取り組む必要がある。
―― ―― ―― ―― ―― ――
(コロンビア)
teleSUR Published 26 May 2021
Colombia: Strike Committee Calls For New Protests Against Duque
(コロンビア: ストライキ委員会、ドゥケへの新たな抗議を呼びかけ)
ドゥケ政権はデモを終わらせる協定の署名を延期した。 / 全国ストライキ委員会(CPN)は、水曜日(5/26)と金曜日(5/28)に新たなデモを行い、イバン・ドゥケ大統領に交渉を続けるよう圧力をかけることを求めた。 / 「金曜日(5/28)は社会的抗議の爆発から1ヶ月を迎える。ドゥケが対話を遅らせるのをやめるように要求するために街頭に出よう」と、中央労働組合(CUT)の委員長Francisco Maltesが述べた。
teleSUR Published 25 May 2021
Rejection to Duque Rises To Unprecedented Highs in Colombia
(コロンビア: ドゥケへの拒絶は前例のない高さに上昇)
世論調査によると、警察の残虐行為、デモ参加者の失踪、人権侵害などで、ほぼ1ヶ月間混乱が広がる中、ドゥケは76%の不支持率に達している。 / イバン・ドゥケはコロンビアの歴史の中で最も不人気な大統領になった。
Prensa Latina 2021.5.25
Progress made in negotiations on protests in Colombia
(コロンビア: 抗議に関する交渉の進展)
コロンビア政府と全国ストライキ委員会は、火曜日(5/25)、抗議行動の行使の保証に関する予備的合意に達したと、グループの代表者が述べた。 / 代表者は、声明の中で、9日間の協議の後、動員を保証するための一般的な枠組みを提供する予備的合意に達したと説明した。それは、委員会が提示した緊急文書に関する協議の開始を可能にする。
ラテン・アメリカの革命的大衆闘争 2021.05.26 Wednesday
コロンビア:ストライキ委員会と政府が事前合意 http://latinpeople.jugem.jp/?eid=1661
コロンビア政府とストライキ委員会が事前合意に達する
2021年5月25日 teleSUR発
・・・ 4月28日以来、警察は全国ストライキに激しい弾圧を加えてきた。しかし警察は、新自由主義政策に対してコロンビアの人々が27日連続で街頭デモによって抗議することを阻止できなかった。
Prensa Latina 2021.5.23
Night of terror in Colombia due to police repression
(コロンビア: 警察の弾圧によるテロの夜)
首都ボゴタで、平和的な抗議者に対する反暴動機動部隊(ESMAD)による激しい弾圧の後、40人以上のコロンビア人が負傷したと、複数の情報筋が日曜日(5/23)に報告した。
teleSUR Published 22 May 2021
Colombia: Truth Commission To Investigate Repression in Cali
(コロンビア: 真実委員会、カリでの抑圧を調査)
Prensa Latina 2021.5.22
Human Rights defenders seek to counteract crisis in Colombia
(コロンビア: 人権擁護者、危機への対処を追求)
コロンビアの人権団体は、国の現状に対処する提案を共同で作成するために、市民との対話のスペースを確立する。
teleSUR Published 21 May 2021 (写真:大規模デモ byツィッター)
Colombia's National Strike Committee: Protests Continue
(コロンビア: 全国ストライキ委員会「抗議は続く」)
全国ストライキ委員会は、金曜日(5/21)、人権侵害と警察の残虐行為の中で抗議行動が24日目に入り、動員は続けられることを確認した。
teleSUR Published 21 May 2021
New Colombian Foreign Minister's Trip to the US Questioned
(コロンビア: 新外相の米国訪問が疑問視されている)
Prensa Latina 2021.5.21
Mobilizations in Colombia still ongoing with no solution in sight
(コロンビア: 解決が見えないまま動員はまだ続いている)
4月28日から国内では毎日大規模な抗議行動が行われており、多様な幅広い要求が生まれている。 / 抗議者は、和平合意の履行、新自由主義的な規制の撤回、警察の暴力の停止、反暴動機動部隊の解体、大学生のための授業料ゼロ、などを要求している。 / これまでのところ、ストライキに引き金となった税制改革法案の撤回、議会で保健医療改革を棚上げにすること、2人の閣僚の辞任、若者の雇用プログラムの発表に成功した。
MRonline Posted May 20, 2021 by Andy Higginbottom
The roots of Colombia’s crisis 2021 (コロンビア: 2021年の危機のルーツ)
【MRonlineの前書き】 貧困と抑圧に反対するコロンビア人民の社会的爆発が起こっている。ドゥケ大統領の「税制改革」パッケージは、人民の忍耐を破る最後の一滴だった。持続的な大衆的抗議の1970年代以来最大の高まりは、この国を完全に極めて重大な瞬間へと至らせた。コロンビアの未来は不安定なきわどい状況にある。 / この記事では、ドゥケが税パッケージを課そうとした理由と、その背後にある経済的推進力を見ていく。また、進歩的な改革と偽って提示されたものに対するこのような深刻な抵抗に人々を導いた、彼の統治の破壊的な社会的影響のいくつかを示す。 【後に全訳】
teleSUR Published 20 May 2021
Colombian National Strike Makes Duque To Engage In Dialogue
(コロンビア: 全国ストライキ委員会はドゥケに対話を強要)
ストライキ委員会は、都市を非武装化し平和的なデモ参加者の虐殺を止めるよう政府に圧力をかけ続ける。 / コロンビアのイバン・ドゥケ大統領に対する23日間の連続抗議の後、全国ストライキ委員会(NSC)は、木曜日(5/20)、ボゴタで政府と新たな協議を行うと発表した。
MRonline Posted May 14, 2021 by Dan Cohen
Meet the Neo-Nazi advising Colombian police on how to break the National Strike
(コロンビア警察にゼネストを破る方法を助言するネオナチに出会う)
【要点】 前回の短報No.4に全文掲載済
・ コロンビアはストライキ中である。そして、警察と軍隊はそれを粉砕するために人民をテロで脅迫している。 / イバン・ドゥケ大統領が、中産階級と貧困者に壊滅的な緊縮財政措置を課す税制改革を発表したとき、ストライキは始まった。 / ドゥケの提案は、国際投資家たちを満足させるために債務を返済することを目的としていた。
・ コロンビア人の43%が貧困状態にあり、15%が極度の貧困状態にある。 / 税制改革案が引き金となって、深く蓄積してきた不満が爆発した。
・ ドゥケ政府は、FARCとの内戦を終結させた2016年の和平協定を守らず、社会的指導者、先住民族の指導者、人権擁護家、元FARC戦闘員を絶滅させようと攻撃している。
