ASIAの独り言

   

美しい日本

2007年05月25日 06時03分00秒 | 日記



罰ゲームでシッペされた。
今どき?……そう、今どき。

そりゃ、痛かったさ。
だってぇ、私の手首にぃ、
人差し指と中指だけじゃなく、
握った薬指の第二関節まで当たったんだもん。

下手くそは困るなあ、もう。
これじゃ、罰ゲームっていうより、
ただの暴力だよ。

カルシウム満タン、骨太で良かった。
親に感謝の日であった。
毎日おやつに、
小魚を甘く揚げたものを出してくれた。
今、鮮やかに思い出した。

夕方、色んな家でご飯を作る匂いがして、
そんな中、友達と自転車走らせたことも……
夜が夜として、一日の区切りを、
ちゃんと付けてた、素敵な時代だった。

今でも、実家に帰ると、それが生きている。
静かな夜に眠り、穏やかに動きだす朝に目覚める。
ご飯と味噌汁と焼き鮭。そして、ほうれん草のおひたし。
「こんなんで足るか?」必ず母は聞く。
むしろ、これが嬉しい。
この、素朴で真っ当な朝餉がありがたい。

何の話だっけ?……ま、いっか。






バック・ステージ

2007年05月02日 12時33分00秒 | 日記



とある、舞台の手伝いを頼まれた。
受付とかチケット切りとか。
当日のスタッフが足りないらしい。
違う分野に触れるのは、何事につけ新鮮なもの。

楽しみ。

小さな規模の、
俳優さんたちでお金出し合って作ってる舞台。
台本を書いて演出してる人が、座長さん。
いずれは売れて、規模を大きくしたいらしい。
夢は大きく……大切なことだ。

とりあえず稽古場見に来て、と言うので、
見学しに行った。
詳しい話は、そこで、とのこと。

座長さんが「七時から稽古始めます」
と言って、稽古場を出て行く。
タバコを吸いにいくようだ。
昨今の禁煙は辛いことなんだろうな。
私には、よくわからないけど。

結局何だかんだで稽古開始が七時半。
私の仕事場ではありえない話だ。
変更ということは、
・もともと立てた予定が甘い……か、又は、
・予定通り遂行する実行力がない……かのどちらかだ。
いずれにせよ、笑って済ませられることではない。
でも、稽古場は和やかだ。談笑の流れで、何となく始まった。

芸術は、かくもルーズなものなのか。

始まった稽古を見ていて、気が付いた。
俳優さんたち、みんな、声が小さい。
いや、正確に言えば、声に張りがない。
自然と言えば自然なのかもしれないけど、
何だか、乗り物酔いとかで具合が悪いときの自然さだ。
心なしか、表情も冴えない。顔色さえ悪い。
顔立ちは整ってる人たちなのに、ちっとも魅力的じゃない。

一言、生きてない。

見ていて切なかった。
だから正直、あまり見ていたくなかった。
ホントに好きなことをして楽しんでる人たちなのかな……
見始めて10分も経たないうちに、眠くなってきた。

本番一ヶ月前を切ってるのに、
みんな、台本を持っている。台詞もうろ覚え。
どうも、台本が、まだ完成していない様子。
(小さな舞台ではよくあることらしい……三谷さんもそうだとか?)

このルーズさも、私には理解不可能。
確かに、創造的な作業は時として遅れることもある。
でも、公演を企画として考えたとき、
この遅れが致命的だと誰も言わないのだろうか。
代案を立てるなり、他の書き手にも頼んでおくなり、
危機管理をしておくのは必須だろう。
そんなことを回りが言えないほど、
ワンマンな座長さんには見えないけど。

自分たちでお金出し合ってやってるんだから、
どんなやり方でやっていても、いいんだろう。
かかわる人、見に行く人以外には迷惑はかからない。
かかったとしても、大したことでもないんだろう。

でも、本気で売れようと考えてるとは思えなかった。
もちろん、実際に売れるかどうかは、私にはわからない。
でも、これだけは言える。
もし、売れなかったとして、そのまま解散したとして、
何の不思議も感じない。「だろうな」と納得するだろう。

私は降りた。理由は二つ。

・冷静に分析して戦略を立て、それを確実に実行する力がない。
 かと言って、
・若さゆえ、無知ゆえの我武者羅さもない。

これじゃ、奇跡さえ起こるはずがない。
なのに、飲み屋で大口叩いて、
「旨い酒を飲むために芝居やってるようなもんよ」
とクダ巻いてる姿を見て、がっかりした。

実は一ヶ月前……

同じ小さな規模の、別の集団の稽古場を見学に行って、
その上手さと情熱と職業意識に心を動かされていた。
まだ多少、事務的な部分でルーズさが残ってる気がしたけど、
やがて解消される道筋が見えていた。
何より、全員、本気で売れようという気持ちが漲っていて、
そのために何が出来るか、本気で考えて、本気で動いていた。
現場を仕切る演出の指示通りに物事が進んだ。みんなが協力していた。
稽古場には、いい緊張感があった。みんな、目がギラギラしていた。
でも、そこには、けじめの付いた楽しみがあり、
高いレベルでの、和やかさがあった。

眠気など感じなかった。
声もよく通り、勢いがあり、だから強弱がしっかり付き、
表情の豊かさが、不自然に見える一歩手前で抑制が効いている。
そこには、ちゃんと人間がいた。
だから、興味を持って見続けられた。
目に見えない、空気というものを完全にコントロールしていた。
私が素人判断で感心してる旨告げると、
「いや、全然まだまだです……」やりにくそうに呟く演出。

好きなことで生計を立てようと、具体的な目標を持つ人たちの集団だった。
彼らが追いかけてるのは、得体の知れない夢ではない。
何年か先に手にするはずの目標だ。
もちろん、だからと言って売れるとは限らない。
でも、彼らが売れたら、
やっぱり、何の不思議も感じない。「だろうな」と納得するだろう。

なのに、準備のしっかりしている彼らからは、
手伝いの要請が来ない。
半年以上も前から、受付を見付けてゲットしていたから。
残念。