都内下町の、お蕎麦屋に入った。
先客なし。
店主が驚いて「いらっしゃい」……新聞を畳んで立ち上がった。
扉がガタついて閉まらない。
「あ、いいですよ、そのままで」
冷房の効率悪くなるけど……ま、いいか。
運ばれてきたお冷を一口いただいて、
カレー丼を注文。
しばらくして、きゅうりの浅漬けとカマボコが来た。
「今作ってるんで、つまみながら待ってて」
サービスいいなあ……
ビールを頼みたくなったけど、仕事前なので我慢。
三切れのカマボコがなくなった頃、カレー丼が来た。
……うわ、真っ黒。
大体、お蕎麦屋さんのカレー丼って、黄色か茶色だと思うけど、
これは、黒に近い。老舗の洋食屋のハヤシっぽい。
一口……味が濃い。辛さは普通。
美味しい。醤油が効いてるのかな。
具は鶏肉と玉ねぎ。トロミは強め。美味しい。飽きない。
大きめのお椀にお吸い物。
これも色が濃い。大阪人は苦手だろうな。
飲もうとしてビックリ……海老天が一本浮いている。
あとのせサクサクの逆、先入れグズグズの衣。
でも、その、おつゆを吸ってクタクタな衣がまた美味しい。
おつゆは、ちょっとしょっぱい。でも美味しい。
普通のお吸い物じゃないけど、いい。
残りの浅漬けをバランス良く挟み、
強烈な丼とおつゆを堪能……美味しかった。
（塩分摂り過ぎを気にし、おつゆは残した）
代金を払うと、「また来てください」と缶コーヒーを渡された。
とことんサービスいいな。