植物園「 槐松亭 」

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最終章 斉白石さんの篆刻印は本物か?

2022年09月25日 | 篆刻
これで、泣いても笑ってもお終い、5話に渡って綴ってきたヤフオクで入手した「斉白石印章」の、自己流鑑定の結果発表をいたします。

常識というものは、みんなが共有し、長い期間培ってきた経験と合理性に裏打ちされた概念であります。常識に従い生活し判断・行動の基にするのが恐らく正しく、大きな間違いを起こさずに済む秘訣でありましょう。一方、人類の科学や文明芸術や理論、産業・商売に至るまで、常識にとらわれず大成功を収めた先人がいました。変人が天才となり、常識を覆した世紀の大発見を行い、科学の進歩に貢献したことも事実であります。

今までの常識を疑う事、それが新境地を開き、思わぬ効果が得られることもあろうと思います。そんな気持ちでこの怪しげな石の調査に取り組んだのであります。常識的には、1万円で「中国のピカソ」といわれる巨匠の作品が入手できるはずが無い、ヤフオクなどに出品されるはずもない、であります。常識的な人は、1万円も惜しんで手に入れようとは思いません。しかし、世の中の多くの常識的な人が、当たるはずのない宝くじに嬉々として何万円も投じるというのも事実であります。

そこで空くじなしの宝くじを買ったようなものとして「気楽に欲目を排して」この鑑定にかかったのです。勿論鑑定に関しても篆刻・骨董品に関しても素人同然であります。様々な角度から調べ推理し想像を膨らませました。

そして鑑定結果
「大変精巧に作られた模倣品乃至贋作であろう」であります。そして注目の鑑定価格は、10万円!!としておきましょう。

印材も共箱も布袋・鑑定印までも、上等・丁寧な設えであり、専門の美術商や鑑定家の目を惑わすようなレベルのものであった、と考えます。日本で、目利きの印材業者、美術商、プロの篆刻家などの贋作集団によって、1938年作出の斉先生の真正の印の資料を基に、昭和の中後期頃(1960~1980年あたり)に作られたと想像します。それは白石さんが名声を博したのが1930年頃からですが、その価値が急に上がるのは本人が亡くなってから(1957年)と相場が決まっております。また、鑑定者とおぼしき「山中蘭径」さんが1975年に92歳 で物故しているからです。蘭径さんのお墨付き自体が本物なら鑑定時期はもっと前ですし、偽物なら亡くなってからの偽物制作なら本人が他界してからになりますね。

最初に購入した方は、恐らく骨董好きのお金持ちで、知り合いの美術商から持ち込まれたものを本物として数十万円から100万円ほどの値段で買ったのではないでしょうか。その後人手に渡ったり、鑑定に掛かったりするうちに「贋作」扱いに定まったのでしょう。

そして、こうした怪しげな品物・贋作群は、現在でもそれ専門のマーケットで安く取引されているのではなかろうかと思います。この印の出品者さんは、そうしたルートで安く仕入れてヤフオクで転売したのかもしれません。

ともあれ、よくできた品物だとむしろ安堵しているのです。ワタシの書道の師「藤原先生」からも、本物を上回るような贋作も多い、金儲けでないので、それで心が豊かになるなら良い事です、という言葉を頂きました。追加で投資した2万円、計3万円で色々学ぶことが出来ました。偽田黄石は無価値としても、残った1品は相応の市場価格であろうと思います。

実は、既に中国の大家の作款がある古印は、10個ほど所持しており、恐らくその全てが「贋作」・復刻版であろうと思っているのです。文彭さん、徐三庚さん、秋堂・王福庵さんなどの側款が刻まれているのを、偽物であることを覚悟して数千円から2万円以内で入手しているのです。これらは中国で伝統的に営々と作られている模倣品の可能性が高いのです。しかしながら「虚偽」の中に真実あり、まがい物バッタ物の中に、本物が紛れている、という浪漫を追い求めているのであります。

とはいえ、これにて、しばらくヤフオクは様子見といたしましょう。これ以上のめり込むと「散財」しかねません。何より、本来目指す篆刻家・書道の修練に精を出すことにしたいと思います。

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