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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

教育編 第13回 学問の中で最も困難で重大な問題は?

2012-04-15 | 憲法って、面白っ!

 著書『エセー』の中で、哲学や歴史、人間の心理、様々な風習など、非常に多岐にわたるテーマを展開したモンテーニュですが、その中でも特に彼が重視したのは、実は子どもの教育なのです。
 彼は「第26章 子どもの教育について」という章を設けて、彼が仲人をした若い伯爵夫人に対して、彼女からやがて生まれる子どもへの贈り物という形を取って教育論を展開しています。そこで彼はこのように述べています。

「私がここで言いたいのは、人間的な学問のなかで最も困難で重大な問題は子どもの教育と養育をいかにすべきかということよりほかにないのです。」

 モンテーニュがまず強調しているのは、学ぶ者の主体性です。それ抜きに、教師が自分一人で語るべきではないと述べています。

「教師が自分ひとりで考えたり語ったりするのは好ましくありません。生徒にしゃべる機会を与えて、教師がそれを聞いてやることが望ましいのです。」

「教師が生徒をして教師の前を走らせてその歩みを判断し、生徒の力に自分を会わせるためにはどこまでみずから調子を下げるべきかを判断するのはいいことです。この釣り合いがとれないとすべては台なしになります。この釣り合いを選び、ほどよくそれに調子を合わせていくことができるということは、私の知っているかぎりで最もむずかしい仕事の一つです。しかも、生徒の歩調に会わせて生徒を導くことができるのは、高く強い霊魂の持ち主にしてはじめてなしうることです。」

 当時の教育は、権威をふりかざして生徒に知識を丸暗記させることに終始していました。しかし、モンテーニュは、様々な知識を提示するのは、生徒が自ら疑い、考え、判断するための材料に過ぎないと考えていました。したがって、誰が何を言ったのかというのを暗記するのではなく、その内容を批判的に捉えながら自分のものとしていくことを求めていました。
 
「教師は生徒に、すべてを篩にかけさせ、何ごとも単なる権威や信用だけで頭に入れないようにさせなければならないのです。」

「彼ら(過去の思想家)の教訓を学ぶだけではいけません。そしてできることなら、それらの教訓をどこから得たというようなことは思い切って忘れてしまうことです。むしろそれらを自分のものにすることを知らなければなりません。真理と理性は各人に共通なもので、先にそれを言った人のものでもなければ、あとからそれを言った人のものでもありません。」

「蜜蜂はあちらこちらと花をあさって、あとでそれから蜜をつくります。この蜜はすべて彼らのものです。」「そのように生徒は、他人からの借りものでも、それらを変形させ混ぜ合わせて、そこから完全に自分自身の作品を、すなわち自分の判断を作り上げるのでなければなりません。彼の教育も、彼の勉強や研究も、自分の判断をつくるためのものでしかないのです。」

 次回も「子どもの教育について」の章の紹介を続けます。(鈴)


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