茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

プラス思考

2005-08-08 22:08:00 | 思い出の人/素敵な人
 お稽古場には様々な人がいる。私はこれでも若手で、弟子をもっているような年配の方達がお稽古に来ている。知識も経験もあるので学ぶべきことが多い。
 茶道の世界で男性は貴重だが、我が社中にもお一人だけいらっしゃる。先生のお母様の代から習い続け、今60過ぎの男性。彼はもう正教授の許状までお持ちだが、寡黙で、お稽古場に一番にきて準備から片づけまで全てをこなす。ご自身の勉強も欠かさず、若い者への指導も細やか。かしましい女性の世界でこのように静かに自分のなすべきことをなさる姿には感動する。
 一方驚くような方もいる。例えば、茶道具の準備をしない、片付けない、順番を守らない。当初怒りの感情もあったが、最近は“だから準備や片付けの勉強をするチャンスに恵まれている”、順番も“若い人は遠慮するのが茶道の世界”と考えを切り替えた。思えば自分ももっと若い頃片付けもせず早く失礼したことがあったし、気づかない時は気づかないものなのだ。相手を責める前に自身を振り返り、プラス思考になると自分も楽になる。ゆるゆるとして事を荒立てないことも大切なことかもしれない。その男性の姿を見ていてそう思えるようになった。
 
 友人の紹介で、ある茶会に行った時のこと、ある一席で、正客がお道具のことを聞く度に、これは娘の夫がタイで、これは記念で主人が、と如何にも自慢げに説明する席主がいた。それぞれの道具は立派なのかもしれないが、興味を失った。正客も最後には誉めながら困っている風だった。席主はそれにも気づかず話し続けた。
 ある席では、季節の取り合わせがいかにも~というもので占められていた。また、正客が座ってすぐお会記を所望してしまう席もあった。前者は正客が席主に聞くまでもなく見ればお道具立ての意味が読めてしまい、後者は正客なのに席主との問答をしようとか席の雰囲気を良くし全員で楽しもうという気持ちがないことが明らかだ。いずれも風情がない。
 またある美術館のお茶席では、気軽にお入り下さいと案内していたのに、全く茶道の知識のない方が知らないまま正客に座ってしまい、席主が随分な言い方をしていたという話を聞いた。どうやら席主が○○流のお偉い方であったとか。折角の機会だったのに気軽に席に入ったこの方は茶道を嫌いになってしまったに違いない。残念なこと。

 大人になると誰も注意してくれなくなる。でも、だからといって認められているわけではない。事を荒立てたくないから言わないだけなのだ。誰かが私に注意してくれたら真摯に耳を傾ける人でありたいし、お互いに注意し合える関係を多く持ちたいと願う。
 反面教師の例ばかりをあげたけれど、もちろん、素敵な人もたくさんいる。さりげない所作にはっとさせれることも多い。様々な人に出会って様々な経験ができる。人間が練れていない私はよく怒ったり、不機嫌になったりする。喜怒哀楽がないのも人間として寂しいが、できれば、喜と楽がたくさんの毎日にしたい。
 茶道の場だけではない、自分がどう感じて今後の自分をどうするか、日々勉強と思っている。
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2 コメント

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はじめまして (えりこ)
2005-08-09 10:58:26
こんにちは。



mixiからお邪魔しました。

私は茶道をはじめて5年というまだまだ未熟者です。



たまごさんのBlogを読み、とても反省しています。

先生から教わった点前も忘れちゃったり・・・

自分の予定で早く失礼しちゃったり・・・。



これからもっと気を引き締めてがんばろうっと思います!
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はじめまして (m-tamago)
2005-08-09 23:33:58
えりこさん、コメントありがとうございました。

うれしかったです。

私も未だに点前も忘れちゃうし、社中の方にも迷惑かけているし、反省ばかりですよ。頭ではわかっていても実践は難しい。

最近やっと点前の細かいところの意味が見えて、疑問が生じてきて、少しずつ勉強しています。自分なりに、楽しみながらお稽古続けていけるのが一番と思います。茶道には楽しいポイントが一杯ありますし。



えりこさんのHPも覗かせて頂きました。

お互い、茶道を楽しみながら頑張りましょう!

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