茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

茶道具 ‐蓋置‐

2005-09-17 19:59:14 | 茶道具
 蓋置は、釜の蓋をおく台。柄杓を置く際にも使われる。台子皆具の1つとして存在していたものが独立して様々な材料や形で作られるようになった。素材としては、竹、唐銅、陶磁製がある。

 一番ベーシックな竹蓋置、白竹と青竹とあるが、通常は白竹を使う。青竹は1回限りの使い捨てが原則となる。高さは5.5センチほど。風炉用と炉用では節の位置が違う。風炉用は節いっぱいにさかさ竹を引き切りして作る。炉用は、節が中程よりちょっと上にくるように作ってある。
 唐銅・陶磁製では吹貫(ふきぬき)という円筒型がベーシックだが、他にも色々な形がある。
 特に七種蓋置と呼ばれるものがある。穂屋(ほや)、一閑人(いっかんじん)、三つ人形(みつにんぎょう)、蟹(かに)、さざえ、五徳(ごとく)、三つ葉(みつば)の七種。これらは運び点前ではなく、棚を使ったお点前にふさわしい。以下にひとつひとつ説明します。
①穂屋 ふつうは唐銅製。火舎、火屋とも書かれ、古くは香炉の蓋置といわれたように、香炉の応用で必ず共蓋がついていて、これを裏返して蓋や柄杓を置く。つめが奇数の時はひとつを前にして、偶数の時は2つを前にして飾る。
②一閑人 人形が井戸の中をのぞきこんでいる形。材質は陶磁、金属など。扱いは人形と向かい合うようにする。建水を持った時に人形と亭主が向かい合うように建水の中に仕込む。取り出す時には、左手のひらで人形の頭が火の方にむくように右手で横倒しにして手なりに置く。
③三つ人形 三人の唐子が互いに手をつないで輪になっている形。陶磁・唐銅ともあり、古くは中国製の青磁もある。一般に3人のうち1人が他と違った服装をしており、これを正面にする。柄杓をひく時は正面の人形の頭に柄杓の柄がつくように置く。
④蟹 材質は様々。もとは筆架といって筆を置く文房具、墨床といって墨を置く台を応用してものといわれる。扱いは生物とはいつも向かい合うように扱う。建水には頭を点前に仕込み、取り出して頭を柄杓をひく方向に手なりに置く。
⑤さざえ 昔はさざえの殻を使用したらしい。今は陶磁か金属製。建水には蓋をのせる側(口を開いている側)を上にして横向き、とがった頭を火の方に向くように仕込む。(炉はとがりが左、風炉はとがりが右)飾る時は打ち返して口を下にし、とがりを火付けに向くように置く。
⑥五徳 別名かくれが。炉や風炉に用いる五徳の形を小さくしたもの。唐銅・なんりょう(銀製)・陶磁製。一般に風炉や炉に五徳を使っていない時に用いるのがよい。建水には輪を上にして1本つめを向うにする。棚に飾る時は打ち返し、つめを上に、1本つめを向う正面にする。
⑦三つ葉 三枚の木の葉を重ねて輪形にしたもので、ふつうは大小の葉が上下に交互につく。建水には小さい方の葉をした、1枚を正面にして仕込む。棚には打ち返して大葉を下にし、2枚を前にして飾る。

 蓋を置くだけのものにも様々な意匠を凝らしたことには驚く。竹はシンプルなだけに同じ素材でできた柄杓と一緒に使うことでその美しさとバランスが引き立ち、七種蓋置は機能的でデザイン性も抜群のお道具といえるでしょう。
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