どんな植物でも栽培するにはコツがあります。やってはならないこと、どうしてもだめな環境などを知らないと枯れさせてしまいます。ネットなどの育て方サイトでは、難易度などで表しておりますが、これはあくまで目安、実際育ててみないと分からないことが多々ありますね。
そして、もう一つは相性、育てる側の生活や癖、性格などでだいぶ様子が変わってまいります。そんなわけで、本日は槐松亭版、育てるのが難しい植物を紹介します。今回、多種多様な洋ランは割愛いたします。
1.エアプランツでありますな。チランジアが有名、樹からひも状に沢山垂れ下がるウスネオイデス、筒状の葉をもつアナナスの仲間などもたくさん流通しています。根が無く、空中から水分を取り入れる植物群です。100均でも買えます。耐寒性が低い種類が多いので観葉植物と一緒に室内で育てるのが一般的です。根が無いから普通の水遣りは無用、というより根元を腐らせるので禁物。
水は、朝夕の霧吹き(シリンジ)と、1週間~ひと月間隔で水に浸けるソーキングによりますが。これが曲者です。ほとんどが日中は乾燥を防ぐために水分を吸収する葉の表面の穴を閉じると言います。露や霧の出る夜だけ水分補給の空気穴を開くのです。ですから、室内の乾燥には強く、日中水を霧吹きしても無意味。水が多くかかると、株元に溜まって腐ります。ソーキングにしても、その品種によって数分から1時間以上水に沈め、取り出したら強く振って水を飛ばすので、熟練の知識が必要です。
また、エアプランツは、葉っぱが硬めで乾燥気味でもあり、水が不足しても過剰でも見た目に分かりにくいという難点もあります。ワタシは元来ずぼらなので、こういうのは苦手であります。最大の問題点は、普段置いている場所がマイオフィス(仕事場)で、日中しか出入りしないのです。夜に適度の湿度を保つ作業が出来ません。乾燥しっぱなしなのです。いつの間にか干からびてしまう、根腐れするで、かれこれ10本以上枯らしました。わずかにネオゲレリア3鉢、とイオナンタ一本が生き残りました。
2.オージープランツ カンガルーポーやジョーイセルリア、ボロニア、ハナカンザシ、ブラシの木などが有名であります。一部の例外を除くと高温多湿に弱く、また、耐寒性が低いなどの理由で枯れるものが多いのです。特に、水やりが葉にかからないようにするとか、雨にあてないとかいう栽培法は本当に無理なんです。
ユーカリ、ミモザアカシアなどの巨大化する植物は別にして、とにかく日本の風土に合いません。多年草や木質の植物なので1年で枯らすのはワタシの沽券にかかわるのですが、あらかた枯れます。巨木になるのを恐れて鉢に植えたミモザアカシアさえ枯らしました。今元気なのは耐寒性があり地植えした、銅葉が美しいコプロスマとドドナエア、グレビレアくらいのものです。
3.ラナンキュラス これはもう乾燥にも弱く多湿にも弱い、あっという間に根腐れします。長野県で大規模に栽培されているようですが、どんな育て方をしているか見てみたいもの。自慢じゃないが、買ってきても平均ひと月持ちません。切り花レベルであります。これも、水遣りを控え葉や茎に水がかからないように、と書かれています。かといって、水遣りをあんまり控えると一晩で萎れてぐったりとします。今年はとうとう一本も買いませんでした。
4.ホクシャ フクシアともよぶ釣鐘状の赤紫中心の花を咲かせます。可憐で花付きが良い大好きなのですが、これも多湿高温に弱いし耐寒性無し。一度だけずっと廊下に置いて育てた時、半年近く花が咲き続けましたが、あとはすぐにダメになり、以後何度か挑戦するもすぐに枯れました。似たようなものでオダマキも弱いですね。オダマキ・ホクシャは私的には半年草であります。
5.サボテン 笑うしかありません。ほったらかしで外に出しっぱなしでもどんどん大きくなる、馬鹿でも育てられる。ワタシにとって、これがダメなのです。観賞・観葉用で交配されたお高い種類なので、つい室内で過保護に育ててしまいます。日に当て、干からびないように定期的に水をやる、これで枯れてしまいます。サボテンの仲間で元気なのは、月下美人系だけです。なぜなら、例外的に水を好むからでしょう。棘もあるし、もうサボテンはやりません。
6.アジアンタム さわさわと風にそよぐ小さな葉っぱが素敵な植物。日の射さない熱帯のジャングルに自生するといいます。日光が嫌い、寒いのも嫌い、乾燥も嫌い、足もとが濡れてるのもいや、深窓の令嬢というか気難しさとひ弱さは筋金入りです。ちょっとの時間直射日光があたっただけで、葉がチリチリになり、もう元に戻りません。一度や二度なら枯れた葉を枝ごと除くと新たに細い茎が出てきたりしていますが、そのうち音もなくご臨終。根腐れもしやすいし、屋外で冬越しも出来ません。
上手く育ったのは一度きりでした。まだ勤め人だった頃、職場でこの鉢を置いていたんです。仕事の手が空くたびにシリンジ、ブラインドを下げて日には当てず、土日の休みの日は乾燥対策で段ボールに入れたりしていました。
いやいやきりがありません。ワタシは、植物全般一通り育てて「園芸家」たらんと精励邁進(笑)してきました。素人とはちょいと違い、それなりに経験と知識を積んできたつもりです。覚えきれないので植物用プレートに育て方・注意点も書いてあります。
しかし、日々の観察力や手間を惜しまぬ管理にまさるものはありません。愛情と熱意をもって丹精する、これが植物を元気に育てる秘訣であります。
これらの難易度の高い植物たちを育てて花を咲かせる満足感や醍醐味は一入であろうと思います。ある程度、それに特化して集中的に関心を寄せ、手間をかける人ならばさして難しくは無かろうとも。
朝から晩まで、剪定ばさみと殺虫スプレー・霧吹きとじょうろを携えて植物たちをチェックし世話をする、これが出来ないと偉そうなことは言えません。メダカやブログ、書道にまで手を広げて、どれも、中途半端になりつつ齢を重ねる自分の、愚かしさを嘆く今日この頃であります。
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