・ ネオナチがコロンビア軍に助言する フラストレーションは水面下で泡立っていた。ドゥケの緊縮財政の提案は社会を沸騰させた。 / コロンビア政府は、ますます極右のファシスト的独裁政権のように行動している。 / チリのネオファシスト党「New Homeland Society」の元リーダーがコロンビア軍に招待され、蜂起を打ち負かす方法についてプレゼンテーション。コロンビアで最も強力な人物で現在の大統領イバン・ドゥケを操るマスターであるアルバロ・ウリベ前大統領がそれに共鳴。
・ コロンビア警察の超暴力 今回の抗議が起こった最初の日の後、ウリベは武器を使うよう警察と兵士に呼びかけるツイート。
・ ドゥケ、ウリベ、麻薬国家 米国は、「プラン・コロンビア」でコロンビア政府に軍事援助。 / 国際的な麻薬カルテルはこれまで以上に強力で、コロンビアの国家、警察、軍のほぼすべての側面を管理している。
・ ドゥケは完全な軍事化を命じる コロンビアは民主主義を装った麻薬国家。しかし、抗議行動に対する超暴力的な取り締まりで「民主的な」見せかけを脱ぎ捨てている。
・ 準軍組織が抗議者を攻撃する / 警察は準軍組織を支援する ストライキの期間を通じてドゥケ政府は「平和的な抗議を許可している。破壊者やテロリストと戦うために軍事化が必要である」と主張してきた。 / 「破壊者とテロリスト」の物語は最初から嘘なのは明らかだった。 / 彼らの恐ろしい戦術が失敗し、ドゥケとウリベの殺人的な鉄の拳はストライキを破ることができなかった。これからどうなるのかわからない。何でも起こる可能性がある。
Peoples Dispatch May 14, 2021 by Peoples Dispatch
Colombians continue to resist as national strike completes 15 days
(コロンビア: 全国ストが15日続いたがコロンビア人民はまだ抵抗を続ける)
【要約】
・ 残忍な警察と軍事的弾圧に耐えながら、数十万人のコロンビア人が、生活のため、平和と正義と民主主義のために、新自由主義と暴力に反対して街頭に出続けている。 / 4月28日以来、新自由主義政策に反対する全国ストライキ。
・ 財政赤字の資金を労働者階級から調達することを目指した税制改革法案。5日間の大規模な抗議の後ドゥケは撤回を発表。 / コロンビア人民は国が直面しているもっと広範な問題に取り組むことを要求して街頭にとどまり続けている。
・ 新自由主義と暴力を拒絶。生活、平和、正義、民主主義を擁護。 / さまざまなセクターがさまざまな要求のセットを掲げてデモをおこない、お互いの主張・要求で連帯を示し合った。
・ 総じて、都市からの軍隊の撤退、抗議者に対する残忍な警察と軍の弾圧の終結、抗議する憲法上の権利の尊重、およびここ数日間に国家治安部隊によっておこなわれた人権侵害の徹底的な調査を要求。
・ 警察と軍はさまざまな都市での平和的なデモを激しく弾圧。
・ 地方農村でもストライキ コロンビアでのストライキの多くはこれまでは都心部に集中してきたが、4月28日以降は、農村の農民組織、先住民組織、およびアフリカ系住民組織の広範な参加。都市での動員に参加したり、地方の主要な幹線道路の封鎖を組織したりした。 / 農村地帯は歴史的に60年以上の内戦の戦場。多国籍企業にはコロンビアの莫大な天然資源が略奪できる地。
・ 人権侵害 4月28日から5月10日までの間に1956件の警察の残虐行為事件が記録された。40人の死者、313人の身体的暴力の犠牲者、1,003人の恣意的逮捕、418件の暴力的介入、28人の眼の負傷者、129件の銃撃事件、12人の性的暴力の犠牲者。 / 世界中で社会的および政治的諸組織がコロンビアの治安部隊による過度の武力行使を糾弾し、抗議行動をおこなっている市民の要求に連帯を表明。
―― ―― ―― ―― ―― ――
【全訳】
MRonline Posted May 20, 2021 by Andy Higginbottom
The roots of Colombia’s crisis 2021 (コロンビア: 2021年の危機のルーツ)
https://mronline.org/2021/05/20/the-roots-of-colombias-crisis-2021/
Originally published: Colombia Solidarity Campaign (May 17, 2021)
貧困と抑圧に反対するコロンビア人民の社会的爆発が起こっている。ドゥケ大統領の「税制改革」パッケージは、人民の忍耐を破る最後の一滴だった。持続的な大衆的抗議の1970年代以来最大の高まりは、この国を完全に極めて重大な瞬間へと至らせた。コロンビアの未来は不安定なきわどい状況にある。
この記事では、ドゥケが税パッケージを課そうとした理由と、その背後にある経済的推進力を見ていく。また、進歩的な改革と偽って提示されたものに対するこのような深刻な抵抗に人々を導いた、彼の統治の破壊的な社会的影響のいくつかを示す。
イントロダクション
イバン・ドゥケは並の二流政治家であり、今でも国の真の支配者である超右翼の前大統領アルバロ・ウリベの歩兵にすぎないと、多くのコロンビア人はコメントしている。2018年に就任したとき、ドゥケは企業への減税を約束した。現在のパッケージは、実際にはドゥケの3番目の税制改革である。COVID-19が大打撃を与えたとき、ドゥケは、その危機を良い機会として、新自由主義の議題をさらに推進することを決定した。当面、最新の提案は取り下げられたが、新自由主義の新たな議題そのものは取り下げられてはいない。
全国ストライキの中心にある社会運動は、当然のことながらドゥケの辞任を求めている。だが、それでさえ十分ではないだろう。ドゥケは、殺人的な新自由主義的・新植民地的同盟の先頭に立っているだけである。
コロンビアを支配する緊密な同盟は、一方ではエリート経済グループ、腐敗した政治家、軍、および麻薬組織・準軍組織の補助部隊集団、これらで構成されるこの国自身の支配階級と、他方では米軍と英国に支えられた国際的な大企業との、相互依存関係である。このあと示すように、これらのグループの利益は、コロンビア人民の大多数を犠牲にして達成されている。
この分析は、内部と外部をつなぐもので、私たちが提供する必要のある連帯にとって大きな意味をもっている。
貧困の急激な増加 / 崩壊した社会
Covid危機は、コロンビア経済の景気後退を生じさせ、国内総生産(GDP)で測定して生産量は6.8%減少した。パンデミックのさなかに、いっそうの階級の分極化があった。さらに、すべての指標は、Covidが蔓延する前でさえ、労働者階級の生活水準が低下していたことを示している。公式の貧困率は実際の貧困の程度を過小評価しているが、それでも2015~20年の間に36.1%から42.5%に跳ね上がった。都市部では、貧困の増加は本当にひどく悪化していて、人口のさらに10.8%がそれに加わる。公式の数値では、ここ3年間で570万人以上のコロンビア人が貧困に追いやられている。
国の歳入は国外への莫大な利益の流れのために失われている
ドゥケの改革パッケージの直接の原因は国の財政赤字である。2020年、コロンビアの税収はGDPの20%だったが、一方、国の支出はGDPの28%だった。これら2つの額のギャップ、GDPの8%が、年間の財政赤字だった。毎年の赤字は国の累積債務を悪化させ、それは、ドゥケ政権の下で2018年の47%から2021年にはGDPの3分の2(約67%)に急増した。
