それは私が1人でバーにいた時の事だった。
一杯引っ掛けながら本を読んでいた私のもとに一人の男が現れた。
「読書中邪魔してごめんね。隣に座ってもいいかな?」
本から目を上げると、そこには青い目のオサレな男が立っていた。
すぐ後ろから、もう一人友達らしき男が来ているのが目に入った。
私はちょっと照れ臭そうに返事した。
「どうぞ。読書中っていうか英語の勉強中なの。よかったら手伝ってね」
彼は少しビックリしたような顔をした。
ま、そーだよね。
何もバーで勉強する事ないし、英語が喋れないってのも意外だっただろうし。ハハハハ!(乾いた笑い)
一応軽く名前だけ紹介しあったものの、彼は連れと話していたので、私たちはほとんど会話しなかった。
しばらくして連れがいなくなったかと思ったら、彼がまた話しかけて来た。
「君は何人なの?」
「日本人よ。あなたは?」
彼は完全な白人で、白い肌に青い目、ブロンド。
長い睫毛や高い鼻などなど、とても私からはかけ離れた容姿をしていた。
彼は微笑んで答えた。
「僕はこの国の人間だよ。でも、両親は違う国の出身なんだ」
「じゃああなた、英語もご両親の国の言葉も話せるのね」
「まぁね」
「羨ましいわ」
「そう?君は休みの時は何をしているの?」
「んー、今のところはこの街を散策したりしてるけど…あなたは?っていうか、あなた仕事は何してるの?」
「僕は今は大学生だよ」
だっ?!
ちょちょちょちょちょちょっと待って
じゃ、じゃぁあなた………
「ふふふ」
不意に彼が笑ったので、私は不安になった。
えっもしかして私、何か変な英語喋った??
正直この子とこんな騒がしいところで話すのも結構大変なのよ。
全然ゆっくり喋ってくれないし。
私は彼の腕に手を置き、すがるような姿勢で尋ねた。
「どうして笑ってるの?私、何か変なこと言った?それとも英語が変?」
すると彼は首を振り、私を見つめて笑顔を見せた。
「僕はただ、君の瞳を見ているだけだよ」
(΄◉◞౪◟◉`)
さらに!!
彼は私の背に手を回し、尋ねた。
「君、何歳なの?」
え゛っ
「わ、わたし、あなたよりずっと年上だと思うわよ」
「何歳?教えてよ」
「あなたは?あなたは何歳なの?」
「僕?」
彼は微笑んで答えた。
「21歳だよ」
ʕ ʘ □ ʘ ʔ
にっにじゅっっっっっ★☆?◾️!?!?
「21!?やだ!私、あなたより本当にずっと年上よ!」
「いくつなの」
「私31歳よ。あなたより10個も上だわ」
彼は怪訝な顔をして答えた。
「年齢はただの数字だよ。関係ないさ」
いやアンタ聞いたじゃん
ナンパされるっていうのは私の人生において、さして珍しい出来事ではなかったけれど、
大抵は年上か同い年くらいの人にされていた。
少なくとも、10個も年下の男のからナンパされるなんて、私が日本にいたらぜっっったいあり得ない!!!と思う。
そんな今世紀最大の出来事(それは言い過ぎ)を黙っていられるわけがなく、
私はバカ丸出しで会う人会う人にこの話をしていた。
日本人は皆そらすごいやと良いリアクションを返してくれたが、
外国人達は「この国ではそんなに珍しくないよーっていうか年上の女って日本ほど嫌がられないよ」という反応だった。
それは仁も同様だった。
『メイサさんは、20歳くらいに見えるから、年下の男たちもナンパしてみてるんだと思う』
右手でジュゥジュゥ音を立てるフライパンを振るいながら、逆の手の中でそう映し出された文章を見つめた。
ふーん?
仁さんもそう思うんだ。
ていうかそれって、仁さんもその一人だって事?
『ははは、そうかな。』
『メイサさんはモテそうだね』
『そんなことないよ(笑)』
『そういえばメイサさんは、僕の国の人とは話したことがある?』
『あるよ。日本にいた時の話だけど』
『本当?!』
それはもう、ちょうど10年遡った頃になるけれど。
当時私は女子大生で、友達と二人、近くの大学の学祭に遊びに行った。
当時私の友達は国際交流学科という学科に属していて、私なんかよりずっとインターナショナルな事をしていた。
けれど元々の性格が大人しいことや、日本で外国人と知り合うのは難しかったりして、外国人の友達というのは残念ながら一人もいなかった。
やや盛り上がりに欠けた学祭はいろんな意味で収穫ゼロと言って良い感じだったが、
そろそろ帰ろうかぁ…というところで私達は、街路樹の脇で一人佇むハンサムな白人を見つけたのだ。
おぉっ。
ブロンドにパステルカラーのストライプシャツがめっちゃ似合ってるじゃん。
しかも背も高いし、さっすが白人さん!
