地上を旅する教会

私たちのすることは大海のたった一滴の水にすぎないかもしれません。
でもその一滴の水があつまって大海となるのです。

まつりごと【中米の移民が駆け込むテキサスの教会 】

2014-08-12 22:46:00 | Weblog
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主はその玉座を天に堅くすえられ、
そのまつりごとはすべての物を
統べ治める。

主の使たちよ、そのみ言葉の声を
聞いて、これを行う勇士たちよ、
主をほめまつれ。

そのすべての万軍よ、
そのみこころを行うしもべたちよ、
主をほめよ。

主が造られたすべての物よ、
そのまつりごとの下にある
すべての所で、主をほめよ。

わがたましいよ、主をほめよ。


「詩篇」 103編19-22節
旧約聖書 口語訳



鵲(かささき)の渡せる橋に置く霜の

白きを見れば夜ぞ更けにける

大伴家持
(718 -785 『小倉百人一首』より)






▲テキサス州マッカレンの聖心カトリック教会で一息つく移民の家族たち(6月15日)。6月以降このシェルターは、5400人の移民を受け入れている。


★中米の移民が駆け込むテキサスの教会

◆ナショナルジオグラフィック 日本語公式サイト 2014年8月6日

http://www.nationalgeographic.co.jp/smp/news/news_article.php?file_id=20140806005


アメリカ、テキサス州マッカレンに移民たちが到着した。乳児から10代までの子連れの男女がほとんどで、子どもの支えがないと前に進めないほど疲れ果てている。中心部にある聖心カトリック教会(Sacred Heart Catholic Church)の扉を開いた彼らをホールで待っていたのは、修道女や修道士、地元のボランティアたちだ。総立ちの大喝采で迎えられた大人たちの多くは、人目もはばからず涙を流す。


ボランティアのハーミ・フォーシェージ(Hermi Forshage)さんは手をたたきながら、「ビエンベニドス(Bienvenidos)!」と叫ぶ。「ビエンベニドス! ウェルカム!」。

消耗し混乱している移民たちに、返事を返す余裕はない。とにかく、シャワーと食料、そして横になれる場所を求めている。皆、ホンジュラスやエルサルバドル、グアテマラといった中央アメリカからの密入国者で、アメリカのバラク・オバマ大統領がメキシコ国境の“人道危機”と呼ぶ事態の当事者だ。

2014年に入り、5万5000人以上の移民がアメリカ税関・国境警備局から暫定的に入国を許可・・・


ボランティアのハーミ・フォーシェージ(Hermi Forshage)さんは手をたたきながら、「ビエンベニドス(Bienvenidos)!」と叫ぶ。「ビエンベニドス! ウェルカム!」。

消耗し混乱している移民たちに、返事を返す余裕はない。とにかく、シャワーと食料、そして横になれる場所を求めている。皆、ホンジュラスやエルサルバドル、グアテマラといった中央アメリカからの密入国者で、アメリカのバラク・オバマ大統領がメキシコ国境の“人道危機”と呼ぶ事態の当事者だ。

2014年に入り、5万5000人以上の移民がアメリカ税関・国境警備局から暫定的に入国を許可されている。一時滞在者の書類を受け取り、裁判所による裁定が下るまで家族と暮らすことができる。

メキシコ国境の約8キロ北に位置するマッカレンはスペイン語の街で、今や移民をめぐる論争の中心地となっているという。

教会のシェルターに立ち寄る移民たちは、中央アメリカの祖国にはびこる暴力や混乱から逃げ出す者は今後も後を絶たないと言い切る。国民に安全と機会を提供しない政府を、既に誰もが見限っているのだ。

そうした理想の光をアメリカに求める多くの移民は、聖心カトリック教会で最初の出会いを果たす。

プログラムの運営主体はカトリック・チャリティーズUSA(Catholic Charities USA)だ。昨年6月、リオ・グランデ・バレー・カトリック・チャリティーズ(Catholic Charities of the Rio Grande Valley)の常任理事、ノーマ・ピメンテル(Sister Norma Pimentel)シスターが、移民の家族を聖心カトリック教会で受け入れ始めた。国境警備隊員が彼らを近くのバス停に置き去りにしていると知ったことがきっかけだ。

以来、約5400人が聖心カトリック教会を経由してアメリカ全土に散らばっている。一部はアメリカの司法制度に従い、数週間中に保護施設への入所を申請する。引き続き滞在が認められるかどうかは、彼らが受けた脅威の程度、直接的な暴力被害の有無、祖国を捨てるという決断が自らの選択によるかなど、いくつもの条件によって判断されるという。 しかし、多くは法的義務を回避し、密入国者の雑踏に紛れ込んでしまう。

◆「心配しないで。ここにたどり着いたのだから」

修道女や修道士、ボランティアにとって聖心カトリック教会は、アメリカで沸騰する移民をめぐる論争や政治とは無縁の場所だ。

地元教会新聞の編集者で、プログラムの広報を務めるブレンダ・リオハ(Brenda Rioja)さんは、「政治は扉の外に放っておけばいいといつも言っている」と話す。「目の前にいる人を助けるだけだ。世界中の誰もが同じ行動を取れば、世の中はガラッと変わるだろう」。

エルサルバドルで商店を経営していた33歳のホセ・マティアス・ガルシア(Jose Matias Garcia)さんは、ある昼下がり11歳の娘ダニエラ(Daniella)ちゃんを連れて聖心カトリック教会の扉をたたいた。家族が離れ離れになるのは本意ではなかったが、地元ギャングの要求が法外な金額に釣り上げられたため、ほかに手段がなかったという。

ガルシアさんは4月以降、毎週50ドル(約5000円)を支払い続けていたが、その後100ドル(約1万円)に引き上げられた。エルサルバドルやホンジュラスの大部分では、小企業や家族に対する恐喝は当たり前で、もはや習慣化している。

ギャングの意図は明白だった。要求通りに支払わなければ命はない。ガルシアさんは妻と年長の子ども2人を、両親の家に住まわせる決断を下す。実家の町はこれほど事態が深刻化していないからだ。

ガルシアさんとダニエラちゃんは北を目指して祖国を脱出。メキシコで密入国の請負人を雇い、国境沿いの街レイノサまでバスに乗った。メキシコでは警官や兵士に500ドル(約5万円)ほど渡して、無事に国境を越えることができた。

フォーシェージさんはこうした移民たちに、「ここはアメリカです。もう心配しないで」と声を掛けている。

旅の続きについても、フォーシェージさんは説明してくれた。教会を出でバスに乗り込み、ヒューストンを目指して北上することになる。道中には検問所があるが、アメリカ移民税関捜査局の書類が身を守ってくれるという。

目的地は皆それぞれだ。ホンジュラスを脱出した、ある母と息子はノースカロライナ州に向かう。別の家族はシカゴに向けて出発。エルサルバドル出身の若い男性は8月2日までにロサンゼルスに入る計画を立てている。自身の30回目の誕生日を息子と祝うためだ。

PHOTOGRAPH BY JENNIFER WHITNEY / THE NEW YORK TIMES / REDUX


Scott Johnson
for National Geographic News August 6, 2014



▲『移民亡国論 日本人のための日本国が消える』
三橋貴明 (写真)