茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

亀蔵棗

2008-07-09 09:48:38 | 茶道具
 早いもので今年も後半に突入しました。
 お茶の世界でもガラスのお茶碗や水指といった夏らしいお道具が登場し、お点前も涼しげな趣向のものになっていきます。
夏のお点前
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/8c31773651e4968206235acd1fff8267
平水指と平茶碗
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/4f6b40d605528430709fa32709c0357b
 七夕は過ぎてしまいましたが、お稽古でも一年にこの時期だけしか使えない七夕のお道具が登場しました。皆さんも七夕を感じながらお稽古を楽しまれたのではないでしょうか。糸巻きの蓋置や笹飾りの絵の平茶碗、星を象った亀蔵棗(きぞうなつめ)もそのひとつ。どんなお棗か、ご存じですか。私の第一印象は、現代的な、幾何学的な棗だなあ。

 亀蔵棗は円能斎お好みの、九星を意匠してある黒中棗。九星とは、占いでよく聞く一白水星、二黒土星、三碧木星、四緑木星、五黄土星、六白金星、七赤金星、八白土星、九紫火星のこと。赤と青の漆で、甲に中央を意味する五黄、側面にそれ以外がかき巡らされた棗です。

 何故亀蔵棗というのでしょうか。その名の由来について、質問箱のコピーを以前先輩から頂いたものがあったので、引用します。
以下引用****
亀蔵と称した理由は辞書を見ても記されていません。円能斎五十年忌記念誌「円能鉄中宗室居士」の中の「好物」で目片宗允氏の書かれたものに
「辞書を見ても亀蔵はありません。しかし帰蔵という言葉があり、これは殷時代の占法、中国の古い時代の占いを意味します。また亀については、これも中国の大昔、兎という人が治水をしたとき、洛水にあらわれた神亀の背に九星文があり、これから九星ができたといわれています。そこで帰蔵の帰を亀に改め、亀蔵と名付けれたのではないかと考えられます」と記されています。
***********
 
 帰蔵は、殷の占法で、やがて八卦や陰陽五行説などに繋がっていったもののようです。
<御参考>帰蔵と九星について
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B0%E8%94%B5%E6%98%93
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E6%98%9F

 昔の人は数字の魔力や大自然の力を感じて生きていました。今なお、星占いや四柱推命・九星術などの、太陽や星の巡りをベースにした占いが流行っていることを考えても、根本的なところでは人間が感じるものは変わらないのではないかと思います。私自身も、自分の生年月日から算出された四柱推命や九星には少なからず信憑性を感じたりもします。暦や星にまつわる占いの仕組みについて詳しく書かれた本や記事を見たことがありますが、あまりに深く難しくて途中で理解するのを諦めてしまいます。けれどこれをひも解いて行ったら目に見えない宇宙の力みたいなものが見えてくるのではないかという思いにとらわれます。

 亀蔵棗は、円能斎がそんな昔の人の思いをすくい取り、仕立てたお棗なのでしょう。何故、どうして、このお棗が作られるに至ったのか、その過程や歴史がわかれば面白いと思うのですが、これ以上のことは今の私にはわかりません。ご存じの方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。

 亀蔵棗を使うと、星(七夕)の季節だなあと感じます。毎年1回、手元の星を見ながら、星への様々な想いを馳せます。
 茶道では、陰陽五行始め、宇宙や自然の偉大な力を感じさせる思想が点前や道具の奥に流れています。それらをひとつひとつ知るたびに、益々茶道の魅力を感じる私です。

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2 コメント

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ちょこっと (ぶり)
2008-07-09 22:38:48
調べてみました。
「茶の湯と陰陽五行」淡交社、ISBN4-473-061634-X
P.87に記事でご紹介のとおりの名前の由来があり、更に、
「本歌は一閑張の飛来一閑作で、大正9年(1920)、又玄斎一燈居士の150年記念として50個」とあり、web検索したところ、
http://www.meibi.or.jp/meibi_artfair/2008/mishima.html
この説明で、「亀は五星」から、更に検索して、
http://www.geocities.co.jp/Milkyway/4567/innyougogyou/kyuusei.html
http://www12.ocn.ne.jp/~hajime-1/show-k/K-095/K095-index.htm
を得ました。洛書については、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%9B%E6%9B%B8
おそらく、製作当時は、漢籍(列子)、九星図のことなどは、教養としてあったのだろうと想像しております。ですので、容易に、帰蔵→亀蔵を思いつかれ、かつまた、見る側もそれを容易に推察できたのではなかろうかと推論します。
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ありがとうございます (m-tamago)
2008-07-11 09:38:44
ぶりさん、おはようございます。
詳細に検索して頂いてありがとうございます。
調べ方が素晴らしいですね。私も検索かけてみましたが、こうはいきませんでした。なかなか中国の陰陽、占星に関する文章は難解ですが、読んでみてなるほどと思いました。

「茶の湯と陰陽五行」の本は読んでいて楽しいですよね。わかりやすいし。

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