散歩の閑人:メタ坊っちゃまのYOASOBI?

若気の至りが過ぎてメタボでも、世遊びは辞められない。

うさぎドロップ

2011年08月20日 | ☆たまに娯楽

愛菜ちゃんは、ひょっとして小雪よりも艶っぽいかもしれない。
死んだおじいちゃんの隠し子として、6歳のヒロイン“りん”をつとめる芦田愛菜ちゃんは、もともと、初々しい演技を求めるがために子役経験の浅い子を2000人のオーディションの中から選ぼうとした結果、余りに演技力がずば抜けていたためにキャスティングされたそうだ。
そして、小雪と結婚したからか、これまで若者特有のキレたしぐさや薄っぺらな微笑みしか印象のなかった松山ケンイチさんの、落ち着いた雰囲気が演技の中に現れてきたような感じがするのは、“ダイキチ”を演じる松山さんの演技力かもしれないが、着実に落ち着いてきていると私は確信している。

とにかく、ところどころ、間延びしたカットや不要ではないかと思われるシーン、説明不足で少々違和感のある部分があるにしろ、なかなかよくできている映画だ。
子育ての大変さを表現し、それを少しずつ受け入れているうちに、親も子も育ち、育てられていくことが実感できる。
一人のうちは自由気ままで何の障害もない、それが子を持った途端に状況が一変する訳だけれど、その障害を一つひとつ乗り越えることに喜びを感じるようになる。
また、経験としていえることは、1人目はまったく子育てを初体験として無我夢中でやっていくけれど、2人目、3人目となるに従い、養育費にかかる費用の負担は増えつつも、子育てに関しては、急病以外ほとんど何の不安も感じなくなる。
劇中「子育ては臆病になる」というけれど、これは初めての子に対してだけだと思う。

まさか、臆病になるのが嫌で結婚しない人が多いとは思いたくないが、最後の方で、ダイキチの妹の彼氏が「結婚でもしてみるか?」と問いかけるシーンがある。
この映画を観て、そう思うカップルは多いかもしれない。
結婚を前提につきあっているカップルは、ぜひ観ておきたい映画のひとつだ。

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ところで、映画の中の設定について、マンガが原作の都合のいいストーリー展開だと割り切ってみる訳だけど、法的にみると、実際にはいろいろな手続が生じてくるので、解説しておこう。

おじいちゃん(鹿賀姓)が、お手伝いさん(吉井姓)と関係してできた隠し子。
母子手帳の表紙には、母:吉井昌子(正子)、子:鹿賀りんとある。
表紙の氏名欄は、所持者が勝手に記入する場合が多いので、これだけでは事情が判然としない。
さて、おじいちゃんはお手伝いさん・吉井正子とは結婚していないとすると、
吉井正子は未婚の母ということになると、その子・りんは、出生届と同時に母の戸籍に入籍となり吉井姓となる。
このとき、戸籍の父母欄のうち、母欄に氏名はあるが、父欄は空欄となり、親権者は母とされる。
これを父たる鹿賀姓を名乗らせるには、まずおじいちゃんが認知届を出す必要がある。
このとき、りんちゃんの父欄に認知したおじいちゃんの名前が記入される。
次に、父の姓を名乗る申立を親権者母が家庭裁判所に行い、審判を受けた後、子を父戸籍に入籍する届出をする。
この場合、りんちゃんは鹿賀姓になるが、親権者は母のままとなる。
これでは、同居するのに不自由する。親権がなければ保護者とは認められないため手続に支障が出るからだ。
もし、母が手続をしないようなら、父が親権者変更の申立を行って、その審判により子の親権者を父にする旨の届出をした後、親権者父が父姓を名乗る手続を家庭裁判所にして、入籍の手続を取らねばならない。
できれば、認知する旨を記入した出生届と同時に、父を親権者として協議した旨の届出を同時に行って、入籍の審判をするのがよい。
奥の手としては、出生届と同時か、それ以前に、おじいちゃんとお手伝いさんの婚姻届を出しておく。
次に離婚届と一緒に親権者を父と定める旨の届を提出すると、りんちゃんは鹿賀姓で親権者はおじいちゃんのままだ。
ただし、婚姻届は、夫婦共に婚姻を継続する意思の合意をもとに届け出るものであるから、りんちゃんを父戸籍に入籍させる手段として婚姻届を出すのはよろしくない。
なお、お手伝いさんに離婚歴がある場合、離婚後6か月を経過していないと婚姻届は出せないし、りんちゃんが離婚後300日以内に生まれた子だと話がもっと複雑になってくる。
次に、親権をもったおじいちゃんが死んでしまう。
遺言を残せばいいが、残していないようなので、親権は母となる。
親権を母にしたくないときは、母自らが辞任の許可を家庭裁判所に申し立てるか、母の親権喪失宣告の請求を親族が家庭裁判所に請求することになる。このとき、未成年後見人として河地ダイキチを選任するよう請求を行う必要がある。
りんは、鹿賀姓のままでいたいというから、家庭裁判所の許可を得てダイキチと養子縁組した場合、りんはダイキチの戸籍に入籍し、河地姓に変わってしまうため、養子縁組はできない。


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