チリの山中で見かけたこの白い頭骨を見ていると「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」のなかにある頭骨が浮かんだ。そして「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」にはスキータ・デイビスの曲 THE END OF THE WORLD の歌詞からの抜粋が掲げてある。この歌詞に触発されてこの「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を書きあげたのだろうか。この曲とこの写真は実にしっくりと合う。
太陽はなぜ今も輝きつづけるのか
鳥たちはなぜ唄いつづけるのか
彼らは知らないのだろうか
世界がもう終わってしまったことを
この曲はスキータ・デイビスが大切な人を亡くしたときに作ったとある。
(ついで流れる「青い影 プロコル・ハルム」もよかった)
前方に長く突きだした顎は何かを語りかけようとしたところで急に凍りついてしまったかのように軽く開かれたまま固定し、ふたつの小さな眼窩はその中身をどこかで失ったまま奥に広がる虚無の部屋へとつづいていた。「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
そんな獣たちは死んだというよりはまるで何か重要な命題について深く考えこんでいるように見えた。 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
頭骨はきれいに処理され、一年間地中に埋められてその力を鎮められてから図書館の書庫にはこばれ、夢読みの手によって大気の中に放出されるんだ。 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」