訳あって私はいま宙ぶらりんな状態だ。
やろうとしていたこと、やり始めたばかりのことが事情により悉く白紙になり、とても残念だったがでも、「覚悟がついた、気持ちを切り替えた」と思った矢先に今度はその「事情」のほうが白紙になり、ということがあって、そういうわけで来年の春くらいまでの数か月間宙ぶらりんなのである。
私は転勤族妻だから、せっかく始めたことや楽しくなってきたこと、力がついてきたことなどが夫への辞令と共に白紙に戻されることの繰り返しだったので、気持ちを切り替えるのには慣れているとはいえ、宙ぶらりんになったあと数カ月を、なにしようどうしよう、と思い悩まないでもない。どころか気が付くとここ数日くらい、まったく笑っていないしひととも会っていないことに焦燥を覚えた。
ひとは食べたもので出来ている、と言われる。
You are what you eat.
付け加えるなら、今日食べたものと、今日なにをしたか、で出来ていると思う。
というわけで、いったい私はなにで出来ているのであるか、を考えるために、食べたものを記録することにした。
朝ごはんなのかランチなのか夕食か、そのへんはランダムで、これを食べたな、と記憶に残るものを書いていきたい。
今朝は、ゆめ(愛犬)と西南杜の湖畔公園を散歩した後、ひとりで資さんうどんに入って朝定食を食べた。
資さんうどんは、昨年大阪から福岡に越してきたその日に夫と一緒に食べた。九州ではメジャーなうどん屋さんで、うどん県の福岡でも人気の高いチェーン店だ。
もちもちと柔らかく、「福岡のうどんは柔らかくてびっくりしたでしょう」と福岡のどなたかに言われたが、三重県出身で伊勢うどんに馴染む私には、柔らかさの中にも弾力を感じ、とても魅力的なうどんだと思う。
さて私が注文したのは、朝定食というカテゴリの中の「かしわうどん定食」というもの。
メニュー表の隣に載っていた「肉うどん定食」と迷ったが、鶏肉の歯ごたえが恋しい気がしてかしわにした。
定食のごはんにかける生卵も追加した。
小川洋子の『夜明けの縁をさ迷う人々』のページを繰り始めて間なしにトレイにのせられて朝定食が来た。
「ご注文のお品はお揃いでしょうか」「はい」
でお箸を手に食べ始める。と、「ん?」お肉がひらひらしている。
ひらひらしたお肉はよく味が染みていて、甘めのお肉の味とうどんの出汁が合わさってなんとも言えない美味しさだ。
ゆめと散歩した後で空腹だったこともあり、それは神々しいばかりの美味しさだった。
がしかし、ひらひらしたお肉は果たして「かしわ」なんだろうか。
もしかして、メニュー表のかしわうどん定食の隣に載っている「肉うどん」の方ではないのか。
かしわうどん定食は480円で、肉うどん定食は500円・・・。
店員さんが卓上に置いていった伝表を裏返してみると、ちゃんと「かしわうどん定食」となっている。
もしもこのひらひらのお肉が肉うどんなのだとしたら、私は20円分をどうかしていることになる。
詐欺ではないし、得したのかというと、かしわが食べたかったわけだからそうでもないけど、うーーん。
でもひらひらしたお肉が肉うどんであるという確証はなく、これがここのかしわなのかもしれん。
鶏肉をひらひらにする技術が優れているのかもしれん。
と煩悶しつつ、でもとにかく美味しいのと、後で店員さんが「あっ!(間違えて肉うどんを出してしまった)」となるといけないので(ならないか)、お肉のひらひらを一片も残さずに食べ終えた。
なんとなくドキドキした朝定食だったが、あとで調べてみたら資さんうどんのかしわはなんと、ひらひらしているのだ!!
「資さんうどん かしわうどん」で検索すると、ちゃんとひらひらのお肉がのっている。
私の中のかしわの概念(私の実家はうどん屋)とはまったく違ったため、要らぬドキドキであった。
やっと湿度が低く過ごしやすくなった福岡。
仕事を辞め、ボランティアも辞め、なのに宙ぶらりんでいる気候の良い福岡。
一日一日、充実させられますように。
〈今日食べたもの〉
・資さんうどんのかしわうどん定食
・梅としらすのおむすび茶漬け
・鶏肉とピーマンの甘酢炒め(夕飯)
〈読み終えた本〉
・アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』
〈今日観た映画〉
・「めがね」
・「ちいさいおうち」
・「かもめ食堂」
アガサ・クリスティーの『春にして君を離れ』は、砂漠の中で路頭に迷う話なのに手足の温度がだんだんに冷えていくような、心理的にぞっとする怖い小説だった。久しぶりにブログを開いて、自分についてちゃんと考えたり記したりしようと思ったのも、この本が少しは影響したかもしれない。
「めがね」という映画はもう何十回も観ている。「何十回」なんて大袈裟な、というのでなく私は本当に同じ映画を何十回も繰り返し観るので、夫が帰宅するたびに同じ映画がいつもついていて、恐れられている。
「めがね」という映画は何が起こるというわけでもなく、淡々と穏やかに海辺の時間が流れていく。小林聡美さんの空気感が好きで、本を読んでいる時も、これを書いている時もBGMのようにずーっと流している。なりゆきや結末、台詞のひとつひとつまで暗唱できるほどわかっている映画は落ち着くし、私にとっては音楽と同じだ。
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とても久しぶりのブログで、またまっさらな感じです。
頑張って更新していきたいです。
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