今月12日に起きた九州北部豪雨による災害で、
九州地方にはまだ大きな爪跡が残っている地域があります。
今日は阿蘇市の災害ボランティアにいくつもりでしたが、
今朝8時の段階で、大雨洪水警報が発令中で、作業が休止していたので、
熊本市内の被災地に変更して、作業に夫婦で参加してきました。
熊本に来て2週間余り、「引っ越しのストレスで」とか「孤独なのよね」とか言っていた自分を、
また猛烈に反省することになりました。
東北でも感じたことですが、災害被災地に自分の足で立ってみると、
日常の甘い自分の有り様が恥ずかしくなり、がつんと頭を殴られたような衝撃を受けるものです。
生きているだけで幸せ、普通の日常が「有り難い」、
東北でそう学んだはずなのに、また怠けていたのだ。
「その場」に立つたびに、また「ゼロ」に戻る気がします。
豪雨災害の被災地に初めて入った感想は、被災した各家内部の状態が、
東北沿岸部での災害ボランティアで目にした光景と、ほぼ同じだったということ。
私の身長(約150センチ)より高い位置まで水がきた跡がくっきりと壁に残っている。
水害時の映像を見て、津波の記憶が蘇ったことを思えば、当然の状況かもしれません。
電気もまだ復旧していない。ただ、災害発生からまだ1週間余りですが、既に家々の畳がはがされ、
土台部分がむき出しにされた状態で、床下の泥をかき出すところまで進んでいる。
震災から1年以上が経った今でもその状態である東北沿岸部の被災地と比較すると、
格段に速いスピードで復旧作業が進んでいる印象でした。
ただその差は、東北の場合、沿岸部の端から端までぜんぶ津波に襲われたことと、
行政自体も被災していることや、
被災したひとたちの数が比較にならないほど大規模だったことが大きい。
熊本市内の場合に限れば、被災した地域が限られているので、ボランティアの数も集まりやすいのと、
また、駐車場から現地までバスのピストン輸送があるなど、
ボランティアの受け入れ態勢が行政ぐるみで整っている。
下の写真は、住宅街の真ん中にある公園で、災害ボランティア本部が置かれています。
消防本部のテント、ボランティア受付や罹災証明発行、各種手続きのブースがあります。
泥だし用のスコップ、くわ、バケツ、ネコなど必要な用具も揃っていて、
ボランティアへのタオル、飲料水などの提供もあります。
東北の被災地では、津波で多くの住宅や建物が根こそぎ流され、
ほとんど更地になってしまったところに、ぽつぽつと、かろうじて残った家屋で、泥だし作業をしたのに比べて、
今日作業した熊本市北区に限って言えば、住宅地自体はそのまますべて残っていて、
地域全体、お隣も、そのお隣も、5軒先のお宅も、町ぜんぶの家屋が残っていて、
それぞれが作業対象になっていることが、違う点でしょうか。
東北では万単位のひとがお亡くなりになり、
家屋を流されて、土台だけが残った場所に時折、墓標や花が供えられているのを目にしたりして、
とても平常心ではその場に立っていられないような気持ちになったものでしたが、
今日の作業地域ではそのようなことがなかったせいか、
思ったよりも作業先のお宅の方々は気持ちがしっかりとしていて、
ちゃきちゃきと明るく、作業指示を出して、一緒に作業をされていたのが印象的でした。
被害は一目瞭然に甚大で、依頼件数に比してボランティアの数が足りないそうですが、
東北の被災地を見た自分から見ると、
これはごく個人的な印象でしかなく、誤っているかもしれませんが、
このペースで行けば、今日の地域はきっと1年後には、ぐんと復旧が進んでいるのではないかと感じました。
まだ一か所で作業しただけなので、全体像がわからないし、
もっと被害の大きい地域がどうなっているか、自分の目でみてみないことにはわからないけれど、
確実に、明日への光は、見える。
阿蘇では今日も、自衛隊や消防による、行方不明者の捜索が行われています。
住民の方々の避難所生活も続いています。
ひとが集まりやすい熊本市内と違い、人出が市内よりも尚足りないと言われており、
気にかかるところです。
さて、作業先の町の中、週末の今日は各地から集まったボランティア達で溢れていました。
今日たまたま一緒に作業することになったグループは半数が女性で、同年代の女性がたくさんいたので、
久しぶりに女同士で話したり笑ったり出来て、他愛もない話でもそれは私にはふくふくと嬉しいことでした。
ボランティアの年代は老若男女揃っていますが、夏休みに入ったせいか、大学生の姿が目立ちました。
女性の姿が思いのほか多かったのは、個人的には嬉しいことですが、
泥だしなどの重労働が主なので、やっぱり大学生や男性陣の労力なしには円滑に進みません。
今日のグループのリーダーの男性、Tシャツの背中に「負げねーど、南三陸」、
ヘルメットに「石巻!」と書かれていたので聞いてみると、仙台から来られた方でした!なんと。
しばし、仙台話に花が咲いたのでした
東北沿岸部でも、ここでも、泥に浸かった家で、
日常生活だと半年分くらいの汗を流しながら作業をしていると(いやホントに)、
「これが自分の家で、もし誰も手伝いに来てくれなかったら、どんなに辛いことだろうか」
と思います。
何軒かのお宅で作業をさせていただきましたが、最後のお宅の方が、
「今日までうちだけ誰も入ってくれなくて、ずっと自分ひとりでやっていた。本当に助かりました」
と仰っておられました。
そのお宅の状態は他と比べて大変深刻で、30人近くの人間が総出で泥だしをやっても、
遅々として進まなかったのですが、それでもじゅうぶんだ、と大喜びされていました。
ボランティアは、自分がやりたいからやっている、それだけは間違いないけれども、
それで喜んでくれる誰かがいるなら、どうぞこの力をどれだけでも使ってください、と思うのでした。
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