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映画『花嫁はどこへ?』

2024年10月17日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

結婚式をあげ、婿・ディーパクの故郷に向かう花嫁・プール。


インドにも大安吉日のような結婚日和があり、
乗った満員列車には、花嫁が数人いた。


インドの風習で、花嫁は夫と家族以外には顔を見せない、
ということで、ベールで顔を隠していた。
何度か乗客の入れ替えがあったり、
トイレに立ったりしているうちに、
席がごちゃごちゃになっししまう。


気づいた時には、下車駅で、
ディーパクはあわてて花嫁の手を引いて、列車を降りる。
バスに乗り、ディパークの実家に帰って、
花嫁のベールを取ると、現れたのは、別人だった。

一方、取り残されたプールの方は、
眠ってしまい、降りたのは、見知らぬ町
何事も夫任せだったプールは、
彼の家の住所も電話番号も知らない。
「夫に捨てられた」と噂されるから地元にも帰れない。
そんなプールを助けてくれたのは、
物乞いの男と少年、それに、ホームで食べ物を売るおばさん。
プールはおばさんの店で働きながら、
救助の来るのを待つ。

ディーパクの方も困り果てていた。
間違って連れて来た女性・ジャヤは、
夫と自分の名前を偽って告げ、
出身や町も、どうやら嘘らしい。
その上、家に居座ってしまう。
はて・・・

という花嫁取り違え事件の顛末。

箱入り娘だったプールは、
初めて働き、給料を得る喜びを知る。
ジャヤは人々と交わり、
本当にしたいことを実現する。
予期せぬ旅を通して、
新しい価値観と可能性を手にし、
人生を切り開く二人の女性の物語でもある。

途中、ジャヤが犯罪者の疑いをかけられたり、
夫が訪ねて来ての一悶着があるが、
最後は、警部補の粋な計らいで決着し、
プールとディーパクは再会する。

ダンスシーンばかりがインド映画じゃないとばかりに、
じっくりと描かれる人間ドラマが楽しい。
踊りはないが、歌で物語が進行するのは、
やはりインド映画。

舞台が都会ではなく、
徹頭徹尾、農村での出来事。
美しい風景の中で、
登場するのは、善人ばかり。
(一人だけ悪人が出て来るが) 
それでも、結婚事情、持参金
男女差別、女性の人権、高度教育への門戸、
鉄道事情、警察の腐敗など
インドの様々な問題点も織り込まれる。
涙と笑いの中に、そうしたスパイスも利いている。

プロデューサーはインドの大スター、アーミル・カーン


脚本コンペで本作の原案を発掘したアーミル・カーンは、
脚本をふくらました上で、
監督に元妻・キラン・ラオを起用。
最初、警部補の役を演ずるつもりだったが、
自分が演ずると、
この人物が何かするぞ、と観客が予想してしまうので、
代わりに知名度が低いラヴィ・キシャンを起用。
配役に高名な俳優を起用するリスクを回避した、
賢い選択だ。

トロント国際映画祭でスタンディングオベーションを巻き起こし、 
映画評価サイト「Rotten Tomatoes 」では
批評家100%、観客95%の支持という驚異の高評価を得た。

花嫁二人、夫のディーパグはじめ、
登場人物が全て魅力的。
インドの人々の善良さが描かれ、
爽やかなエンディングで、
観客をみな幸福な笑顔にする、
まさに映画。

5段階評価の「4」

新宿ピカデリー他で上映中。

 



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