ドゥケの最新の税制改革案は、増税と国家支出削減の両方を実現するものである。しかし、富が絶えず流出している新植民地主義国に典型的な、深い構造的問題がある。特に、国の歳入の大部分が国外への利益流出によって失われているためである。その主要な2つの形態は、まず第1に、地元企業か多国籍企業かを問わず、大企業の法人税控除。第2に、銀行への債務返済。これらを順に見ていく。
大企業が実際に支払う法人税の実質税率は、利益の25%という公式の税率よりもはるかに低い。鉱業多国籍企業は、2013年以降さまざまな免除制度が考慮されて、約10%しか支払っていない。石油会社はもっと少なく、2015年以降ほぼ2%ほどである。アルヴァロ・パルドーが年9億ドルの「法人税サービス」と呼んでいるものが、「国の財源を出血させている本当の大きな穴」につながっている。
2013年の商品ブームの最盛期には、採掘産業は政府歳入の3分の1を提供したが、それでも目を見張るような利益を維持していた。たとえば、El Cerrejón 炭鉱は、所有企業3社(ロンドンを拠点とするAnglo-AmericanとBHP Billitonおよびスイスの多国籍企業Glencore)に、少なくとも92億米ドルの利益をもたらした。しかし、その後、大企業は納税額を削減し、法人税は現在、政府歳入の8%しか提供していない。
ある概算では、コロンビアは法人税の濫用(abuse)により年間116億米ドル以上を失い、ラテンアメリカではブラジル(146億ドル)に次いで2位だが、しかし、一人当たりベースではずっと上をいく。失われた法人税は、コロンビア人一人当たり毎年232ドルである。別の言い方をすれば、失われた税金は国の公的保健衛生支出全体の72%に相当する。
コロンビアで税金として支払われてはいないお金の多くは、米国と英国に流れ込んでいる。ロンドンのシティは、世界中の法人税濫用において主要な役割を果たしているが、見過ごされている。それは、オフショア・タックス・ヘイブンの張りめぐらされたクモの糸の中心にあって、「世界が毎年法人税の濫用によって失う税金2,450億ドルの28.5%に責任がある」。
以上の法人税の問題からさらに、第2の大きな問題がある。それは、公的債務と、それを完済するまでの非常に高い金利の脅威である。国の収入はここでも直接流れ出す。そのために国の収入がどの程度まで公に利用できなくなるかということは、2021年のコロンビアの予算に次のように示されている。「営業費用支出59% / 投資18% / 公的債務および利子支払い23%」
集められた全国家収入の約23%は直接銀行に送られる! 債務支払いは年間188億米ドルである。なぜ政府は借金の支払いを拒否しないのか? それは、銀行、国内企業、多国籍企業と結びついた階級の利益を表しており、富を搾取する受益者に立ち向かうよりも、自国民の搾取と犯罪化で対処することを好むからである。not to say care anything about the total environmental destruction that is built into the extractivist regime.【この一節はよくわからない。】
今一度ねじを巻く国際債権者
ロンドンのフィナンシャル・タイムズ(FT)のボゴタ特派員によって明らかにされたように、抗議を引き起こした税制改革は国際金融機関がプッシュしていた。
イバン・ドゥケ政権は、コロナ・ウイルスのパンデミックの最中に台無しになった経済を安定させるための財政改革パッケージを通過させようとしている。そのことで、コロンビアの投資適格国としてのこの10年の地位が試される。
「経済を安定させる」ためには、政府が財政赤字を埋めるために増税と国家支出の大幅な削減をおこなうことが必要であると、FTの記事は説明している。債務に対して高い金利を課されることを避けたいのであれば、そうする必要がある。思い切った抜本的な措置が取られない限り、信用格付け機関はコロンビアをジャンク債に近い状態に格下げするだろう。(FT記事の見出し:メキシコ、チリ、ペルーを含むラテンアメリカの投資適格国の小グループからコロンビアを降格)
もちろん、FTは、ウォール街とロンドン・シティの信用機関がコロンビア政府やその他世界のどこに対しても条件を設定する権利に疑問を呈してはいない。それでも、その分析は、一方の側の国際的な金融力の中心を、もう一方の側のカリの街の不可能な生活条件やコロンビア全土の状況と結びつける一連の統制への考察はしていない。
税制改革計画は、2022年以降毎年25.4兆ペソ(68億米ドル)を調達することであり、そのうち3兆ペソ(8億米ドル)のみが企業からのものであり、残り(60億米ドル)は国民への課税からのものである。調達される追加歳入の約5分の3は、国際的な信用機関の要求に応じて財政赤字を削減するために事前に割り当てられ、債務を返済するためにさまざまなサービスが効果的にカットされる。
不平等を拡大し固定する
この「改革」を既存の不平等の中に置いて見てみるとどうなるか。コロンビアの最低賃金は、交通費を含めて月額269米ドルに過ぎない。所得の分配は大きく偏っている。「国内の被雇用者で最低賃金の2倍以上を稼いでいるのは12%のみである」とLibardo Sarmientoは述べている。コロンビアは世界で最も不平等な所得分布の国であり、上位10%が全所得の50%を占めている。富の不平等はさらに大きく、上位10%が富の95%以上を所有している。国のほとんどすべての物質的富は、超富裕層と超々富裕層に集中している。
改革で提案されている最大9%の所得税増税は下位中産階級向けである。つまり、月額約1,500ドルの収入がある人々である。しかし、税率の引き上げは、月収が約8,000ドル以上の上位10%の所得者では2%にすぎない。最大月額900米ドルの労働者階級の収入は所得税の増加を招かないが、しかしそれでも労働者階級の世帯は、コンピューターや携帯電話と、米やパスタなどの主食を含め、付加価値税(VAT)に該当する広範な製品が19%価格上昇することに見舞われるため、かなり悪化するだろう。貧困な人々は食べるのをやめた場合にのみ良くなる! ソーシャル・メディアを介したコミュニケーションは使うのをやめた場合にのみ良くなる!
したがって、ドゥケが「社会的連帯」と名付けているにもかかわらず、このパッケージの全体的な効果は逆であり、進歩的ではなく後退的である。つまり、貧しい人々と中産階級の方に金持ちよりも大きな増税がおこなわれるということである。提案されたパッケージがなくても、コロンビアの所得税は「最も裕福な人々に対して非常に寛大」である。要するに、このパッケージは、不平等を減らすのではなく固定化させるものである。
国家と国全体の軍事化
コロンビア国家は福祉国家ではなく戦争国家である。国家の暴力は、今日再び私たちが目撃しているように、主に自国民に対するものであるが、その一方で、米国(および英国)の帝国主義戦略のひとつの支柱(prop)としてのコロンビアの国際的役割を含めて、コロンビアと米国軍事司令部との間には相互支援というquid pro quo(代償・報酬)がある。
第二次世界大戦の終結とCIAによるJorge Eliciér Gaitanの暗殺以来ずっと、コロンビアの治安部隊は、米軍との緊密な関係を維持してきた。コロンビアは1950年代に朝鮮戦争に参加するために軍隊を派遣した。米国は、キューバ革命の拡大を阻止するために1960年代初頭にコロンビアに軍人を派遣し、1990年代後半には「プラン・コロンビア」の下で再び大規模な形で派遣した。この国家間の軍事協力は、深く根付いており、制度化されており、持続している。悪名高い「School of the Americas」は、ラテンアメリカの他の地域よりも多くのコロンビア人将校を訓練してきた。
