終戦

海底に旧海軍最大潜水艦＝米軍処分の「伊４０２」―長崎
を「あるべき形」で迎える為に、アメリカに「第三の原爆」を東京に落とさせるべく画策する帝国海軍軍令部第一部第一課長、浅倉良橘大佐を軸に展開する架空戦記小説「終戦のローレライ」（福井晴敏著、２００２年）に附いては、其れを読む前に映画化された「ローレライ」（樋口真嗣監督、２００５年）を先に見て居るので、ビジュアル的にメインである「伊５０７」（同盟国ドイツからの譲渡潜水艦）が東京に向かう「B―２９」と対峙するシーンに向けてイメージを掻き立てる儘、読み進めた処、大日本帝国の上層部で或る軍部や政府及び○○を存続させる事に為りかねぬ「降伏」を認めず、完全に敗北させるべき、とした浅倉大佐の決意と、其れを阻む形に為る主人公の苦悩が浮かび上がる物語の構造が知れるのだった。