「桃子さんの❤こころ」
6月最後の朝日歌壇には ☆ が一つもない。梅雨の空には星がないように。
✿ 卓布という表記に明治を感じながら背伸びして読む漱石の 「こころ」
(名古屋市) 中村桃子
永田和宏選者が第6席に採りあげている。中村桃子さんはこの4月から中学生だ。漱石の 「こころ」 を読むには、若すぎる。でも背伸びして読んでいるらしい。 「卓布」 という言葉にとまどいながら「明治」という時代を想う。彼女がこの歌を詠んだのはひと月前だったであろう。朝日連載 こころ に 私 が 先生 の家を訪ね、食事を共にするシーンがあった。 「おめでとう」 と先生が 私 の卒業を祝ってカンパイ。
「卓布が白くかつ清らかに電燈の光を反射していた。先生の家で飯を食うときっとこの西洋料理店にみるようなリンネルの、、。」 今でも白いテーブルクロスの覆うレストランは高級だ、明治の頃はさぞかし、だったであろう。漱石は 「虞美人草」 でも 「いま白い卓布を挟んでハムエッグを平らげつつある」。と書いている。卓布は生活に潤いをあたえるインテリアのひとつ。来客の際の食卓のオシャレだったのだ。
桃子さんが 卓布 に注目したのはいかにも少女らしい。 私は テーブルのことを 卓子 と詠んだことはある。でもテーブルクロスを卓布などとは。 「こころ」 の心理描写はさておき、100年も前の日本人の生活を知ることを楽しみながら、連載の 「こころ」 を読み続けましょうね。 中村桃子さん。
今朝の朝日新聞に ✿小説家・水村美苗さんが 「漱石は死ぬまで自問自答していたと思います」
この記事は我が家のビニールの卓布の上に、、、。 7月1日 松井多絵子
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