米国は、コロンビアに、通常報告されている7つではなく少なくとも40の基地を維持している、とRenán Vegaは指摘している。基地にはさまざまな種類があるが、全体として、そこからベネズエラや南米・カリブ海のどこにでも攻撃を開始するための前方展開地として設定されている。2018年にコロンビアはNATOに加盟した。それは、ラテンアメリカで唯一であり、「グローバル・パートナー」という特別な地位での加盟である。
国は紛争終了後の状況にあると考えられているにもかかわらず軍は削減されていない。それどころか、ドゥケは軍にもっとお金をかけるつもりである。年間106億米ドルのコロンビアの軍事費は、国の支出に占める割合として、ラテンアメリカで依然として圧倒的に最高の水準にある。給与支払名簿には、26万7千人の軍人、18万6千人の警察官、2万4千人の民間人がおり、合計で50万人近くの人員がいる。これに加えて、ドゥケは、米国企業ロッキードマーティンからの新たなF16ジェット戦闘機24機に45億ドルを費やしたいと考えている。その理由は、ベネズエラを上回る優れた空軍力を持つことである。
軍は、国外と同じぐらいに国内でも展開されている。コロンビア軍の3分の1(8万2,000人)の軍人は、「鉱業とエネルギー」大隊(‘mining and energy' battalions)に所属している。それは、これらの抽出産業の、特にこのセクターで優勢である英国を拠点とする多国籍企業の、セキュリティ要件を実施するために鉱山と油田の周りに配置されている。
作戦の結果としての死に対するコロンビア政府と軍の冷淡さは、2021年3月2日の軍事作戦に対するDiego Molano国防相の対応で強調された。軍は、Gauvire県のCalamareにある反対派FARCグループのキャンプを爆撃した。当初の報告によると、爆撃によって少なくとも10人が死亡し、そのうち4人は未成年者だった。Molano国防相の反応は、その若い犠牲者たちは「戦争の機械(machines of war)」であるから消耗品だというものだった。ベテランの調査ジャーナリストHolman Morrisによるさらなる報告では、軍の空爆によって、少なくとも9歳以上の子どもと青年が13人殺されたかまたは「姿を消した」と確認されている。この情報でさえ、公式の謝罪を呼び起こさなかった。
反政府勢力の粛清 / 若者の虐殺
2016年に国家とFARCゲリラの間で和平協定が調印されて以降の、紛争の終了後だと想定される状況で、和平協定の調印ということから前に進んだ状況は何もないと言えるのではないか。極右準軍組織の長年の存在は、かつてなく正当化され、ウリベによって公的国家権力と統合された。その結びつきは、ドゥケの下でさらに露骨になった。国家と極右の準軍事的暴力の結びつきは、社会的および政治的動員を含むあらゆる形態の反政府勢力を排除するプロジェクトにおいて、衰えることなく続いている。和平合意以来、1,200人を超える社会的活動家や環境活動家が暗殺された。先住民、LGBT活動家、女性組織者、アフリカ系コロンビア人、労働組合員、復員したFARCゲリラなどである。
これらのターゲットには明確な論理がある。支配的システムへの反対を示している人々をターゲットとし粛清しているのである。これは継続的な政治的ジェノサイドであり、今や新しい段階に入り、まったく新しい政治世代を、つまり若者をターゲットにしている。
2018年以降の特に都市部での生活水準の急激な低下が、高まっている反乱の引き金のひとつである。現在のシステムは、支援もなく未来もない人生を運命づけられた何百万人ものコロンビアの若者には、まったく受け入れられなくなった。労働者階級の若者たちは失うものが何もないので、人民の抵抗の最前線に身を投じている。その若者たちに、国は宣戦布告し、新たな政治的虐殺=青少年虐殺でその反乱をたたきつぶそうと決めた。
2021年4月28日から5月12日までの2週間の大規模な抗議行動では、国家警察軍によって犯されたと思われる39件の殺人があり、他の多くの形態の身体的暴力が報告されている。最新の報告は、抗議者に対する社会的浄化プログラムを実施する警察についてのものである。
以前の経験からすると、コロンビア国家は、いったんイニシアチブを取り戻したと感じると容赦がなくなる。
コロンビアでの抑圧に対する英国の責任
コロンビアでの警察の暴力は体系的であり、また国際的にも国内的にも完全な免責の下で行われている。ここは、コロンビアでの弾圧を正当化する上で、英国の役割が決定的な支柱となっている領域である。
英国の「ポリス大学」が過去3年間コロンビアの警察官を訓練してきたことが、ちょうどこの時期に明らかにされた。これは、人民の動きを抑制し、英国の多国籍企業の利益と戦略的利益を守ることを目的とした、警察と軍の協力の氷山の一角である。EU離脱後、 英国の野心はさらにいっそう帝国化したので、これらの戦略的コミットメントが容易に弱まることは期待できない。
英国がコロンビアの警察を訓練し素養を身につけさせることをやめさせるように、議員が政府に働きかけることは出発点である。
私たちは、この方向でさらに進む必要がある。最前線のすべての社会運動に十分な支援を提供する必要がある。特に、英国の多国籍企業によって引き起こされた社会的および環境的破壊に直面している運動を、全面的に支援する必要がある。これは、気候崩壊から地球を守ることと直接的につながっている。英国の化石燃料会社は、気候崩壊に対して特に責任がある。
現在の危機は、開かれるべき別の領域を示している。それは、銀行による隠されたコロンビアの富の収奪という問題に取り組むことである。銀行が人々から富を奪うのを止める時が来ている。私たちは、国際的な債務免除を要求するキャンペーンで、コロンビアの悲惨な状況との闘いに加わるべきである。
コロンビアは大詰めに向かっている / ここで反対の態度をとれ
コロンビアの国家財政危機、法人税の未受領、多額の債務返済、莫大な継続的軍事予算、これらの側面のどれもが帝国主義との関係を物語っている。
ドゥケの政府は、債務の支払いを拒否し、軍にそれほど多くを費やさず、そのお金を適切な公衆衛生プログラムに投入することを、やろうと思えばできるのだが。しかしもちろん、それが表現している階級の利益のために、それは行われない。そしてもしそうだとすれば、これまでとまったく同じようにF16などが展開されることになるだろう。
支配している金融的・収奪的・軍事同盟よりも人民のニーズを優先する全く新しい体制が必要である。問題は日ごとに明らかになりつつある。国は超富裕層と超搾取された貧しい人々の間で二極化している。誰もがそれを知っており、人々はどちらか一方の側に味方している。新しい要素は、労働者階級の若者の出現であり、抵抗の最前線にいる政治的アクターとしての新世代である。今一度コロンビアは、大詰めの対決に向かっている。
これは国内問題以上のものである。この状況は、緊急の国際連帯行動を必要としている。人権侵害を終わらせるために行動すると同時に、コロンビアの国家暴力から利益を得てそれを強化している帝国主義勢力との闘いにも取り組む必要がある。暴力を引き起こす構造そのものを破壊しなければならない。
搾取と抑圧に基づく相互の自己利益の国際的な連鎖があるので、それに代わる国際主義の連鎖、連帯と生命の尊重に基づく抵抗の連鎖が必要である。
(以上)
( 2021年5月27日 )
(コロンビア要点)
・ ドゥケは追い詰められつつある。前例のない76%の不支持率。 / 政府と全国ストライキ委員会との交渉が一定の進展。だが、政府は合意への署名を延期。今回の抗議行動開始後1ヵ月の5月28日に大規模抗議を予定。首都への終結を呼びかけ。
