友人と久しぶりに会い、よもやま話の中でぬか漬けの話がでた。
「俺ってぬか漬け好きなんだけど近所のスーパーのぬか漬けうまくないんだよね」
「俺が使っているぬか床を買ってみなよ。冷蔵庫にいれておくだけでうまいのができる」
それを聞いてバリ以来のぬか漬けを作ってみる気になる。頭ではわかっていても実際行動に移るのは人の話がきっかけになると改めて実感する。
早速ネットでぬか床を買い冷蔵庫に転がっていた古い大根とアスパラガスをつけてみた。
このぬか床は以前の記憶にあるぬか床よりもねっとり感が凄い。ぱさぱさのぬか床ではやはりよい味がでない。そしてここまでねっとりしてくるには時間がかかる。今は時間をお金で買う、そんな大げさな言葉が浮かぶ。
翌日食べてみるとうまい。近所のスーパーのぬか漬けにありがちな薬臭さがなく、塩味もまろやかだ。母親の作ってくれた味だ。
以来ナスやキュウリを毎日つけ足してかき混ぜることが日課になった。
「昼飯なんか御飯とぬか漬けだけで満ち足りた感じがする。あなたもそうなるよ、今に」との言葉が実際に現実となる日が迫っている。
ああ、おれってなんと人の言葉に影響されるんだろう。でもこういう影響のされ方はありがたい。