散歩の閑人:メタ坊っちゃまのYOASOBI?

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日本疾病史1・疫病

2020年04月05日 | ★集メタ坊屋敷ごみ

今から110年ほど前、
著者:富士川游は疫病について、示唆に富む記述をしています。

疫病の種類は、雑多にして、屈指列挙するに暇あらず。
その中の一種にして、一定の時期に、同様の性状をもって、
国民の多数を侵すものあり。
これを綜括して、疫病と称す。
而して、疫病の発生は、社会状態の変動に関渉し、
国家の政治、経済、及び倫理に影響あること鮮少にあらず。
薬減すれば、国民発展の消長と、疫病の発生とは、
相伴ないで現わるること多きが故に、
疫病の学は、すなわち、
人類文化の歴史と密着して、互に相離るべからざるものなり。
(中略)
故に、疫病の自然史は、独り医家の、これを研究するに止まらず、
政治家、経済学者、僧侶及び詩人も亦、各々その当該専門の見地よりして、
この般の研究に従事するが故に、疫病の歴史に関する資料は、
多岐に渉り、幾多の方面に存するを見る。
(中略)
疫病は、その各種にありて、発生の状況、互に同じからず。
一定の国民の間に常住発生し、時期の区劃なきことあり。
これを風土病又は地方病と名づく。
これに反して、一定の地方に、時期を劃して、
突如として発生するものあり。これを流行病と曰う。
その程度の最も峻劇にして、全国に渉り、
国民の大多数を同時に侵すものあり。
これを大流行病(Pandemien)と称す。
而も、この三種のものは固よりその病性を一にし、
その発現を異にするに過ぎざるが故に、
彼此互に相移行し、判然これを分別すべからず。
ここの疫病として叙述する所のものは、
この三種のものを混同せること固よりなり。

続いて「名義」「年表」「病理」「療法」の別に、
古典籍から引用・分類して記述しています。

疫病に関する療法としては、
疫病は多種にして、これに対する療法も多岐に渉るので、
一概に論述することはできませんが、
すべてに通じて行われたことを、
大略として次のように挙げています。

予防法として、
禁厭(きんえん)と巫呪(ふしゅう)によって疫病を避ける方法。
つまり、僧侶や道士、巫女など力を持つものが書いた呪文のお札を貼ること。
また、薬品を用いる方法もあり、
最も広く行われたのは元旦に「屠蘇酒」を飲むこと。
つぎに、鬼人の来るのを阻止する方法。節分の豆まきがそれ。
雄黄(鉱物)、香油、焼酎等の薬品又はニンニクを鼻の中に塗るか入れる方法。
疫病のもとは口鼻から入るという説は古くから知られていました。
そして、毎年、疫病が流行るので、ついには疫神を祀り、
疫病が流行る、もしくは流行る頃合いに、
疫神の形を作り、みこし、はやしなどをして送り出す方法。

現実的に有効と思われる方法として、
蠅を駆除すること。
患者を遠く人家の離れた場所に隔離し、人が近づかないようにすること。
室内を薬草などを焼くなどして燻蒸すること。

記録された歴史の中に、しっかりと書き残されているにもかかわらず、
いつの間にか、その意味がわからなくなったり、忘れ去られてしまい、
過去のこととして顧みないまま「災いは、忘れたころにやってくる」のですね。


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