・ MRonlineの論評「2021年の危機のルーツ」で、ドゥケが税パッケージを課そうとした理由、その背後にある経済的推進力、彼の統治の破壊的な社会的影響について、かなり詳細な考察がなされている。【本文の後に全訳掲載】 / そのいくつかの要点は次の通り。 1)ドゥケの背後で前大統領ウリベが実権を握っている。 2)COVID-19の危機を利用して新自由主義改革をいっそう推進しようとした。 3)コロンビアの支配階級は米英帝国主義と緊密な同盟関係。 4)Covid蔓延以前から労働者階級の生活水準が低下。それがさらにいっそう悪化。公式貧困率が2015~20年の間に36.1%から42.5%に。 5)ドゥケの改革パッケージの原因は財政赤字。累積債務の悪化。2018年のGDPの47%から21年には約67%に。 6)新植民地主義国に典型的な、深い構造的問題。国の歳入の大部分が国外への利益流出で失われている。主に2つの理由。大企業に対する法人税減免と対外債務返済(特に高い金利による利払い)。 7)人民の大規模な抗議を引き起こした税制改革は国際金融機関がプッシュしていた。 8)コロンビアは戦争国家。米軍司令部と緊密な関係。 9)支配システムへの反対を示している人々をターゲットにした粛清。それは新しい段階に。主に新世代の若者をターゲットに。 10)特に2018年以降、生活水準が急激に低下。労働者階級の若者たちは失うものがなく、人民の抵抗闘争の最前線に。 11)暴力的弾圧は国際的・国内的に完全な免責の下で行われている。 12)国家財政危機、法人税の未収、多額の債務返済、莫大な軍事予算、これらは帝国主義との関係からきている。コロンビアの国家暴力から利益を得ている帝国主義勢力との闘いに取り組む必要がある。
―― ―― ―― ―― ―― ――
(コロンビア)
teleSUR Published 26 May 2021
Colombia: Strike Committee Calls For New Protests Against Duque
(コロンビア: ストライキ委員会、ドゥケへの新たな抗議を呼びかけ)
ドゥケ政権はデモを終わらせる協定の署名を延期した。 / 全国ストライキ委員会(CPN)は、水曜日(5/26)と金曜日(5/28)に新たなデモを行い、イバン・ドゥケ大統領に交渉を続けるよう圧力をかけることを求めた。 / 「金曜日(5/28)は社会的抗議の爆発から1ヶ月を迎える。ドゥケが対話を遅らせるのをやめるように要求するために街頭に出よう」と、中央労働組合(CUT)の委員長Francisco Maltesが述べた。
teleSUR Published 25 May 2021
Rejection to Duque Rises To Unprecedented Highs in Colombia
(コロンビア: ドゥケへの拒絶は前例のない高さに上昇)
世論調査によると、警察の残虐行為、デモ参加者の失踪、人権侵害などで、ほぼ1ヶ月間混乱が広がる中、ドゥケは76%の不支持率に達している。 / イバン・ドゥケはコロンビアの歴史の中で最も不人気な大統領になった。
Prensa Latina 2021.5.25
Progress made in negotiations on protests in Colombia
(コロンビア: 抗議に関する交渉の進展)
コロンビア政府と全国ストライキ委員会は、火曜日(5/25)、抗議行動の行使の保証に関する予備的合意に達したと、グループの代表者が述べた。 / 代表者は、声明の中で、9日間の協議の後、動員を保証するための一般的な枠組みを提供する予備的合意に達したと説明した。それは、委員会が提示した緊急文書に関する協議の開始を可能にする。
ラテン・アメリカの革命的大衆闘争 2021.05.26 Wednesday
コロンビア:ストライキ委員会と政府が事前合意 http://latinpeople.jugem.jp/?eid=1661
コロンビア政府とストライキ委員会が事前合意に達する
2021年5月25日 teleSUR発
・・・ 4月28日以来、警察は全国ストライキに激しい弾圧を加えてきた。しかし警察は、新自由主義政策に対してコロンビアの人々が27日連続で街頭デモによって抗議することを阻止できなかった。
Prensa Latina 2021.5.23
Night of terror in Colombia due to police repression
(コロンビア: 警察の弾圧によるテロの夜)
首都ボゴタで、平和的な抗議者に対する反暴動機動部隊(ESMAD)による激しい弾圧の後、40人以上のコロンビア人が負傷したと、複数の情報筋が日曜日(5/23)に報告した。
teleSUR Published 22 May 2021
Colombia: Truth Commission To Investigate Repression in Cali
(コロンビア: 真実委員会、カリでの抑圧を調査)
Prensa Latina 2021.5.22
Human Rights defenders seek to counteract crisis in Colombia
(コロンビア: 人権擁護者、危機への対処を追求)
コロンビアの人権団体は、国の現状に対処する提案を共同で作成するために、市民との対話のスペースを確立する。
teleSUR Published 21 May 2021 (写真:大規模デモ byツィッター)
Colombia's National Strike Committee: Protests Continue
(コロンビア: 全国ストライキ委員会「抗議は続く」)
全国ストライキ委員会は、金曜日(5/21)、人権侵害と警察の残虐行為の中で抗議行動が24日目に入り、動員は続けられることを確認した。
teleSUR Published 21 May 2021
New Colombian Foreign Minister's Trip to the US Questioned
(コロンビア: 新外相の米国訪問が疑問視されている)
Prensa Latina 2021.5.21
Mobilizations in Colombia still ongoing with no solution in sight
(コロンビア: 解決が見えないまま動員はまだ続いている)
4月28日から国内では毎日大規模な抗議行動が行われており、多様な幅広い要求が生まれている。 / 抗議者は、和平合意の履行、新自由主義的な規制の撤回、警察の暴力の停止、反暴動機動部隊の解体、大学生のための授業料ゼロ、などを要求している。 / これまでのところ、ストライキに引き金となった税制改革法案の撤回、議会で保健医療改革を棚上げにすること、2人の閣僚の辞任、若者の雇用プログラムの発表に成功した。
MRonline Posted May 20, 2021 by Andy Higginbottom
The roots of Colombia’s crisis 2021 (コロンビア: 2021年の危機のルーツ)
【MRonlineの前書き】 貧困と抑圧に反対するコロンビア人民の社会的爆発が起こっている。ドゥケ大統領の「税制改革」パッケージは、人民の忍耐を破る最後の一滴だった。持続的な大衆的抗議の1970年代以来最大の高まりは、この国を完全に極めて重大な瞬間へと至らせた。コロンビアの未来は不安定なきわどい状況にある。 / この記事では、ドゥケが税パッケージを課そうとした理由と、その背後にある経済的推進力を見ていく。また、進歩的な改革と偽って提示されたものに対するこのような深刻な抵抗に人々を導いた、彼の統治の破壊的な社会的影響のいくつかを示す。 【後に全訳】
teleSUR Published 20 May 2021
