いつになったら終わるのか?
……被災者と同じ思いで、
言えなきゃいけないなあってつくづく思う。
私は昔、失敗をやらかした。
阪神・淡路大震災のあと、
かなり復興が進んで、
普段のように戻ったのを知った。
職場の同僚と出し合った、
お見舞金を持って新幹線に乗った。
かつて世話になった上司の許へ向かった。
会うなり、上司は不機嫌だった。
……そして怒鳴られた。
「何しに来た! おまえの目は節穴か!」
呆気にとられる私を、
見晴らしのいい高台へ連れ出した。
「……まだ仮設住宅に住んでる人がいるんや」
眼下の公園に、
プレハブの家が十軒並んでた。
何軒かの前に洗濯物が干されていた。
「まだ終わってへんねん」
突っ返されたお見舞金を持って、
ホテルの部屋へ入った。
申し訳ないやら悔しいやらで、泣けてきた。
安全な、
離れたところからニュースで見て、
もう終わったと思い込んで浮かれてた。
自分の知り合い以外の人への、
想像力が、まるでなっていなかった……
そして、思う。
今回、被災してる人たちにとって、
全員が前のように暮らせる日が来るまで、
何も終わってないんだ。
……それは、
物理的なことだけでなく、
金銭的なことだけでもなく、
仕事のことだけでもなく、
身体のことだけでもなく、
心のことも含め、それら全てひっくるめて、
前のように暮らせる日が来るまで……