去年、再発のCDを買って以来、
ムーンライダーズの『カメラ=万年筆』を、よく聴いている。
結構色んな音が重ねられてるのに、スカスカの印象。
……隙間が心地いい。
何かに激することはなく、
「ま、そんなもんじゃないの」と斜に構えた感じ。
この感じが板についてるアーティストに出逢うことは稀だ。
大抵、斜に構えたフリで止まってる。惜しいことだ。
スタート地点でゴールテープを切ったと思い込んでいる。
その思い込みの分、冷たさに欠ける。
咳、おなら、掃除機、水しぶきなど、
実に色んな効果音が入ってる。
結構ポップな曲を台無しにしそうな音が邪魔にならない。
バカみたいに聴き込んだ今では、
無いと違和感を持つくらいに馴染んでる。
ロックか? ポップスか? ニューウェーヴってやつなのか?
ジャンル分けは、得意な人に任せよう。
ただ、カッコ良く、メロディが覚えやすく、ノリやすく、
心地いい曲がたくさん詰まったアルバムだ。
元気は出ないが、いい気分転換になるアルバムだ。
でも、これを聴いて死にたくなって死んだ人がいても、
これまた、さもありなん。不思議と合点がいく。
……そんなアルバム。