Colombian National Strike Makes Duque To Engage In Dialogue
(コロンビア: 全国ストライキ委員会はドゥケに対話を強要)
ストライキ委員会は、都市を非武装化し平和的なデモ参加者の虐殺を止めるよう政府に圧力をかけ続ける。 / コロンビアのイバン・ドゥケ大統領に対する23日間の連続抗議の後、全国ストライキ委員会(NSC)は、木曜日(5/20)、ボゴタで政府と新たな協議を行うと発表した。
MRonline Posted May 14, 2021 by Dan Cohen
Meet the Neo-Nazi advising Colombian police on how to break the National Strike
(コロンビア警察にゼネストを破る方法を助言するネオナチに出会う)
【要点】 前回の短報No.4に全文掲載済
・ コロンビアはストライキ中である。そして、警察と軍隊はそれを粉砕するために人民をテロで脅迫している。 / イバン・ドゥケ大統領が、中産階級と貧困者に壊滅的な緊縮財政措置を課す税制改革を発表したとき、ストライキは始まった。 / ドゥケの提案は、国際投資家たちを満足させるために債務を返済することを目的としていた。
・ コロンビア人の43%が貧困状態にあり、15%が極度の貧困状態にある。 / 税制改革案が引き金となって、深く蓄積してきた不満が爆発した。
・ ドゥケ政府は、FARCとの内戦を終結させた2016年の和平協定を守らず、社会的指導者、先住民族の指導者、人権擁護家、元FARC戦闘員を絶滅させようと攻撃している。
・ ネオナチがコロンビア軍に助言する フラストレーションは水面下で泡立っていた。ドゥケの緊縮財政の提案は社会を沸騰させた。 / コロンビア政府は、ますます極右のファシスト的独裁政権のように行動している。 / チリのネオファシスト党「New Homeland Society」の元リーダーがコロンビア軍に招待され、蜂起を打ち負かす方法についてプレゼンテーション。コロンビアで最も強力な人物で現在の大統領イバン・ドゥケを操るマスターであるアルバロ・ウリベ前大統領がそれに共鳴。
・ コロンビア警察の超暴力 今回の抗議が起こった最初の日の後、ウリベは武器を使うよう警察と兵士に呼びかけるツイート。
・ ドゥケ、ウリベ、麻薬国家 米国は、「プラン・コロンビア」でコロンビア政府に軍事援助。 / 国際的な麻薬カルテルはこれまで以上に強力で、コロンビアの国家、警察、軍のほぼすべての側面を管理している。
・ ドゥケは完全な軍事化を命じる コロンビアは民主主義を装った麻薬国家。しかし、抗議行動に対する超暴力的な取り締まりで「民主的な」見せかけを脱ぎ捨てている。
・ 準軍組織が抗議者を攻撃する / 警察は準軍組織を支援する ストライキの期間を通じてドゥケ政府は「平和的な抗議を許可している。破壊者やテロリストと戦うために軍事化が必要である」と主張してきた。 / 「破壊者とテロリスト」の物語は最初から嘘なのは明らかだった。 / 彼らの恐ろしい戦術が失敗し、ドゥケとウリベの殺人的な鉄の拳はストライキを破ることができなかった。これからどうなるのかわからない。何でも起こる可能性がある。
Peoples Dispatch May 14, 2021 by Peoples Dispatch
Colombians continue to resist as national strike completes 15 days
(コロンビア: 全国ストが15日続いたがコロンビア人民はまだ抵抗を続ける)
【要約】
・ 残忍な警察と軍事的弾圧に耐えながら、数十万人のコロンビア人が、生活のため、平和と正義と民主主義のために、新自由主義と暴力に反対して街頭に出続けている。 / 4月28日以来、新自由主義政策に反対する全国ストライキ。
・ 財政赤字の資金を労働者階級から調達することを目指した税制改革法案。5日間の大規模な抗議の後ドゥケは撤回を発表。 / コロンビア人民は国が直面しているもっと広範な問題に取り組むことを要求して街頭にとどまり続けている。
・ 新自由主義と暴力を拒絶。生活、平和、正義、民主主義を擁護。 / さまざまなセクターがさまざまな要求のセットを掲げてデモをおこない、お互いの主張・要求で連帯を示し合った。
・ 総じて、都市からの軍隊の撤退、抗議者に対する残忍な警察と軍の弾圧の終結、抗議する憲法上の権利の尊重、およびここ数日間に国家治安部隊によっておこなわれた人権侵害の徹底的な調査を要求。
・ 警察と軍はさまざまな都市での平和的なデモを激しく弾圧。
・ 地方農村でもストライキ コロンビアでのストライキの多くはこれまでは都心部に集中してきたが、4月28日以降は、農村の農民組織、先住民組織、およびアフリカ系住民組織の広範な参加。都市での動員に参加したり、地方の主要な幹線道路の封鎖を組織したりした。 / 農村地帯は歴史的に60年以上の内戦の戦場。多国籍企業にはコロンビアの莫大な天然資源が略奪できる地。
・ 人権侵害 4月28日から5月10日までの間に1956件の警察の残虐行為事件が記録された。40人の死者、313人の身体的暴力の犠牲者、1,003人の恣意的逮捕、418件の暴力的介入、28人の眼の負傷者、129件の銃撃事件、12人の性的暴力の犠牲者。 / 世界中で社会的および政治的諸組織がコロンビアの治安部隊による過度の武力行使を糾弾し、抗議行動をおこなっている市民の要求に連帯を表明。
―― ―― ―― ―― ―― ――
【全訳】
MRonline Posted May 20, 2021 by Andy Higginbottom
The roots of Colombia’s crisis 2021 (コロンビア: 2021年の危機のルーツ)
https://mronline.org/2021/05/20/the-roots-of-colombias-crisis-2021/
Originally published: Colombia Solidarity Campaign (May 17, 2021)
貧困と抑圧に反対するコロンビア人民の社会的爆発が起こっている。ドゥケ大統領の「税制改革」パッケージは、人民の忍耐を破る最後の一滴だった。持続的な大衆的抗議の1970年代以来最大の高まりは、この国を完全に極めて重大な瞬間へと至らせた。コロンビアの未来は不安定なきわどい状況にある。
この記事では、ドゥケが税パッケージを課そうとした理由と、その背後にある経済的推進力を見ていく。また、進歩的な改革と偽って提示されたものに対するこのような深刻な抵抗に人々を導いた、彼の統治の破壊的な社会的影響のいくつかを示す。
イントロダクション
イバン・ドゥケは並の二流政治家であり、今でも国の真の支配者である超右翼の前大統領アルバロ・ウリベの歩兵にすぎないと、多くのコロンビア人はコメントしている。2018年に就任したとき、ドゥケは企業への減税を約束した。現在のパッケージは、実際にはドゥケの3番目の税制改革である。COVID-19が大打撃を与えたとき、ドゥケは、その危機を良い機会として、新自由主義の議題をさらに推進することを決定した。当面、最新の提案は取り下げられたが、新自由主義の新たな議題そのものは取り下げられてはいない。
全国ストライキの中心にある社会運動は、当然のことながらドゥケの辞任を求めている。だが、それでさえ十分ではないだろう。ドゥケは、殺人的な新自由主義的・新植民地的同盟の先頭に立っているだけである。
コロンビアを支配する緊密な同盟は、一方ではエリート経済グループ、腐敗した政治家、軍、および麻薬組織・準軍組織の補助部隊集団、これらで構成されるこの国自身の支配階級と、他方では米軍と英国に支えられた国際的な大企業との、相互依存関係である。このあと示すように、これらのグループの利益は、コロンビア人民の大多数を犠牲にして達成されている。
