マラケシュを旅すると、ときにその体臭から逃げ出したくなる。
そんなときにはマジョレル庭園のコバルト・ブルーを見るとよい。
画家マジョレルが1947年に作庭したとかイブ・サンローランが買い取ったなどの知識はいらない。
ただその素晴らしさに見とれるだけで頭の中にしっかりと収まり、その後長い間、折に触れて心を慰めてくれる。
清浄であるが色っぽい。
クールであるが温かい。
水の味わいだがどこかミルクの味もする。
ベルベルのブルーだが南フランスのブルーでもある。
見ていると心を沈めてくれるがハッピーにもしてくれる。
ささやかに世界を旅してみたがこれだけのブルーは目に触れなかった。