徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

リウマチ性関節炎の記録

2018年11月02日 | 健康

去年子宮体がん・卵巣がんになっただけでは飽き足らず、このたび「リウマチ性関節炎(Rheumatoide Arthritis)」の診断を受けました

正確にいつ発症したのか分かりません。夏に腕や肩が痛くなってたまらず整形外科にかかり、レントゲン検査で肩に異常がないことが確認されて、抗炎症剤を注射してもらって症状が落ち着いたということがありましたが、これがリウマチ性関節炎と関係があったのかどうかは不明です。

ただ、8月末に整形外科に行った時に左の人差し指に痛みがあって曲げられないという症状が出ていたので、これは整形外科の先生に言いそびれてしまったのですが、今考えればリウマチ性関節炎の症状の一つなのは確かですから、やはり発症は8月下旬なんでしょう。

そのうち手首が痛くなり、さらに左手の中指が痛くなり、とだんだん痛む部分が増えて行って、仕事柄タイピングすることが多く、腕を酷使していることによる腱鞘炎のようなものではないかと思っていて、休暇でスペイン旅行に行って仕事をしなければよくなるのではないかという希望をもっていました。

ところが、スペイン旅行の2日前に膝が痛み出し、それでもキャンセル料払うのが嫌で旅行に行ったのですが、どんどんひどくなる始末で…

左手は中指の腫れが目立つようになり、薬指も腫れ始めました。下は9月27日撮影。

右手は指は何ともなくて、手首が痛み、ペンを持ってサインしたり、ナイフで食べ物を切るということが困難になってました。

膝の痛みもひどくなって、階段の上り下り、特に下りるのが痛くてできなくなりました。この時点で、自分に何が起こっているのかさっぱり分からず、ちょっとパニックになっていました。Facebookに投稿したところ、FB友の医師が「リウマチ性関節炎ではないか」と指摘していましたが、結局その方が正しかったというわけです。

旅行から帰ってすぐに主治医のところに行き、いくつか原因が考えられるので、取り敢えず血液検査をすることになりました。取り敢えず痛みを抑えるために「Diclo KD® 75 akut」という鎮痛効果のある抗炎症剤を処方してもらいました。Dicloの自己負担額は8€。

10月8日に血液結果が出たとたんに、すぐにリウマチ専門医へ行くように言われ、予約まで入れてくれました。その結果というのが、アンチCCPという値で異常があり、正常値が<17 なのに、9592出てました。この値はリウマチ性関節炎に特有のものらしく、一般的なリウマチ因子の値よりも正確に「リウマチ性関節炎」を特定できるらしいですね。そこであまりにも極端な値が出たので、「緊急性が高い」と判断され、リウマチ専門医の予約も翌日に取れたんでしょう。

そういうわけで翌日、10月9日にリウマチ専門医のところへ行き、またしても血液検査を受け、超音波検査と触診の結果、「リウマチ性関節炎」の診断が確定しました。そして手足と肺のレントゲンを撮ってもらってくるように言われました。この、一か所で済ませられないシステムどうにかならないですかね?

それはともかく、取り敢えず抗炎症剤であるコーチゾン系「Prednisolon(20㎎)」、ビタミンD の「Dekristol® 20 000」、それからDicloを併用する場合に胃を保護するための薬「Pantoprazol」を処方されました。自己負担額はPrednisolonとビタミンDがそれぞれ5€、胃薬のPantoprazolは無料でした。

リウマチ専門医曰く、Dicloはただの鎮痛剤だそうで。とにかく最初から併用するのには抵抗があったので、Dicloをいったんやめて、Prednisolonを服用したのですが、そうすると痛みがひどくなったので、しばらくDicloを併用することにしました。2週間後にはDicloなしでも痛みがなく、大丈夫になりました。

ビタミンDは2週間に1回服用するように言われたので、これはOutlookに2週間ごとにリピートする予定を作成して管理することにしました。

さて、10月15日にボンの放射線科ネットワークのクリニックの一つでレントゲン撮影をしてもらってきました。ネットワークには7件のクリニックがありますが、レントゲン撮影をするのはそのうちの2ヶ所のみ。紹介状さえあれば、予約なしですぐにやってくれるとのことでしたが、1度目は担当者がかぜで代理が見つからなかったという理由で断られ、2度目は行った時間がちょっと遅かったため、「今日はもう一杯」と言って断られ、3度目の正直でなんとかなりました。待ち時間込みで撮影からレントゲン写真のプリントアウト(下の写真)を貰うまで40分ちょっとで済んだので、他のクリニックに比べれば速いほうですね。

