「makoちゃん、知っとる?」
「この草な、食べると甘いんやで」
細長い草を口にほおばり、くちゃくちゃやって、ぺっと吐き出すのでした。
「やってみ!」
好奇心の強い私は言われるままにその子の真似をして噛んでみたのだった。
甘いと言うのかな・・。
でも、こんなこと知ってるこの子は凄いんだ、と思ったことを憶えている。
で、「ほんと、美味しいね!」とまで言ってしまった。
学校帰りの畦道での景。
何と長閑なこと^^。
「makoが草を食べとったで~」
「おまえんとこのおヤツは草なんかぁ~?」
翌日、2、3人の子にそう言われた。
勿論、昨日、一緒に茅花を食べた子もいたのである。
冗談で言ってるのかどうかはその子の顔を見れば判る・・・。
・・・だって、「 H ちゃんが食べよ、って言ったもん」
「そんなこと俺言う訳ないやん」
そりゃ、母親も亡くなって、村一番の貧乏だったし・・。
「いじる」には格好のターゲットだったのかもしれない。
なんだか悲しかったな~
私を笑いものにしたかっただけだと気が付いたからだ。
ぼうっとしていた私だけど、学習するので
そういう子たちとは遊ばないようになったことだった。
私の家のすぐ裏のバア様の庭には「ぐみ」の木が植えられていた。
そのグミの色つ"く頃になると父がこう言った。
「ええか、絶対、裏のグミの木には近寄るな」
その意味が判らなかったけど父の言い付けを守った。
ある日、事件が起きた。
茅花を「食べてみ」、と言った男子が起こした事件。
そのグミを盗み食いしているのをバアさまが見つけたのだ。
大きなグミの木は井戸の近くにあり、
鈴なりに実を付けていたのを思い出す。
そら、あの赤い色は美味しそうに見えていたものね。
父の言い付けを守った私は、その意味が判ったのだった。
「makoちゃん、グミがもう色んできたで採りにおいで~」
裏の兄ちゃん (バアさまの息子) が私を誘いに来てくれた。
「赤いのを探して食べるんやで」と言う。
なんか、嬉しかったなぁ~大きなグミは少しばかり弾力があって。
一つポンと口に入れてみた。
甘酸っぱい、渋いようなそんな感じだった。
子供心に期待していた甘さとは違い少しがっかりしたけど^^;
両の手に余るほど採って弟にも分けてあげた。
勿論、父の了解済でもある^^v
その兄ちゃんは、大きな枇杷の木に登り、
上から落としてくれたこともあった。
受けるのが下手だと潰れてしまうので真剣だった^^♪
あとで、ばあさまに叱られていたけどね^^;
「茅花」→「ぐみ」→「枇杷」思い出の一コマの食べ物である。
画像はネットから拝借しました。
宝石みたいです。