イチローの調子が戻ったわけではない。
その証拠に、
たった一度の三連続安打で騒がれている。
もちろん、
また打てなくなる時期が来るかもしれない。
要は、まだ不安定な状態ってこと。
じゃ、日本代表には要らない。
状態の安定した他の野手を残して、
イチローを落とすべきか?
答えは、NOだ。
およそ勝負事である限り、
その勝率を、
極力落とさないよう努めるのが必須。
個々の戦力を冷徹に分析し、
あらゆる場合を想像して、
最も勝てる組み合わせを考えるのが当然。
イチローは、
打てるだけでなく、走れて、守れる選手。
日米通じて499盗塁の走塁と、
日米通じて15年連続ゴールドグラブ賞
(日本はゴールデングラブ賞)の守備、
……これらが戦力として必要なのは、
子供でもわかる理屈。
仮に一本も打てなくたって、
走塁と守備でお釣りがくるくらい、すごい戦力だ。
それを枉げて不要と考えるのは、
本気で勝つつもりがない人だ。
キャラクターとか発言に対する印象など、
つまらないことに囚われて、
一番大切なことを見失っている。
こういう、噂話レベルの些事は、
週刊誌やワイドショーが好んで扱う。
その程度の浅いゴシップごときで判断力が鈍ってるなんて、
全くもってお気の毒さまだ。
本末転倒も甚だしく、
見苦しいことこの上なし。
もちろん、
連覇が出来るかは、終わってみなくちゃわからない。
でも、イチローが、
そのために必要な戦力の一つであることは間違いない。
前回のとき、
アメリカに負けて落ち込んでるチームメイトを、
焼肉決起集会で鼓舞し、
士気を高めたことは、ただの美談じゃない。
それだけ勝利に凄まじい執念を持つ、
恐るべき選手がいる、ということ。
そういう選手に、
誰も達成出来ない、記録を生む力が備わっている。
……彼を含めた日本がどう戦うか、見所は結果だけじゃない。