徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:横山秀夫著、『顔 Face』(徳間文庫)~D県警シリーズ

2016年10月02日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行

D県警シリーズの『陰の季節』収録作品、『黒い線』で登場した似顔絵かき婦警・平野瑞穂のその後を描いた短編集です。

「だから女は使えねぇ!」と陰に陽に言われながら、自分でも自問自答を続けつつ、職務をひたむきに果たす瑞穂。どうも警察組織というものは個人の正義感とは相容れないようですね。もしかすると、女性だけでなく、男女問わず職員が大切にされていない、使い潰されているのかも知れません。大事にされるのは高級官僚ばかり、みたいな?

様々な対話に、「相手を尊重する」という要素がずっぽり抜け落ちてしまっているような粗暴さが印象に残りました。そんな厳しい環境の中で悩み、間違いながらも一途に頑張る瑞穂はけなげでいい子。心が折れそうになりながらも、踏ん張る彼女。果たして彼女の努力が報われることはあるのか?

日本ならではのドラマですね。こんなに戦わなくては認められない、いや、戦っても認められない男尊女卑社会・日本は異常としか感じられません。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


書評:横山秀夫著、『第三の時効』(集英社e文庫)

書評:横山秀夫著、『64(ロクヨン) 上・下巻』(文春e文庫)

書評:横山秀夫著、D県警シリーズ『陰の季節』&『刑事の勲章』(文春e文庫)

書評:横山秀夫著、『臨場』(光文社文庫)

書評:横山秀夫著、『深追い』(実業之日本社文庫)

書評:横山秀夫著、『動機』(文春文庫)

書評:横山秀夫著、『半落ち』(講談社文庫)