めるつばうのおもうこと

めるつはミーム機械としてばうを目指します。

袋小路の男

2005-12-11 17:09:12 | めるつばうのおもうこと
絲山秋子。川端康成賞をとったものという部分で読んでみた。
ある男が好きになる。男でなくてもよい、好きになるということ。
好きだからいろいろつるんで、でも身体の関係はなくて、
それでも好きだから、つかず離れずの状態が何年も続く。
簡単に言えば腐れ縁。もちろんその一言では片づかない。
好きだからいたい。その”いたい”という感情は独占したい
と言うわけではなく、だからといって手放しでどうでも言い訳じゃない。
この距離感。この焦燥感。そして好きになること。

ある程度一緒にいれば、嫌じゃなければ好きになるし、それが続けば
恋心も出来得るだろう。しかし、それを敢えてそのままに放置し、追い込む
こともせず、だからいつまでもなんとなく付き合っていく。
そんなスタンスが解るような解らないような。
私には可能なのかどうなのか。
ぼんやりとしたしうたものが好きだ。二値で世界は割りたくない。
でもこと自分の感情は二値化したくなるときがある。
のめり込むか拒否するか。どうしてもそう言った方向を考えてしまう。
この小説はある意味での予定調和。その宙ぶらりんが最終結論なのだろう。

併録されていた。「アーリオ オーリオ」は最初、未来都市の話かと思った。
炉心というとついつい”原子炉”を思ってしまうのは確かに変だ。
以前、居酒屋でバイトのおにーちゃんが「サーバー空になりました!」
て叫んでいて、その時の私は”え?ファイルサーバ?DBサーバー??ダウンか”
だった。自分の尺度でものをみてはいかんです。
とりあえず、この小説は好き。特に主人公の中年男のお手紙が好き。
姪っ子はいろいろ書いてくるけれど、返事は星の生成だったり、科学知識になってしまう。
このすれ違いながらも同じことを語っている部分が好き。
ロマンチックと言う言葉を違うアプローチで思い描くところが面白い。
単純に私も星が好きだから物語に感情移入しやすかったせいだろうけれど、
こういうお手紙のやりとりは楽しそうだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。