[映画紹介]
パキスタンの将軍カーディルは
インド政府がカシミール地方の自治権を無効化したことを知り、
テロ組織を率いるジムと共に、
インドに対するテロ計画を企てる。
ジムはかつて、インドの諜報機関
RAW(Research Analysis Wing of India) 所属の
エージェントだったが、
ある事件で国から裏切られ、妻を殺され、
自らも瀕死の重傷を負ったため、
母国インドに憎しみを抱き、
国家を破滅させるためにテロ組織を作っていたのだ。
一方、RAWのエージェント、パターンは、
一線を退いた元エージェントたちを呼び集め、
JOCRというRAWの内部組織を立ち上げる。
そのキーワードが「金継ぎ」で、
バラバラになったエージェントを
再び繋ぎ合わせて一つにするという、
日本がらみの嬉しい話。
ドバイ訪問中のインド大統領が
ジムのテロ組織に命を狙われいるという情報を掴んだJOCRは、
大統領警護の任務に就く。
しかし、大統領暗殺計画は囮で、
ジムの本当の目的は同じくドバイにいたインド人科学者の誘拐だった。
ジムの計画は、天然痘をインドにばらまき、
国家を破滅させるというもの。
ジムとパターンとの間で生物兵器の争奪戦が始まる・・・
パキスタンの美人エージェントとの恋模様、
変異ウイルスから全世界の人を救う為の
研究室の自己犠牲も描かれ、
最後は、デリーの上空の飛行機に
生物兵器が仕掛けられ、
残された時間はわずか6分という絶体絶命の状況となる。
という話は既視感があり、
まあ、いかにも作り上げられた印象。
その点で、「バーフバリ」「RRR」の
新鮮で深みのあるストーリー展開でないところが弱点だ。
ただ、「ミッション:インポッシブル3本分」という歌い文句は、
嘘ではなく、熱いアクションの見せ場の連続だ。
カーアクション、高速列車の屋根での格闘、バイク同士の一騎打ち、
超高層ビル壁面の降下、氷上バイク、ヘリ、飛行機、そして人間飛行!
凍った湖の上でのアクションでは、
美人エージェントがスピードスケートまで披露する。
列車でのアクションは、橋の爆破で
落下する列車を駆け上る脱出シーンなど、
先の「ミッション:インポッシブル」と似ているが、
真似したわけではない。
なにしろ、公開日はこちらの方が早い。
同じアイデアが重複しただけのこと。
撮影地も豪華で、
ドバイ、アフガニスタン、トルコ、イタリア、フランス等々、
ついには、シベリアのバイカル湖まで出て来る。
エンドロールでのダンスシーンが撮影されたのはスペインのマヨルカ島だという。
題名の「パターン」は主人公の呼び名で、
これはパシュトゥン人のことを指すらしい。
パターンを演ずるシャー・ルク・カーンは、
サルマーン・カーン、アーミル・カーンと並ぶ、
ボリウッドの「3人のカーン」の一人。
もう一人のサルマーン・カーンは、
同じRAWの同僚役で、通称「タイガー」で、
「タイガー伝説のスパイ」(2012)の主人公。
本作でも、パターンの危機の時、
突然救出に現れる。
パキスタンの諜報機関ISIのエージェント、
ルバイを演ずるディーピカー・パードゥコーンが華を添える。
インド映画によく出て来る超美人。
これだけ美しいと、
毎日、鏡に映る自分の姿に惚れ惚れしてしまうのではないか。
こんな美人がどんな人生を送るのかと気になる。
製作会社のYRF(ヤシュ・ラージ・フィルムズ)は、
「タイガー伝説のスパイ」「パターン」「WARウォー!!」(2019)に
今後製作される予定の「Tiger3」「WAR2」を含めて、
「YRFスパイ・ ユニバース」として展開するらしい。
インド版アベンジャーズというところか。
1月のインドでの公開時は、
インド映画界が沸騰した。
座席は数日先まで売り切れ、
シャー・ルク・カーンの初登場シーンでは場内が大沸きし、
サルマーン・カーンが突然姿を現した時も
場内は大歓声だったという。
エンディング曲では、
劇場内で歌い踊り出す若者が続出。
こういう環境で、映画を観てみたいものだ。
初日だけで、興収10億6千万ルピー(約19億円) を稼ぎ出し、
以後も興収記録は伸び続け、
2023年6月現在で世界興収105億ルピー強(約183億円) を稼ぎ、
「ダンガルきっと強くなる」(2016)、「バーフバリ王の凱旋」(2017)、
「RRR」(2022)、「K.G.F: CHAPTER 2」(2022)に次ぐ、
インド映画世界興収歴代5位となった。
ここヘ来て、インド映画が世界水準に達している。
監督は「WARウォー!!」「バンバン!」のシッダールト・アーナンド。
5段階評価の「4」。
新宿ピカデリー他で上映中。
一部劇場ではIMAX上映。
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