何ヶ月か前、ほぼ同じ時期に二つの事件が起きた。曖昧な記憶のまま書くが二つとも医師が関わっている。ある医者が通勤途中の駅の改札口で射殺された。犯人は精神異常者で己の体調の異常を医師の治療に拠るものであると逆恨みした上の犯行であったと云う。拳銃は暴力団組員より購入されたそうだ。違う病院の医者がある患者の足の手術をした。病状は重く、患者は片足を失う事を覚悟しながらも「切る足を間違えないでくださいよ」と、医者に言って笑ったと云う。医者が切る足を間違えた末に、患者は両足を無くした。この二つの記事を並べて読んだ時、どれだけの人がこう思うだろうか。「こっちの医者が殺された方が良かったのに。」と。
過去十数年に書いた文章は大学ノート一冊に満たない。何も書き残さなかった年も有る。義務の無い行動を自ら習慣付ける意思の強さを私が持たない事もあるが、日々の暮らしを文章に書き残す事には照れと懼れが有り、時事ネタに感想を述べると云った書き方をしていると、ある程度の事を書いてしまうと後はかつて書いた物の再現になってしまう。私の感想は日々変わる程不安定では無い(多分)という事と、世間で起きる物事は定期的に起きる災害と不定期に起きる事件の繰り返しであるからだ。そして私が健全な話題に関心を持てない事をノートを見ていると気が付く。