えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

「終わった人」のこと

2018-06-10 15:21:27 | 歌う
▼ 休日を手に入れたのに彼のひとは「終わった人」になってしまった

新聞の朝刊の1ペ一ジに「終わった人」の映画の広告、しかも黄色いペ一シ、定年退職後の夫が妻たちに嫌われている話はあふれている。が「終わった人」とうタイトルは抜群だ、脚本家の内館牧子の才気が光っている。

「定年って生前葬だな」から始まる広告文を抜き出してみる。

🔘 自分そっくりだ。
🔘 思い出と戦っても勝てない。
🔘 定年予備軍こそ観ておくべき。
🔘新しい自分が生まれる時だ。
🔘 2度目は二人で観に行きます。

主演は館ひろし、黒木瞳、二人とも若く格好よすぎる。でも広告の夫はしょぼくれるた男、その妻は目つきが鋭い怖い女、それぞれ適役かもしれない。

広告の最後に「定年を迎えた男のまだまだ終われない人生の奮闘記!」

月子の第一歌集「眉月」

2018-06-05 12:56:14 | 歌う
六月号の「未来」に紹介されている「眉月」という歌集は昨年の10月に刊行された、月といえば秋、でも6月だからむしろ目立つのかもしれない。会員の歌集紹介に嶺野恵が取り上げている。

「表紙を開くと、見返しを紺色の空に浮かぶ細い月の絵が飾っている。
🌃 眉月とつぶやきしのちの
悲しみよ白き真昼の眉月となれ

この作品から歌集ははじまる。眉月とは女の眉に似た細い月、新月のことで月に寄せる作者の思いの強さ」

🌃 明日手術控へたる子の横に寝る阿蘇に寄り添ふ月の大きさ

🌃眉月を私と思ふかなしみも磨けばきっと輝けるはず

山田富士郎に師事する彼女の歌は6月の「無何有の郷」の欄の二番目に名古屋 月子 として掲載されている。

「未来」には 🔘大阪 青雅 🔘大阪 おはぎ 🔘金沢 聖 🔘横浜 詩穂 などなど 、男か女か姓か名かわからない出詠者がいる。その作品の多くは抽象的で性別がわかりにくい。

わからないことは愉しい、私も真似してみたくなる。「雲」はどうだろう。
松井多絵子 改め、 東京 雲

「平成じぶん歌」その一 佐藤弓生

2018-06-02 13:15:27 | 歌う
短歌研究6月号の特集は「平成じぶん歌」。いま歌壇で活躍している歌人8人の新作30首、平成が始まった30年前から、じぶんに起こったことを詠んでいる。読みながら私の平成を思う。

🔘人生はジョ一ク でしょうか このひとと四月一日届け出をして

佐藤弓生の第一首に驚く。あえてエイプリルフ一ルの日に結婚届けを出すなんて。この一連は私を引きつける。彼女の表現力の虜になってしまう。

佐藤弓生は2001年「眼鏡屋は夕ぐれのため」で第47回角川短歌賞を受賞している。2年前に「モ一ヴ色のあめふる」を書肆侃侃房から刊行し、出版記念会の二次会で初めてご一緒に飲んだ。楽しい方、彼女自身が詩歌なのだ。

🔘 ただ広いだけの平野にもどる日をゆめにみているような東京

🔘そこに立つひとはわたしを知らなかくて山手線のみどりまぶしい

🔘まだ雪がふりそうな春、日比谷線立ち入り禁止表示を過ぎて

この3首から佐藤弓生の東京への違和感が伝わってくる。

彼女は関西出身だが一緒に飲んでいたときは気がつかなかった。私は東京で生まれ育ちおそらく此処が終の地になるだろう。でも少女時代までの東京は残っていない。いまはビルの樹林の中で過ごしている。

佐藤弓生の歌に共感しながら「平成じぶん歌」を読んでいるがまだ五首目、私は読むのがとても遅いのでこの調子では平成が終ってしまうかもしれない。