茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

茶箱 その1

2005-09-20 21:32:23 | 茶道具
 習っている方には御馴染みの茶箱、茶籠。お茶を点てる為の最小限の道具を持ち運びできる小さな箱(籠)に仕組んだもの。なんともかわいらしく、実用的で、大好きなお点前のひとつである。その歴史について。
 
 茶箱(籠)は利休様の時代から携帯用として様々な形で好まれたり、他の品を見立てて使用してきたもので、歴代が好まれ、中でも十一代玄々斎は伊勢松坂に出張稽古に出かけた際、これまで点前の順序が決まっていなかったのを不便に思い、「雪」・「月」・「花」の点前を構築、更に「卯の花」点を考案されたことでお稽古の1つに加わった。
雪月花とは、冬秋春の3季節に寄せた点前、それに茶箱の平点前というべき卯の花点て(持ち運ぶゆえに袋に入っていた諸道具を袋から出し簡単にしている)を夏の点前として完成させ、四季にちなんだ点前が完成したそうです。何故卯の花が夏の点前かというと、玄々斎が初夏に庭先で卯の花が真っ白に咲き乱れているのを見て「雪月花一度に見する卯木哉」という松永貞徳の俳句を思い出し、決めたとの話が伝えられている。
 玄々斎以降、十四代淡々斎が、父円能斎が愛用していた御所内で用いる御用籠を御所籠と名づけて新たに色紙点という点前を構築された。更に、戦時中に陣中点前として工夫され、戦後アレンジを加えた和敬点ができ、この6つが茶箱点前の全てとなる。

 わが社中では、夏になると茶箱点前のお稽古をする。1年ぶりだからと、茶箱の平点前の卯の花点から始めると月や雪、色紙点まで到達できないので、最近は卯の花はとばして雪や月から始めるようになった。それぞれが微妙に違うので、この差を頭に入れるのがまた大変。それにしても、茶道具がこんなにもコンパクトに纏まるというのは感動ものである。それに点前の順番もなんと機能的にできていることか。点前の歴史や茶人の知恵は、知るほどに頭が下がる思いがする。

 茶箱に仕組まれたかわいらしいお道具たちについてはまた後日。
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2 コメント

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Unknown (南瓜柑)
2005-09-21 11:05:22
こんにちは。

今回も素晴らしい内容で、じっくり読ませて頂きました。

本当にこちらを読んでいくと、まだ若輩者の私にも少しだけ覚えていけるような気がします。



茶箱のお点前、まだ私は習ってはいないのですが姉弟子さんたちが先月、今月となさっておりました。

夏のお点前、というのはここで初めて知りました。もっと早く自分でも勉強しておくべきでした…悔やまれます。



お書きになられているとおり、あの小さな箱に詰まったお道具と、それを取り出し、使う様は本当に機能的で無駄がないですよね。お茶というとお点前の面倒さが良く言われていますけれども、実は全くの反対なのに、と思ったりしております。



昨日はお点前で、茶通箱、という初伝のお点前を拝見して参りました。

箱、と聞いていたから茶箱のお点前かと思ったら違っていたので、先生から笑われてしまいましたが…(苦笑)



では、長々と失礼致しました。
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Unknown (m-tamago)
2005-09-21 21:41:25
こんにちは。

いつもコメントありがとう。

MIXIで読ませて頂きました。茶通箱の許状をお取りになられたのですね。おめでとうございます。亭主と客と二碗お茶を点てなくてはいけないので、長くて、初めは足がしびれて大変でした。箱を扱う際の独特な指の使い方や袱紗を鳴らすなど、特徴のあるお点前、楽しんで下さい。



またお稽古の様子、教えて下さいね。

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