カエサルの世界

今年(2019年)1月中旬から「休載中」ということになっているのだけど、まあ、ときどき更新しています。

・日本国憲法

2015年09月27日 | ☆その他いろいろ 

 日本国憲法の第一条を「画像」にしてみました。
 バックのモチーフは「日の丸」ですか?
 そう考えてもらってもいいですけど、気にしないでください。国旗とか国歌の話になったら、長くなっちゃいます(笑)
 今回のテーマは、日本国憲法です。

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

 小学生のときなのか、中学生になってからなのか、この条文を初めて読んだとき、ものすごく疑問に思ったんですよ。
 「象徴」ということですか?
 それもある。「日本国の象徴」と「日本国民統合の象徴」とがどう違うのか、とかね。でも、何よりも不思議だったのは「日本国民の総意に基づく」という言葉なんですよ。
 この言葉を単純に解釈すれば、「日本国民のうち一人でも反対する者がいれば、天皇は日本国の象徴ではなくなる」という意味になる。
 逆に、「天皇を日本国の象徴として認めていない者は日本国民ではない」という意味にもなる。
 「総意」というのは「全員の一致した考え」という意味ですからね。
 しかし、国民全員が一致した考えをもつなんてことは絶対にありえないわけで、そのことを前提として考えた場合、一般的な言葉としての「総意」と法律用語としての「総意」は意味が異なるということになる。
 この国には、いろんな考え方をする人がいて、いろんな感じ方をする人がいます。天皇制をなくそうとする人もいるし、天皇を神格化しようとする人もいるわけですが、いずれも日本国民であることに変わりはありません。 
 憲法を護ろうとする人もいるし、憲法を変えようという人もいます。
 カエサルは「護憲派」と言っていいのだけど、「改憲派」の人たちの意見を頭から否定しようというつもりはありません。それもひとつの識見だと思っています。
 玉虫色と言えば玉虫色、八方美人と言えば八方美人なんだけど、カエサルの基本的な立場というのはそういうところにあるね。
 憲法を変えたいなら、変えればいいのです。
 もちろん、正当な手続きを踏んだ上での話です。

第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

 時代とともにさまざまな状況が変わっていくのだから、当然、憲法だって改正しなければならないような場合があります。日本国憲法には、それを改正する場合の手続きがきちんと定められています。
 ただし、改正の手続きはかなり厳しいです。
 その折々の政権の都合や一時的な主義主張の興隆などによって軽々しく変えてはならないということだと思います。
 憲法を改正できるのは、まさしく「日本国民の総意」が形成されたときだけと言ってもいいのではないかな。
 安倍自民党は、この96条を先行改正しようとしました。自民党が政権与党に復帰した2012年総選挙での政権公約です。
 選挙のときはほとんど話題にならなかったのですが、安倍首相は96条改正に対する積極的な意欲を表明して、物議を醸しました。
 護憲派のみならず改憲派からも猛反対にあい、1年足らずでトーンダウンすることになりましたけどね。
 今でも、あれは何だったんだろう?と思いますよ。
 穿った見方ということになると思いますが、安倍さんの作戦だったという気がしてならないのです。「ものすごくとんでもないこと」を言い出すことによって、「ただのとんでもないこと」を何でもないことのように感じさせてしまうのです。
 安倍政権には、そのようなところがあるね。
 数々の失言が相次いでいて、撤回したり、謝罪したりはしているけど、じわじわとその方向に押し進められているという気がする。
 自民党の「暴言」を集めてみました。順不動・敬称略です。カエサル自身が出典を確認していないものもあります。

