植物園「 槐松亭 」

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印我応法 篆刻印を集める

2021年09月21日 | 篆刻
 篆刻の練習用の印材は100%ヤフオクの「印材まとめて数十本」で入手します。ホームセンターやネットでも、1本100円から300円ほどで容易に入手できますが、材質が粗く、印面も正方形にきちんと平らに成形されてないものが多いのです。ヤフオクに出て来る印は、ほとんどが数十年も前に販売されていたものなので比較的良材が出回った時期なのです。出品される印は、書道などで落款用に所有していたものが遺品整理や断捨離で出されるものがほとんどに見受けられます。そうした一般的な使用済み印がまとめて出品されていたら1個あたり数十円から100円見当で入札します。

 落札して届いた印は、それは、まさに玉石混交そのものであります。素人が力任せに彫った普及品の石から、篆刻家さんが側款をいれた見事な印面のもの(ほとんど例外なく良材を使用しています)までさまざま。印材は、旧抗の良質な青田石など彫りやすい石が多く、中には紐(持ち手の飾り)のついた石、芙蓉石や昌化石など美しい印材も紛れていますから、こうした当たりの石が入っているかどうかでワタシの幸福度はかなり乱高下いたします。

 入札品するかを見定める場合、①篆刻家さんの手によるもの ②明らかに高級印材 ③手彫りの紐・薄意(浮彫)のあるもの ④自然石の形を生かした印材(希少な石質、手間がかかってるもの)などがいくつか含まれているものを選びます。持ち手の獅子などの紐も、バイトさんがドリルを使って機械的に大量生産しているものは安物です。その道のプロの職人さんが、石の材質の層や色合いに合わせて手彫りした一点ものは観賞用にもなります。

 例えば下の印は27本で5千円で落札しました。いずれも未刻で、すべて良材と見ました。8本には値札も張られその合計だけで2万円弱、おそらく、プロの方が篆刻販売用に用意していたものでしょう。因みに」上の右5本は、機械彫りの安物の紐細工であり、せいぜい1本千円程度でしょうか。


 他に落札出来たものの半分以上は中古品、つまり刻字ありのものです。印影がワタシの腕より明らかに上手なものを選びます。専門家による紐が付いたもの、高級印材と思しきものも残します。篆刻家さんの銘入りの側款などが入ってるものも取っておきます。こうしてとりあえず処分留保したものを除いたら残りは印面潰しをいたします。つまり、練習するための再利用に用いるのです。そのために電動グラインダーを買いました。

 彫るときは苦労して何時間か何日かかけたものでしょうが、普通の大きさのものなら数秒で平らになります。故人や印を必要としない人たちにとっては、そのままだと無用の彫りなので石が死んでいる状態なのです。これを奇麗に削って磨いて新たに彫ればまた命を吹き込むことが出来ます。これを使用印を我が応用して使う方法、略して「印我応法(いんがおうほう)」呼びます(笑)。

 平らに削って磨いた印を毎日、名人の作をまねる「摸刻」で彫っています。すでに200本以上となります。これらはいつの日かまた削って再利用します。中にはとても彫りやすい良質な印材もありましたから、それは作品用に使おうと思います。

 選り分けて残った印は、永久保存、つまり何も手を入れないまま観賞用にするか、人に差し上げるために使います。いずれワタシが篆刻家となった暁には、高級素材の印は販売するときに付加価値がつく(高く売れる)わけです。また、名のある篆刻家さんの作ならば骨董価値もありましょう。

 そういう意味で、ヤフオクでの印材の落札は、商品用の良質の材料を着々と安く仕入れている、あるいは先行投資しているとも言えますね。石は傷みも腐りもせず不変であります。もしワタシが力及ばず、篆刻家への道が断たれ、その商売もとん挫すれば明らかに不良在庫となります。それでも大丈夫、その時はちびちびヤフオクに出品していれば、投下資金の何割かは回収できるでしょう。

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