私が学生時代に受けた一般教養の授業で1番楽しかったのは「技術論」。
古代ヨーロッパの技術から現代に至るまで、技術の歴史を学ぶという授業だった。
この授業、とくに土木技術とは市民のための技術なのだと学んだのが印象的だった。
たしかMIFさんとつきあい始めの頃で、私のように建築と土木の違いも分からないド素人にはたまらなく魅力的な授業内容だった。
当時から私は橋が好きだった。
この授業で「端と端をつなぐのが橋」というダジャレみたいな言葉も納得してしまった。
さて、今回のこの漫画。
まさにMIFさんの仕事の世界だ。
この漫画の原題は「ダムの日」と言う。
MIFさんはダム工事に関わったことはないが、同じ土木技術者としてこういう雰囲気で仕事をしているのだろうな、と思う。
日本中の、道路、鉄道、橋、ダム、港湾施設、空港、区画整理など驚くくらいたくさんの土木構造物があって、そのどれにも工事に携わった人は山ほどいるのに、残念ながらその1人1人の名前は残らない。
せいぜいJV(ジョイントベンチャー)に関わった社名が残り、下請け会社までは名前は載らないことばかり。
漫画の中でもそれに触れていたりする。
本当は土木技術者は名前は残らなくても、やり遂げた仕事に本当に誇りがあるのだろう。
MIFさんも比較的私にその成果を見せてくれる。
多分「オレ、この工事に関わったんだぜ」と言いたいのかもしれない。
そういう意味では、ありがたいことにMIFさんの仕事の成果を目に見える形で知ることができる楽しみもある。
それと私には、主人公はちょっと優しすぎる性格で、それでは迷いが生じたら社会人として残れないだろうという気分になる。
普段MIFさんくらいしか土木技術者を知らないので、そう思うのかもしれない。
今は知らないが、私が若い頃の土木工事の現場はあまり知りたくもないような事も起こっていたのだろう。
そういったところは今はだいぶ見えなくなったと言うか、MIFさんからもそんな話を聞かなくなった。
じつは名前は残らなくても、快適な生活環境は土木技術が支えていることが大きい。
私が住む地域は、昔から多摩川の氾濫があったりしたそうだ。けれど今はそんなことはない。
多分、この先も多摩川の氾濫はそうそう起こらない災害だろう。
そう思えるのは土木技術のおかげ。
そういった災害が少ない住環境を支えているのが土木技術。
今の社会がもう少し土木技術をムダと言わない社会になって欲しいとせつに願う。
土木技術が税金のムダとは限らない側面を持っていることを知って欲しい。
土木技術は市民のための技術なのだから。
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makoto
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