 安倍晋三 「みっともない憲法ですよ、はっきり言って」

 麻生太郎 「ナチスの改憲手口を学んではどうか」

 西田昌司 「そもそも国民に主権があるということがおかしい」

 菅義偉  「国民が冷静な議論などできるのか」

 細田博之 「憲法はただの法令だ」

 船田元  「立憲主義を守ると国が滅ぶ」

 礒崎陽輔 「法的安定性なんて関係ない」
 こうした発言の出た文脈というものもあるだろうし、撤回したり謝罪したりしているとは言うものの、さすがにすごい。
 こういう発言と相まって、数々の法案が成立していくんだから、なんか、こちらの感覚が麻痺してくる。
 安倍政権はそういうことを意図的にやっているという気がするのです。
 カエサルは「三歩進んで二歩下がる」と呼んでいます。政治手腕としては見事だと思います。恐ろしいです。
 自民党はもともと改憲を掲げてきた政党ですが、長い間、具体的な言動をすることはありませんでした。「日本国憲法改正草案」を発表したのは2012年の4月です。
 改憲を口にすること自体は悪いことではない。
 改憲・護憲が国民的な話題となってきたことについては、安倍政権の功績として評価していいと思っている。
 自民党の改正草案には、9条を改正し、国防軍を持つということが明記されています。カエサルとしてはとんでもないことだと思っていますが、一つの意見として認めざるを得ないだろうと思っていました。
 しかし、「改憲」と「違憲」とは違います。
 安倍政権は、やってはならないことをやってしまいました。
 「解釈改憲」だね。
 確認しておいた方がいいと思うのだが、どのような法令にも「解釈」というものは必要になる。特に憲法の場合、その解釈ができなければ、それに基づいた立法をすることはできない。
 その解釈を、最高裁判所などではなく、内閣法制局というところが行っていたということは不思議だと思うのですが・・・。
 内閣法制局などというものがあるということは、今回の安保法案で初めて知りました。でも、歴代の内閣法制局長が、今回の安保法案は違憲だとして非難していることなどを考えると、これまではきちんとした仕事をしていたんじゃないかな。
 しかし、内閣は内閣ですから、総理大臣の一存で人事が変わってしまいます。「法の番人」がつくべきポストに「総理大臣の番犬」がついてしまいました。そういうことが簡単に起こってしまうシステムだと思います。
 その権限が内閣にあるかどうかはともかくとして、解釈の決まってないものに対して解釈をするというのは必要なことだと思います。
 しかし、解釈の決まったものに対してその解釈を変更するという権限まで内閣にあるとは思えません。
 もし、そういう権限があるのだとしたら、その折々の内閣の解釈しだいで憲法を自由に変更してよいということになってしまいます。
 そういうことを、安倍政権はやってしまったね。
 このままであれば、内閣の解釈しだいで憲法の変わってしまう国になってしまったと言っていいでしょう。
 何度も同じ事を言うようだけど、カエサルとしては、集団的自衛権を主張する人たちにも、一つの見識として、一定の理解を示しているつもりなのですよ。まあ、反対なんですがね。
 でも、そのこととこのこととはまったく次元の異なる話だと思います。内閣の解釈しだいで憲法を変えてしまっていいのか。


 このへんで画像を入れたいと思ったんですけど、ないものですから、冒頭の画像としてつくってボツになった画像を持って来てみました。
 今回の記事は、このへんでおしまいです。
 25文字以内で要約してみると、「内閣の解釈しだいで憲法が変わる国にしてはいけない」ということです。
 今回の記事を書き始めたときは、国旗・国歌の話、天皇制の話などが延々と続いてしまったんですよ。書いている途中でも、他に書きたいことがいろいろと出てきてしまって、それを抑えるのにたいへんでした。
 カエサルは、安倍政権に対して批判的な立場にあります。「アベ政治を許さない」「安倍首相から日本を守ろう」などというのはまさしくその通りだと思っています。
 同じような立場の人の意見を、ツイッターやフェイスブック、ブログなどで見ることは多いのだけど、最初に結論ありきで、ただ感情的になっているというか、なんか嫌だったんですね。カエサルは、そうじゃないものを書こうと思っていました。
 うまく書けたなどというつもりは毛頭ありません。おそらく、UPした後で何度も書き直すことになると思います。
 「玉虫色の八方美人」を自称するカエサルですから、このブログで政治的なことなど書きたくなかったという気持ちがあります。でも、そんなカエサルをしてこうした記事を書かせてしまうだけのことを安倍政権はやってしまったし、これからもやり続けるだろうという恐怖感があるわけです。
 このおちゃらけたブログで、どうすれば政治的なことを書けるのか。試行錯誤の途中ということになります。
 できればコメントが欲しいという気持ちもあるし、そういうのが来ちゃうと面倒だな・・・という気持ちもあります。
 とにかく、今の日本は、もはや黙って見ていられる状況ではなくなってしまった・・・というのがカエサルの認識です。
 カエサルなりのアンガージュマンということですけど、とりあえず、明日は政治的じゃない記事を書こうと思っています。

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