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或るホームレス歌人を探る~その二十三

2013-02-05 13:50:53 | 歌う

         ★★ 「或るホームレス歌人を探る~その二十三」★★

     <公田耕一への提言>

 今までの公田の投稿歌には、「手」を詠んだ作品がない。啄木の「じっと手を見る」のように焦点を絞って感情移入した作品が少ないような気がする。
 入選歌は四十首だが、複数の選者に同じ作品が採られているため作品は二十八首である。彼の作品を云々するには少なすぎるが、総じて観念的ではないか。たとえば、「物語などあるならば」 
「親不幸通りと言へど」、「哀しきは」、「パンのみで」「見上げれば」「雨降れば」「歌作りゆゑ」「五月晴れとは」など予定調和の感じがする。作品がきちんとしている。もっと奔放に詠んでみてはどうか。そして具象的に。
 たとえば炊き出しのカレーの味、隣りに眠るブラジル人の様子や場所、配給のパンの感触などの描写があれば、作品はさらに真に迫るのではないか。
 啄木は平凡な日常のささいな瞬間を捉えた。歌会では題詠に意欲的で心の中にひそむイメージを作品化したらしい。「じっと手を見る」もイメージの作品かもしれない。ならば公田の作品が虚構でもかまわないと私は思う。 (あと二回で終わります。どうぞ最後までお読みください。次回は公田さんのフォロワーが続々登場します。アメリカ、松山、秋田、千葉などなど。 生意気なことを、一方的に書いている、老いてますます生意気な松井多絵子。)


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