この分析は、内部と外部をつなぐもので、私たちが提供する必要のある連帯にとって大きな意味をもっている。
貧困の急激な増加 / 崩壊した社会
Covid危機は、コロンビア経済の景気後退を生じさせ、国内総生産(GDP)で測定して生産量は6.8%減少した。パンデミックのさなかに、いっそうの階級の分極化があった。さらに、すべての指標は、Covidが蔓延する前でさえ、労働者階級の生活水準が低下していたことを示している。公式の貧困率は実際の貧困の程度を過小評価しているが、それでも2015~20年の間に36.1%から42.5%に跳ね上がった。都市部では、貧困の増加は本当にひどく悪化していて、人口のさらに10.8%がそれに加わる。公式の数値では、ここ3年間で570万人以上のコロンビア人が貧困に追いやられている。
国の歳入は国外への莫大な利益の流れのために失われている
ドゥケの改革パッケージの直接の原因は国の財政赤字である。2020年、コロンビアの税収はGDPの20%だったが、一方、国の支出はGDPの28%だった。これら2つの額のギャップ、GDPの8%が、年間の財政赤字だった。毎年の赤字は国の累積債務を悪化させ、それは、ドゥケ政権の下で2018年の47%から2021年にはGDPの3分の2(約67%)に急増した。
ドゥケの最新の税制改革案は、増税と国家支出削減の両方を実現するものである。しかし、富が絶えず流出している新植民地主義国に典型的な、深い構造的問題がある。特に、国の歳入の大部分が国外への利益流出によって失われているためである。その主要な2つの形態は、まず第1に、地元企業か多国籍企業かを問わず、大企業の法人税控除。第2に、銀行への債務返済。これらを順に見ていく。
大企業が実際に支払う法人税の実質税率は、利益の25%という公式の税率よりもはるかに低い。鉱業多国籍企業は、2013年以降さまざまな免除制度が考慮されて、約10%しか支払っていない。石油会社はもっと少なく、2015年以降ほぼ2%ほどである。アルヴァロ・パルドーが年9億ドルの「法人税サービス」と呼んでいるものが、「国の財源を出血させている本当の大きな穴」につながっている。
2013年の商品ブームの最盛期には、採掘産業は政府歳入の3分の1を提供したが、それでも目を見張るような利益を維持していた。たとえば、El Cerrejón 炭鉱は、所有企業3社(ロンドンを拠点とするAnglo-AmericanとBHP Billitonおよびスイスの多国籍企業Glencore)に、少なくとも92億米ドルの利益をもたらした。しかし、その後、大企業は納税額を削減し、法人税は現在、政府歳入の8%しか提供していない。
ある概算では、コロンビアは法人税の濫用(abuse)により年間116億米ドル以上を失い、ラテンアメリカではブラジル(146億ドル)に次いで2位だが、しかし、一人当たりベースではずっと上をいく。失われた法人税は、コロンビア人一人当たり毎年232ドルである。別の言い方をすれば、失われた税金は国の公的保健衛生支出全体の72%に相当する。
コロンビアで税金として支払われてはいないお金の多くは、米国と英国に流れ込んでいる。ロンドンのシティは、世界中の法人税濫用において主要な役割を果たしているが、見過ごされている。それは、オフショア・タックス・ヘイブンの張りめぐらされたクモの糸の中心にあって、「世界が毎年法人税の濫用によって失う税金2,450億ドルの28.5%に責任がある」。
以上の法人税の問題からさらに、第2の大きな問題がある。それは、公的債務と、それを完済するまでの非常に高い金利の脅威である。国の収入はここでも直接流れ出す。そのために国の収入がどの程度まで公に利用できなくなるかということは、2021年のコロンビアの予算に次のように示されている。「営業費用支出59% / 投資18% / 公的債務および利子支払い23%」
集められた全国家収入の約23%は直接銀行に送られる! 債務支払いは年間188億米ドルである。なぜ政府は借金の支払いを拒否しないのか? それは、銀行、国内企業、多国籍企業と結びついた階級の利益を表しており、富を搾取する受益者に立ち向かうよりも、自国民の搾取と犯罪化で対処することを好むからである。not to say care anything about the total environmental destruction that is built into the extractivist regime.【この一節はよくわからない。】
今一度ねじを巻く国際債権者
ロンドンのフィナンシャル・タイムズ(FT)のボゴタ特派員によって明らかにされたように、抗議を引き起こした税制改革は国際金融機関がプッシュしていた。
イバン・ドゥケ政権は、コロナ・ウイルスのパンデミックの最中に台無しになった経済を安定させるための財政改革パッケージを通過させようとしている。そのことで、コロンビアの投資適格国としてのこの10年の地位が試される。
「経済を安定させる」ためには、政府が財政赤字を埋めるために増税と国家支出の大幅な削減をおこなうことが必要であると、FTの記事は説明している。債務に対して高い金利を課されることを避けたいのであれば、そうする必要がある。思い切った抜本的な措置が取られない限り、信用格付け機関はコロンビアをジャンク債に近い状態に格下げするだろう。(FT記事の見出し:メキシコ、チリ、ペルーを含むラテンアメリカの投資適格国の小グループからコロンビアを降格)
もちろん、FTは、ウォール街とロンドン・シティの信用機関がコロンビア政府やその他世界のどこに対しても条件を設定する権利に疑問を呈してはいない。それでも、その分析は、一方の側の国際的な金融力の中心を、もう一方の側のカリの街の不可能な生活条件やコロンビア全土の状況と結びつける一連の統制への考察はしていない。
税制改革計画は、2022年以降毎年25.4兆ペソ(68億米ドル)を調達することであり、そのうち3兆ペソ(8億米ドル)のみが企業からのものであり、残り(60億米ドル)は国民への課税からのものである。調達される追加歳入の約5分の3は、国際的な信用機関の要求に応じて財政赤字を削減するために事前に割り当てられ、債務を返済するためにさまざまなサービスが効果的にカットされる。
不平等を拡大し固定する
この「改革」を既存の不平等の中に置いて見てみるとどうなるか。コロンビアの最低賃金は、交通費を含めて月額269米ドルに過ぎない。所得の分配は大きく偏っている。「国内の被雇用者で最低賃金の2倍以上を稼いでいるのは12%のみである」とLibardo Sarmientoは述べている。コロンビアは世界で最も不平等な所得分布の国であり、上位10%が全所得の50%を占めている。富の不平等はさらに大きく、上位10%が富の95%以上を所有している。国のほとんどすべての物質的富は、超富裕層と超々富裕層に集中している。
改革で提案されている最大9%の所得税増税は下位中産階級向けである。つまり、月額約1,500ドルの収入がある人々である。しかし、税率の引き上げは、月収が約8,000ドル以上の上位10%の所得者では2%にすぎない。最大月額900米ドルの労働者階級の収入は所得税の増加を招かないが、しかしそれでも労働者階級の世帯は、コンピューターや携帯電話と、米やパスタなどの主食を含め、付加価値税(VAT)に該当する広範な製品が19%価格上昇することに見舞われるため、かなり悪化するだろう。貧困な人々は食べるのをやめた場合にのみ良くなる! ソーシャル・メディアを介したコミュニケーションは使うのをやめた場合にのみ良くなる!
