マサの雑記帳

海、山、庭、音楽、物語、歴史、温泉、経営、たまに税について。

秋のそぞろ歩き

2016-10-15 23:38:22 | 日記
 秋の夕暮れであった。
空気の匂いとでも言おうか、知らず興を催す。
 
 百人一首中、季節の歌では秋の歌が最も多い。
不順な季節のめぐりの中で、久方の「らしい」天気である。
「らしい」とはいわば破調のない安穏さを示すのであろうから
その意味でようやくに訪れた「らしい」は「らしくない」のであり、
いつしか、「らしくない」天気や出来事が「らしく」なるのかもしれぬ。

 秋しかり、時代しかり、抜け毛しかり・・
衰微の兆しに琴線を揺らされるのは本邦の文学趣味の王道である。
されば、いささか青臭い書生気質を復活し
懐かしの水道橋、神田界隈から本郷を経て池之端へと歩く。
 この辺り一本入れば道幅狭く車少なく人少なし。
そこかしこに旧町名の案内板あり、築地塀や古い建築も楽しめる。
旧岩崎邸の石垣を見上げつつ、下る細い坂道の間に丸い月。

 不忍池に至れば、各国の人々が屋台のあれこれをつまみに
にぎやかに。のどが鳴りますな。
月にスカイツリー、弁天堂の朱、蓮の池に街明かり。
賑わいにベンチの恋人、子連れの夫婦、写真を撮る老人、流暢な英語を話すテキヤの若者。
 
 月と古今の建築の競演にスマートフォンを構える人がそこかしこに。
刹那を小粋に切り取りたいという衝動は時代を超えた普遍ですな。

 ざれ歌を一つ

池之端 
さんざめく秋 辯天の
月や かむばせ 空の木の杖

お粗末。