ポシェットの中のカエルがある日、主張を始める。
「私は、ハナちゃんやエメラルドグリンのように足がないわけじゃない。
孫でもない。
カエルと言うだけでそれは、すなわち大人ということだ」
「自分の足で歩く」
「ポシェットも私のものだ」
「それ」
びたんっ
「お前が入れ」
「私が運んでやろう」
「いいか」
「よし」
「よいしょ」
「ぐぬ」
「同じ大人ではあるが、体格の差というものは認めなければならなかった」
「おとなげなかったな」
「きょうは疲れたからこのまま運んでもらうが、明日からは自分で歩くからな。
私はポシェットの飾りじゃないんだ。
ポシェットはお前にあげてもいいよ」
ポシェットのカエルの気持ちはわかったが、
わたし(ちの)は、ずっと失くすんじゃないかと気が気じゃなかったよ。
どうかこれからも、ポシェットの中にいてください。
お願いします。