筑波山を望むとある片田舎のショッピングセンターにて。
20年前には盛況であったろう、内装も働いている人もややお疲れ気味の。
そんな場所の平日はゲームコーナーもキッズコーナーも人がまばらで。
色彩の乏しい広々とした空間の一角に、行列があり。
そこで私は一日を過ごしました。
3月15日は確定申告の期限です、お忘れなく。
というわけで税務署主催の申告会場。
応援して参りました、一応税理士として。
普段、顧客として会う人と異なり、
無償で相談に乗る利害関係のない方々。
手の甲に梵字の入れ墨を入れた20代後半の若者。
農家の跡継ぎでもないのに就農し、初めてレンコンを出荷して
初めての確定申告に来たそうです。2歳くらいの娘と奥さんと。
レンコンは寒い時期に、腰まで泥に浸かって収穫します。
かつてやんちゃであったろう彼がそこに行きつくまでの道のりを何となしに思い、
「この子が年頃になる頃には、きっと軌道に乗ってるね。頑張って下さい」
と言わずにいられず。
3年前に低体重で生まれた子供。多分心配で
「医療費控除」なんて考えもしなかったであろう私立高校の先生。
80を超えて足が痛いおばあさん。
還付される2万円で、値の張るサポーターの買い替えをするとのこと。
企業年金の源泉徴収票を見れば、都会で働いていたのかな?
そう思えば暖色の多い華やかなお召し物。
「後期高齢者医療保険・・まさか75歳以上ということではないですよね?」
破顔一笑。
敬語の使えないヤンママ。
旦那の好きな大型車のローンを
終わらせて、家を建てて、住宅ローン控除。
質問に対し「え?わかんない」を繰り返す。
去り際に、咳の多い男の子に「ほらバイバイしな」と。
子供にバイバイさせれば、田舎の人はたいてい笑い、容認してくれる。
器用ではない人が家族を持って得た処世なのかしらん。
立ち上がるとちょっとお腹が大きい。悪阻がきつい頃か。
資料をまとめて「ああ、もう一人いたんだね。がんばって下さい」
と送り出すとようやく笑顔。
余裕が無さそうだったから
適切なのは「頑張って」より「楽しみだね」だっただろうか。
取り越し苦労か。
税金の計算をすることはさほど面白いと思わない。
お金持ちや経営者と話すと、学ぶところが多いけれど
良いお金持ち、経営者になるほど、言うことが同じ。
ほぼ、思い付きで生きてきた私には、正しさはときに退屈。
けれど今日一日で9人の税金の相談ごとを聞いて
この仕事は様々な人生に触れることができる、と
改めて思った。
一瞬でも他人に共感できる喜び。
この感覚は踊り狂っていた頃に求めていたものと
同じ気がする。
そうそう、昼食はショッピングセンターの中の喫茶店で。
回鍋肉定食を食べてコーヒーを飲んだその店の名前は
フランス語だった。
そんなアンバランスさに翻弄されつつ
調和や秩序を取り戻そうとする、人の飽くなき営みは
まさに椎名誠の言うところの「オモシロカナシズム」。
だから、今日は久しぶりに文学に触れたように感じている。
20年前には盛況であったろう、内装も働いている人もややお疲れ気味の。
そんな場所の平日はゲームコーナーもキッズコーナーも人がまばらで。
色彩の乏しい広々とした空間の一角に、行列があり。
そこで私は一日を過ごしました。
3月15日は確定申告の期限です、お忘れなく。
というわけで税務署主催の申告会場。
応援して参りました、一応税理士として。
普段、顧客として会う人と異なり、
無償で相談に乗る利害関係のない方々。
手の甲に梵字の入れ墨を入れた20代後半の若者。
農家の跡継ぎでもないのに就農し、初めてレンコンを出荷して
初めての確定申告に来たそうです。2歳くらいの娘と奥さんと。
レンコンは寒い時期に、腰まで泥に浸かって収穫します。
かつてやんちゃであったろう彼がそこに行きつくまでの道のりを何となしに思い、
「この子が年頃になる頃には、きっと軌道に乗ってるね。頑張って下さい」
と言わずにいられず。
3年前に低体重で生まれた子供。多分心配で
「医療費控除」なんて考えもしなかったであろう私立高校の先生。
80を超えて足が痛いおばあさん。
還付される2万円で、値の張るサポーターの買い替えをするとのこと。
企業年金の源泉徴収票を見れば、都会で働いていたのかな?
そう思えば暖色の多い華やかなお召し物。
「後期高齢者医療保険・・まさか75歳以上ということではないですよね?」
破顔一笑。
敬語の使えないヤンママ。
旦那の好きな大型車のローンを
終わらせて、家を建てて、住宅ローン控除。
質問に対し「え?わかんない」を繰り返す。
去り際に、咳の多い男の子に「ほらバイバイしな」と。
子供にバイバイさせれば、田舎の人はたいてい笑い、容認してくれる。
器用ではない人が家族を持って得た処世なのかしらん。
立ち上がるとちょっとお腹が大きい。悪阻がきつい頃か。
資料をまとめて「ああ、もう一人いたんだね。がんばって下さい」
と送り出すとようやく笑顔。
余裕が無さそうだったから
適切なのは「頑張って」より「楽しみだね」だっただろうか。
取り越し苦労か。
税金の計算をすることはさほど面白いと思わない。
お金持ちや経営者と話すと、学ぶところが多いけれど
良いお金持ち、経営者になるほど、言うことが同じ。
ほぼ、思い付きで生きてきた私には、正しさはときに退屈。
けれど今日一日で9人の税金の相談ごとを聞いて
この仕事は様々な人生に触れることができる、と
改めて思った。
一瞬でも他人に共感できる喜び。
この感覚は踊り狂っていた頃に求めていたものと
同じ気がする。
そうそう、昼食はショッピングセンターの中の喫茶店で。
回鍋肉定食を食べてコーヒーを飲んだその店の名前は
フランス語だった。
そんなアンバランスさに翻弄されつつ
調和や秩序を取り戻そうとする、人の飽くなき営みは
まさに椎名誠の言うところの「オモシロカナシズム」。
だから、今日は久しぶりに文学に触れたように感じている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます