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小説『私はチクワに殺されます』

2024年10月18日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

五条紀夫が描く、ホラー・サスペンス

ある家で、二つの遺体が発見される。
一つは、首吊りした父の死体。 
もう一つは、包丁で全身を刺された母親の死体。
無理心中らしい。
不気味なことに、家の中にはチクワが溢れていた
カビが生え、腐敗した数万本のチクワ。
そして、男のポケットには、
「私はチクワに殺されます」で始まる
男の手記が残されていた。

というわけで、まず、男の手記から始まる。

男はある時、チクワの穴を覗き、
一人の青年の凄惨な死にざまを目撃してしまう。
その直後、青年は、チクワの中に見たと同じ状況で死んでいた。
同様なことが重なり、
チクワには不思議な力が秘められていることを知る。
それは、「秘拷穴」(ひこうけつ) という
民間伝承に関係しており、
死体に穴を開けて覗かれた者が死ぬ、
というものだった。
チクワは、まさに魚の死体だ。
チクワの魔力を知った男は、
誰かがチクワの穴を覗くことがないように、
チクワの買占めに走る。
しかし、お金を全部を投じるが、間に合わない。
ついに配送物を強奪することさえする。
(それより生産を止める方が有効と思うが、
 どうもそうは考えなかったらしい)
そして、自分もチクワの力を借りて人を殺め、
自殺に至る。

という荒唐無稽な話。

次の章は、ライターによる
第一発見者である娘へのインタビュー

娘は、チクワを覗いた後の事件は
全部父が企んだことだ、と主張する。

次の章は、ライターによる娘への追究
あの手記を書いたのは父ではなく、別人。
起こった事件を手記に取り入れただけ。
そして、男と妻の死も犯人は別にいる、と。

というわけで、
チクワの呪いの手記を合理的に解釈されるように見えながら、
更にもう一度反転する。
しかし、この決着、もう一つ納得できない。

私はホラ話は大好きで、
この本、
着想は奇抜なので、
ホラ話としての成立を期待したのだが・・・。

 



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