私は、気分が、最低に落ち込んだ時には、時代劇小説や歴史小説を読む事にしている・・・年の瀬になって気持ちがどん底に落ち込んできたので、久し振りに、子母澤寛の新撰組物の三部作の一つで有る「新撰組物語」を読み出してみた。
作中、沖田総司の最後の日々と黒猫の話は、実にドラマチックだ・・・沖田総司は、京都から逃げ帰って、江戸の千駄ヶ谷池橋尻の植木屋平五郎の納屋に隠れていたのだが、病気はもう最後の段階まで進んでいた。死ぬ三日程前に俄に元気になった沖田は、庭に出て黒猫と出会うのだ。そして、その日と次の日に、黒猫を切ろうとして切れずに、二日目には、「ああ、ばあさん、俺ァ斬れない、俺は斬れない」と叫んで納屋に転げ込んで最早起き上がれなくなるのだ。
沖田総司は、黒猫を切れない程腕前が落ちた事を嘆いたのか、それとも、人切りだった自分の気力が黒猫でも切れない程衰えた事を嘆いたのか・・・私は、沖田総司が、無造作に人を切っていた侍としての自分から、死ぬ前に、ただの人の良い青年に返ったのだと、思いたい。
激動の時代を駆け抜けていった青年達に思いを馳せる・・・私なりの対処法だ。
『 黒猫も 餌貰いに来る 冬の庭 』
『 霜月や 私憤公墳 綯交ぜに 』 石 兎
作中、沖田総司の最後の日々と黒猫の話は、実にドラマチックだ・・・沖田総司は、京都から逃げ帰って、江戸の千駄ヶ谷池橋尻の植木屋平五郎の納屋に隠れていたのだが、病気はもう最後の段階まで進んでいた。死ぬ三日程前に俄に元気になった沖田は、庭に出て黒猫と出会うのだ。そして、その日と次の日に、黒猫を切ろうとして切れずに、二日目には、「ああ、ばあさん、俺ァ斬れない、俺は斬れない」と叫んで納屋に転げ込んで最早起き上がれなくなるのだ。
沖田総司は、黒猫を切れない程腕前が落ちた事を嘆いたのか、それとも、人切りだった自分の気力が黒猫でも切れない程衰えた事を嘆いたのか・・・私は、沖田総司が、無造作に人を切っていた侍としての自分から、死ぬ前に、ただの人の良い青年に返ったのだと、思いたい。
激動の時代を駆け抜けていった青年達に思いを馳せる・・・私なりの対処法だ。
『 黒猫も 餌貰いに来る 冬の庭 』
『 霜月や 私憤公墳 綯交ぜに 』 石 兎