「ねぇね!あの外人さんカッコよくない?」
「え?あっ本当だ。うんカッコいいね」
「みずき、外国人の友達欲しいって言ってたじゃん!声かけに行こうよ!!」
「えぇっ?!」
「ね!話してみようよ」
「(笑)メイサがやってくれるならいいよ」
「オッケー任して。頼も〜!」
彼は、突然話しかけに来た私達にさして驚いた表情も見せず、でもちょっとヘラヘラと対応してくれた。
当然、この時私が話したのは日本語オンリーで、今思えば、さして英語も話せないのによく話しかけたなぁと自分の行動力に感心する。
だけど、彼は予想以上に日本語が堪能で、この大学で勉強している留学生だということがわかった。
フレンドリーな彼は、私の「この子国際交流学科だから友達になったげて!」というぶしつけなお願いを快諾してくれた。
当然私も含めて3人で連絡先を交換し、数日後、私は彼の提案で2人で飲む事になった。
「メイサは日本語を教えて、俺はメイサに俺の国の言葉を教えるのはどう?」とかなんとか言っていたけど、
後で聞いたら、好みだったから口実にそう言っただけだったとわかった。(笑)
まぁそんなもんだ。
『友達のために、仁さんの国の人をナンパしたのよ(笑)』
『本当?!メイサさんがどうやってナンパしたのか気になる(笑)』
『超普通だよ。この子の友達になって!って言ったの。他に言えることないし(笑)』
『メイサさんは自信がある。それがいいところ』
そ、そうか?
自信も何も、出たとこ勝負な性格なだけなんだけどなぁ。
そもそも、嘘は言ってないし、流石に一目惚れしたとかでもないし。
ま、その彼とは結局付き合ったんだけどさ。
私はふと思いつき、仁さんにこんな文章を送ってみた。
『じゃー、次は仁さんの番ね』
『僕の番?』
『そう。今度は仁さんが教えて』
私ばっかり過去の話したんじゃフェアじゃないもんね〜。
仁さんの話も聞かせてちょうだいな。
駄菓子菓子。
仁さんの反応は予想外だった。
続きます!
一杯引っ掛けながら本を読んでいた私のもとに一人の男が現れた。
「読書中邪魔してごめんね。隣に座ってもいいかな?」
本から目を上げると、そこには青い目のオサレな男が立っていた。
すぐ後ろから、もう一人友達らしき男が来ているのが目に入った。
私はちょっと照れ臭そうに返事した。
「どうぞ。読書中っていうか英語の勉強中なの。よかったら手伝ってね」
彼は少しビックリしたような顔をした。
ま、そーだよね。
何もバーで勉強する事ないし、英語が喋れないってのも意外だっただろうし。ハハハハ!(乾いた笑い)
一応軽く名前だけ紹介しあったものの、彼は連れと話していたので、私たちはほとんど会話しなかった。
しばらくして連れがいなくなったかと思ったら、彼がまた話しかけて来た。
「君は何人なの?」
「日本人よ。あなたは?」
彼は完全な白人で、白い肌に青い目、ブロンド。
長い睫毛や高い鼻などなど、とても私からはかけ離れた容姿をしていた。
彼は微笑んで答えた。
「僕はこの国の人間だよ。でも、両親は違う国の出身なんだ」
「じゃああなた、英語もご両親の国の言葉も話せるのね」
「まぁね」
「羨ましいわ」
「そう?君は休みの時は何をしているの?」
「んー、今のところはこの街を散策したりしてるけど…あなたは?っていうか、あなた仕事は何してるの?」
「僕は今は大学生だよ」
だっ?!
ちょちょちょちょちょちょっと待って
じゃ、じゃぁあなた………
「ふふふ」
不意に彼が笑ったので、私は不安になった。
えっもしかして私、何か変な英語喋った??
正直この子とこんな騒がしいところで話すのも結構大変なのよ。
全然ゆっくり喋ってくれないし。
私は彼の腕に手を置き、すがるような姿勢で尋ねた。
「どうして笑ってるの?私、何か変なこと言った?それとも英語が変?」
すると彼は首を振り、私を見つめて笑顔を見せた。
「僕はただ、君の瞳を見ているだけだよ」
(΄◉◞౪◟◉`)
さらに!!