したがって、ドゥケが「社会的連帯」と名付けているにもかかわらず、このパッケージの全体的な効果は逆であり、進歩的ではなく後退的である。つまり、貧しい人々と中産階級の方に金持ちよりも大きな増税がおこなわれるということである。提案されたパッケージがなくても、コロンビアの所得税は「最も裕福な人々に対して非常に寛大」である。要するに、このパッケージは、不平等を減らすのではなく固定化させるものである。
国家と国全体の軍事化
コロンビア国家は福祉国家ではなく戦争国家である。国家の暴力は、今日再び私たちが目撃しているように、主に自国民に対するものであるが、その一方で、米国(および英国)の帝国主義戦略のひとつの支柱(prop)としてのコロンビアの国際的役割を含めて、コロンビアと米国軍事司令部との間には相互支援というquid pro quo(代償・報酬)がある。
第二次世界大戦の終結とCIAによるJorge Eliciér Gaitanの暗殺以来ずっと、コロンビアの治安部隊は、米軍との緊密な関係を維持してきた。コロンビアは1950年代に朝鮮戦争に参加するために軍隊を派遣した。米国は、キューバ革命の拡大を阻止するために1960年代初頭にコロンビアに軍人を派遣し、1990年代後半には「プラン・コロンビア」の下で再び大規模な形で派遣した。この国家間の軍事協力は、深く根付いており、制度化されており、持続している。悪名高い「School of the Americas」は、ラテンアメリカの他の地域よりも多くのコロンビア人将校を訓練してきた。
米国は、コロンビアに、通常報告されている7つではなく少なくとも40の基地を維持している、とRenán Vegaは指摘している。基地にはさまざまな種類があるが、全体として、そこからベネズエラや南米・カリブ海のどこにでも攻撃を開始するための前方展開地として設定されている。2018年にコロンビアはNATOに加盟した。それは、ラテンアメリカで唯一であり、「グローバル・パートナー」という特別な地位での加盟である。
国は紛争終了後の状況にあると考えられているにもかかわらず軍は削減されていない。それどころか、ドゥケは軍にもっとお金をかけるつもりである。年間106億米ドルのコロンビアの軍事費は、国の支出に占める割合として、ラテンアメリカで依然として圧倒的に最高の水準にある。給与支払名簿には、26万7千人の軍人、18万6千人の警察官、2万4千人の民間人がおり、合計で50万人近くの人員がいる。これに加えて、ドゥケは、米国企業ロッキードマーティンからの新たなF16ジェット戦闘機24機に45億ドルを費やしたいと考えている。その理由は、ベネズエラを上回る優れた空軍力を持つことである。
軍は、国外と同じぐらいに国内でも展開されている。コロンビア軍の3分の1(8万2,000人)の軍人は、「鉱業とエネルギー」大隊(‘mining and energy' battalions)に所属している。それは、これらの抽出産業の、特にこのセクターで優勢である英国を拠点とする多国籍企業の、セキュリティ要件を実施するために鉱山と油田の周りに配置されている。
作戦の結果としての死に対するコロンビア政府と軍の冷淡さは、2021年3月2日の軍事作戦に対するDiego Molano国防相の対応で強調された。軍は、Gauvire県のCalamareにある反対派FARCグループのキャンプを爆撃した。当初の報告によると、爆撃によって少なくとも10人が死亡し、そのうち4人は未成年者だった。Molano国防相の反応は、その若い犠牲者たちは「戦争の機械(machines of war)」であるから消耗品だというものだった。ベテランの調査ジャーナリストHolman Morrisによるさらなる報告では、軍の空爆によって、少なくとも9歳以上の子どもと青年が13人殺されたかまたは「姿を消した」と確認されている。この情報でさえ、公式の謝罪を呼び起こさなかった。
反政府勢力の粛清 / 若者の虐殺
2016年に国家とFARCゲリラの間で和平協定が調印されて以降の、紛争の終了後だと想定される状況で、和平協定の調印ということから前に進んだ状況は何もないと言えるのではないか。極右準軍組織の長年の存在は、かつてなく正当化され、ウリベによって公的国家権力と統合された。その結びつきは、ドゥケの下でさらに露骨になった。国家と極右の準軍事的暴力の結びつきは、社会的および政治的動員を含むあらゆる形態の反政府勢力を排除するプロジェクトにおいて、衰えることなく続いている。和平合意以来、1,200人を超える社会的活動家や環境活動家が暗殺された。先住民、LGBT活動家、女性組織者、アフリカ系コロンビア人、労働組合員、復員したFARCゲリラなどである。
これらのターゲットには明確な論理がある。支配的システムへの反対を示している人々をターゲットとし粛清しているのである。これは継続的な政治的ジェノサイドであり、今や新しい段階に入り、まったく新しい政治世代を、つまり若者をターゲットにしている。
2018年以降の特に都市部での生活水準の急激な低下が、高まっている反乱の引き金のひとつである。現在のシステムは、支援もなく未来もない人生を運命づけられた何百万人ものコロンビアの若者には、まったく受け入れられなくなった。労働者階級の若者たちは失うものが何もないので、人民の抵抗の最前線に身を投じている。その若者たちに、国は宣戦布告し、新たな政治的虐殺=青少年虐殺でその反乱をたたきつぶそうと決めた。
2021年4月28日から5月12日までの2週間の大規模な抗議行動では、国家警察軍によって犯されたと思われる39件の殺人があり、他の多くの形態の身体的暴力が報告されている。最新の報告は、抗議者に対する社会的浄化プログラムを実施する警察についてのものである。
以前の経験からすると、コロンビア国家は、いったんイニシアチブを取り戻したと感じると容赦がなくなる。
コロンビアでの抑圧に対する英国の責任
コロンビアでの警察の暴力は体系的であり、また国際的にも国内的にも完全な免責の下で行われている。ここは、コロンビアでの弾圧を正当化する上で、英国の役割が決定的な支柱となっている領域である。
英国の「ポリス大学」が過去3年間コロンビアの警察官を訓練してきたことが、ちょうどこの時期に明らかにされた。これは、人民の動きを抑制し、英国の多国籍企業の利益と戦略的利益を守ることを目的とした、警察と軍の協力の氷山の一角である。EU離脱後、 英国の野心はさらにいっそう帝国化したので、これらの戦略的コミットメントが容易に弱まることは期待できない。
英国がコロンビアの警察を訓練し素養を身につけさせることをやめさせるように、議員が政府に働きかけることは出発点である。
私たちは、この方向でさらに進む必要がある。最前線のすべての社会運動に十分な支援を提供する必要がある。特に、英国の多国籍企業によって引き起こされた社会的および環境的破壊に直面している運動を、全面的に支援する必要がある。これは、気候崩壊から地球を守ることと直接的につながっている。英国の化石燃料会社は、気候崩壊に対して特に責任がある。
現在の危機は、開かれるべき別の領域を示している。それは、銀行による隠されたコロンビアの富の収奪という問題に取り組むことである。銀行が人々から富を奪うのを止める時が来ている。私たちは、国際的な債務免除を要求するキャンペーンで、コロンビアの悲惨な状況との闘いに加わるべきである。
コロンビアは大詰めに向かっている / ここで反対の態度をとれ
コロンビアの国家財政危機、法人税の未受領、多額の債務返済、莫大な継続的軍事予算、これらの側面のどれもが帝国主義との関係を物語っている。
ドゥケの政府は、債務の支払いを拒否し、軍にそれほど多くを費やさず、そのお金を適切な公衆衛生プログラムに投入することを、やろうと思えばできるのだが。しかしもちろん、それが表現している階級の利益のために、それは行われない。そしてもしそうだとすれば、これまでとまったく同じようにF16などが展開されることになるだろう。
支配している金融的・収奪的・軍事同盟よりも人民のニーズを優先する全く新しい体制が必要である。問題は日ごとに明らかになりつつある。国は超富裕層と超搾取された貧しい人々の間で二極化している。誰もがそれを知っており、人々はどちらか一方の側に味方している。新しい要素は、労働者階級の若者の出現であり、抵抗の最前線にいる政治的アクターとしての新世代である。今一度コロンビアは、大詰めの対決に向かっている。
これは国内問題以上のものである。この状況は、緊急の国際連帯行動を必要としている。人権侵害を終わらせるために行動すると同時に、コロンビアの国家暴力から利益を得てそれを強化している帝国主義勢力との闘いにも取り組む必要がある。暴力を引き起こす構造そのものを破壊しなければならない。
搾取と抑圧に基づく相互の自己利益の国際的な連鎖があるので、それに代わる国際主義の連鎖、連帯と生命の尊重に基づく抵抗の連鎖が必要である。
(以上)