
日本の朝も良いがときおりバリの夜明けが恋しくなってくる。比較することは意味のないことでそれぞれが良いのだが、変化も求めるのが人の常で、こうしてバリの写真を取り出して眺めてはその美しさを堪能している。
かつて数学者の岡潔が南洋の島の夕日をみて強烈な郷愁を感じたと書いていたが、まさに記憶の奥底に遺伝子的に残る遠い昔の光景に接した感がある。一言でいうなら懐かしさを覚えるのだ。
夜明けのアグン山も富士に似ている、現在は噴火の兆しが続いているが実に姿の良い山だ。
ほんの少し角度を変えるだけで語りかけてくるものが異なる。
この荘厳さはあの世と現世の交換のドラマと言ってみたい瞬間だ。
この夜明けを滞在するビラから毎朝眺めていた。バリでは6時前に起きていたので日本では朝寝坊になっていることを自覚した。この朝焼けが早起きの動機になっていたのだった。