彼は私の背に手を回し、尋ねた。
「君、何歳なの?」
え゛っ
「わ、わたし、あなたよりずっと年上だと思うわよ」
「何歳?教えてよ」
「あなたは?あなたは何歳なの?」
「僕?」
彼は微笑んで答えた。
「21歳だよ」
ʕ ʘ □ ʘ ʔ
にっにじゅっっっっっ★☆?◾️!?!?
「21!?やだ!私、あなたより本当にずっと年上よ!」
「いくつなの」
「私31歳よ。あなたより10個も上だわ」
彼は怪訝な顔をして答えた。
「年齢はただの数字だよ。関係ないさ」
いやアンタ聞いたじゃん
ナンパされるっていうのは私の人生において、さして珍しい出来事ではなかったけれど、
大抵は年上か同い年くらいの人にされていた。
少なくとも、10個も年下の男のからナンパされるなんて、私が日本にいたらぜっっったいあり得ない!!!と思う。
そんな今世紀最大の出来事(それは言い過ぎ)を黙っていられるわけがなく、
私はバカ丸出しで会う人会う人にこの話をしていた。
日本人は皆そらすごいやと良いリアクションを返してくれたが、
外国人達は「この国ではそんなに珍しくないよーっていうか年上の女って日本ほど嫌がられないよ」という反応だった。
それは仁も同様だった。
『メイサさんは、20歳くらいに見えるから、年下の男たちもナンパしてみてるんだと思う』
右手でジュゥジュゥ音を立てるフライパンを振るいながら、逆の手の中でそう映し出された文章を見つめた。
ふーん?
仁さんもそう思うんだ。
ていうかそれって、仁さんもその一人だって事?
『ははは、そうかな。』
『メイサさんはモテそうだね』
『そんなことないよ(笑)』
『そういえばメイサさんは、僕の国の人とは話したことがある?』
『あるよ。日本にいた時の話だけど』
『本当?!』
それはもう、ちょうど10年遡った頃になるけれど。
当時私は女子大生で、友達と二人、近くの大学の学祭に遊びに行った。
当時私の友達は国際交流学科という学科に属していて、私なんかよりずっとインターナショナルな事をしていた。
けれど元々の性格が大人しいことや、日本で外国人と知り合うのは難しかったりして、外国人の友達というのは残念ながら一人もいなかった。
やや盛り上がりに欠けた学祭はいろんな意味で収穫ゼロと言って良い感じだったが、
そろそろ帰ろうかぁ…というところで私達は、街路樹の脇で一人佇むハンサムな白人を見つけたのだ。
おぉっ。
ブロンドにパステルカラーのストライプシャツがめっちゃ似合ってるじゃん。
しかも背も高いし、さっすが白人さん!
「ねぇね!あの外人さんカッコよくない?」
「え?あっ本当だ。うんカッコいいね」
「みずき、外国人の友達欲しいって言ってたじゃん!声かけに行こうよ!!」
「えぇっ?!」
「ね!話してみようよ」
「(笑)メイサがやってくれるならいいよ」
「オッケー任して。頼も〜!」
彼は、突然話しかけに来た私達にさして驚いた表情も見せず、でもちょっとヘラヘラと対応してくれた。
当然、この時私が話したのは日本語オンリーで、今思えば、さして英語も話せないのによく話しかけたなぁと自分の行動力に感心する。
だけど、彼は予想以上に日本語が堪能で、この大学で勉強している留学生だということがわかった。
フレンドリーな彼は、私の「この子国際交流学科だから友達になったげて!」というぶしつけなお願いを快諾してくれた。
当然私も含めて3人で連絡先を交換し、数日後、私は彼の提案で2人で飲む事になった。
「メイサは日本語を教えて、俺はメイサに俺の国の言葉を教えるのはどう?」とかなんとか言っていたけど、
後で聞いたら、好みだったから口実にそう言っただけだったとわかった。(笑)
まぁそんなもんだ。
『友達のために、仁さんの国の人をナンパしたのよ(笑)』
『本当?!メイサさんがどうやってナンパしたのか気になる(笑)』
『超普通だよ。この子の友達になって!って言ったの。他に言えることないし(笑)』
『メイサさんは自信がある。それがいいところ』
そ、そうか?
自信も何も、出たとこ勝負な性格なだけなんだけどなぁ。
そもそも、嘘は言ってないし、流石に一目惚れしたとかでもないし。
ま、その彼とは結局付き合ったんだけどさ。
私はふと思いつき、仁さんにこんな文章を送ってみた。
『じゃー、次は仁さんの番ね』
『僕の番?』
『そう。今度は仁さんが教えて』
私ばっかり過去の話したんじゃフェアじゃないもんね〜。
仁さんの話も聞かせてちょうだいな。
駄菓子菓子。
仁さんの反応は予想外だった。
続きます!