「ギリシャのようになる」は完全に間違っているhttp://logmi.jp/14626より
麻生太郎氏(以下、麻生) マスコミが世の中へ流し、多くの人が信じている間違った話が一つあると思います。それは、日本という国が破産する、って話。これは簿記っていうものの基本がわかってない人がしゃべって、わかってない人が書いて、わかってない人が読んでいるから、いよいよ話がわからなくなっているんだと思います。今からわかりやすく例を説明するから、よーく聞いといてくださいね。
帳簿っていうのを見れば、まず借り方と貸し方と、二つがあるでしょ、簡単なこと言えば。今お金を借りているのは、みなさんじゃありませんからね。お金を借りているのは、政府です。お金を100借りていれば、必ず、100貸している人がいないとおかしい。帳簿って言うのは左と右が必ず揃うことになってますから。
100借りてる政府がいれば、100貸している誰かがいる。誰が貸しているんです? そうです、国民が貸しているんだね。ところが新聞を見てごらん、「子どもや孫に至るまで一人700万円の借金」……違うでしょう。700万円の貸付金が起きているんですよ、あれは。貸しているのはみなさん。
「いや俺、国債なんか買ってないよ」と言われるかもしれませんが、みなさんはお金を銀行に預けておられる。銀行にとって預金は借金ですから、帳簿の上では借金ですからね。だからその借金を誰かに貸して、その”さや”を稼がないと金貸しという商売は成り立ちません。銀行って聞こえはいいですけど、金貸しをやっているんですから。金を借りる人がいてくれない限りはあの職業は成り立たないんだから。
ところが今、みんな借りない。誰もお金を借りようとしない。少なくとも、預金する人は多いけれども、借りる人がいなければ銀行は潰れてしまう。その借りてくれる人を探している金が年間約30兆円くらいある。約30兆。年によって違うけど。誰かがそれを借りてくれない限りは30兆でデフレになりますから、それを借りてくれているのが政府。政府が借りて、みなさんが貸してるの。
みなさんが貸してるってことは円で貸しているんだからね。円で貸しているのよ。日本の国債の94%は日本人が買ってます。残り6%は外国人が買っているけれども、その人も円だけで買っているから100%円で賄われていると思ってください。
「ギリシャと同じになっては大変だ」ってまだ叫んでいる元財務大臣経験者の方がいらっしゃいますが、ギリシャは、ギリシャ発行の国債のうち、ギリシャ人が買っているのは3割です。残り7割は、ギリシャ人が買ってくれなくてしょうがないから国債相場に出す。国債市場はお金持ちがみんな、「ギリシャ人や政府は信用できない」って眉に唾付けてみてるもんだから、誰も買わない。
だからギリシャはその金利を上げにゃいかん。ちなみに現在は13%。日本は0.9%から1.0%です。13倍から15倍違うんですよ。したがって、日本という国は間違っても、日本の政府が借金しているのであって、みなさんが借金しているのではない。
それと、当然円で賄われているから、いざ満期になったときどうすればいいかって、日本政府がやっているんですから、日本政府が印刷して返すだけでしょうが。だって日本円なんだから。簡単なことだろうが。外国に返すんだったら、そりゃドルに替えにゃいかんよ、ユーロに替えにゃいかん。ギリシャはみんなそうです。(日本は)全然違います。だから返さなくていい。
旧大蔵省とマスコミが煽っているだけ
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麻生 いやしかし、そんなこと言ったって「財政が破綻する」と大蔵省が言ってます、っていうけれども、15年前、武村正義という人がいて、いや、まだ生きておりますが、時の大蔵大臣、細川内閣で働いておられたんだが、「財政破綻宣言」っていうのを言ったんですよ。
その時日本のGDPは500兆です。今とほとんど変わりません、500兆。いいですか。その時の国債発行高は450兆だった。今は900兆ですからね。あの頃は今の半分よ。稼ぎは500兆、変わらず。でも破綻してないじゃない。
しかも金利はどうだ。あの頃は3.2%ですよ、確か。今は1%、おかしいじゃない。会社の内容が悪くなったら金利が上がるのが当たり前だろ。なんで日本だけ下がるの。世界中で内容がいいんだって評価されてるからだよ。
大蔵省がえらく危機感を煽ってみたり、新聞はわけのわからない政治部が経済をわかったつもりで書いてみたり、それをまたわかったつもりで読んでみたりする人がいて、話がどんどんどんどんエスカレートしているけれども、現実問題、金利は下がっとる。上がる上がるって言い続けて20年間ずっと下がったよ。ほとんどずーっと下がったね。
それが日本という国の持っている力ですよ。みなさんの力だよ、これ。政治家の力でも何でもない。国債マーケットが決めているんだよ。こんな景気が悪いのに円が上がるって、他の国の通貨が悪いから、他の国の経済がもっと悪いからこうなってる訳で、ぜひその辺をもっと考えて。決して悪くない。これだけは頭に入れて、少なくとも。
日本国債の現状は”家庭内での貸し借り”と同じ
麻生 家庭で考えればわかりやすいよ。父ちゃんが「会社で困ってるんだ。母ちゃん金貸してくれ」って母ちゃんに言って、母ちゃん金利とるか? なかなか父ちゃんに貸した金って取り立てもしにくい。そんな具合。だって郵便局にお金預けて、その郵便局が国債を買っているのだって、相手が国なら同じことでしょう。左のポッケから右のポッケに入れ替えたって。
世界中はそれを知っているから「あいつら円だけでやっているんだろう」ってみんな思っているんです、世界中でこういうことやってる人は。だからいくら「大変だ大変だ」って言ったって、世界中は日本の国債を買いたがってる。金利がこんな安いのに。
そして円は、ついこの間まで240円だったんだ。今は83円、4円5円(当時)。えらいことですよ。そういうぐらいになったくらいからじーっと持ってたら、そりゃどんどん値打ちが上がっていくんなら、外国人は円持ってた方がいいもん。高くなるんだから。そういうことを計算して、世界中のお金持っている人はお金を動かしている。
ぜひ、そこのところだけ頭に入れておいてもらうと。帳簿に例えるのと、母ちゃんから金借りる話と、これくらいに因数分解してわかりやすく話せば、だいたい分かってもらえるんじゃないかと思っているんですけれども。
(会場拍手)
政府と中央銀行を統合http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51314
ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学教授のスティグリッツ氏が来日し、経済財政諮問会議で、財政政策による構造改革を進めるべきだと提言した。
そのなかでスティグリッツ氏は、政府や日銀が保有する国債を「無効化」することで、政府の債務は「瞬時に減少」し、「不安はいくらか和らぐ」と発言した。
実は彼のこの主張は、日本の財政の真実を明らかにするものだが、具体的になにを意味するのか。
スティグリッツ氏のこの提言には様々な前提がある。まず、「統合政府」とよばれる考え方を押さえておきたい。これは財政や金融問題について、政府と中央銀行を一体のものとして考えることを指す。
たとえば日本の場合、中央銀行である日本銀行は実質的に政府の「子会社」といえる。だから、民間企業でグループ会社の資産も連結決算で考えるのと同じように、政府と日銀の資産は連結してみることができるということだ。
ちなみにこれは「中央銀行の独立性」とは矛盾しない。中央銀行の独立性とは、政府の経済政策目標の範囲内でオペレーションを任されているという意味で、民間でいえばグループ企業が独立して営業する権利を持っているのと同じである。
この統合政府の財政状況を示すバランスシートでは、右側の「負債」はすなわち国債残高を示す。重要なのは左側の「資産」であるが、統合政府の場合この資産に日銀が保有する国債が含まれるのだ。
国の借金1000兆円のウソ
右側の国債残高はおよそ1000兆円、左側の日銀保有国債は約400兆円である。これらを「無効化」すると、国債残高は「瞬時に減少」するとスティグリッツ氏は主張しているのだ。
ちなみに「無効化」とは内閣府が用意した資料の和訳によるもので、筆者は「相殺」と訳すべきだと考えている。というのも、スティグリッツ氏が書いた英文原資料には「Cancelling」とあり、これは会計用語で「相殺」を意味するからだ。国全体の国債と、日銀保有の国債は「相殺」できると考えるとわかりやすい。
たしかに、日銀の保有国債残高に対して、政府は利払いをするが、それは「国庫納付金」として政府に戻ってくるので、利払いのぶん国債が増えることにはならない。
要するに、スティグリッツ氏は「国の借金が1000兆円ある」という主張を鵜呑みにしてはいけないと警告している。
この考え方をさらに進めると、政府の連結資産に含められるのは、日銀だけではない。いわゆる「天下り法人」なども含めると、実に600兆円ほどの資産がある。これらも連結してバランスシート上で「相殺」すると、実質的な国債残高はほぼゼロになる。日本の財務状況は、財務省が言うほど悪くないことがわかる。
スティグリッツ氏は、ほかにも財政再建のために消費税増税を急ぐなとも言っている。彼の主張は、財務省が描く増税へのシナリオにとって非常に都合の悪いものなのだ。
彼の発言は重要な指摘であったが、残念ながら、ほとんどメディアで報道されなかった。経済財政諮問会議の事務局である内閣府が彼の主張をよく理解できず、役所の振り付けで動きがちなメディアが報道できなかったのが実際のところだろう。