結果は、「肺にも骨にも異常なし」でした。やれやれ😥

右手首はまだ可動範囲が制限されていますが、一応包丁でものを切ったりするくらいはできるようになりました。左手の指関節の腫れは完全に引きました。膝の痛みもなくなり、残るは右手首を曲げた時の痛みだけとなりました。

10月30日にレントゲン撮影の結果と、腫瘍医の最新の診断書をもって再度リウマチ専門医のところへ行きました。

新たに処方された薬は、抗リウマチ薬メトトレキサート(Methotrexate)のMetex(週1で注射)、葉酸(注射を打つ日に服用)、そして低濃度(5㎎)のPrednisolon。自己負担額はMetex 10€、Prednisolon 5€、葉酸は全額負担で3.49€。

コーチゾン系のPrednisolonは長期間服用してはいけないので、段階的に減らすようにとのことで、14日ごとに2.5㎎ずつ減らし、最終的に1日5㎎までにするというこれまた面倒な指示を出されました。仕方ないので、これもOutlookで2週間ごとに服用量、「17.5㎎」、「15㎎」、「12.5㎎」...を書いた予定を作成して管理することにしました。

週1の注射と葉酸もOutlookにリピートアポを作成しました。まあ、「週1なら毎週何曜日にはこれ」と決めてれば忘れることはないと思いますが、Prednisolonの段階的減量と2週間ごとのビタミンDもあってややこしいので全部Outlookで管理すれば間違いはなかろうと思った次第です。こうしておけば、あとはリマインダーが来るまで何も考えなくていいので楽ですね。

Metexの注射開始3~4週間後に血液検査で腎臓と肝臓の値を調べて、異常がなければそのままずっとMetexを使用することになります。その血液検査は主治医のところでやってもらえというので、これも忘れないようにOutlookに入力。私のOutlookカレンダーは医者のアポと薬の予定でいっぱいになってる気がします。

 

さて、この「リウマチ性関節炎」は「関節リウマチ」とも言いますが、一般的にいう「リウマチ」とは全く別物だということを自分がなってみて初めて知りました。いわゆる「リウマチ」には軟骨がすり減ることで引き起こされる関節症と、神経が走行する背骨のトンネルが狭くなることで引き起こされる神経痛が含まれるそうですが、「関節リウマチ」は加齢による磨耗現象とは関係なく、自己免疫疾患と言われています。免疫系が自分の関節を攻撃して炎症を起こし、進行すると関節が破壊され、変形して動かなくなってしまう病気です。早期に発見して適切な治療を行えば、症状をコントロールして関節破壊が進行するのを防ぐことができるとのことです。治すことはできない慢性疾患なのが残念です。

発症は多くの場合30代半ばから50代半ばで、女性に多い(男性の3倍~4倍)そうです。原因は不明ですが、遺伝的要素や、なんらかの感染症がきっかけでなることが多いようです。抗がん剤治療との関係を疑いましたが、臨床的エビデンスはないそうです。

このため、去年の8月~11月に受けた抗がん剤治療の明らかな後遺症と言えるのは歯周病だけのようですね。親知らずを含めて歯を5本も抜かれてしまいました。1本だけは歯根治療で何とか延命できましたけど。今月23日に抜歯でできた隙間をどうするか歯医者と相談する予定です。

それはともかく、リウマチ性関節炎は世界人口の約0.5~1%の人がかかっている、かなり頻度の高い疾患で、ドイツでも約80万人の患者がいるそうです。つまり宝くじに当たる確率よりもずっと高い確率でなる病気なので、抗がん剤治療を受けなくてもなっていた可能性はあるわけで、まあハズレくじをひいたとあきらめるしかないですね。なってしまった今となっては、標準治療が功をなして関節破壊を防げることを祈るしかありません。


書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル13 三つ首塔』(角川文庫)

2018年11月02日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行

『三つ首塔』(1955)は、少女時代に両親をなくし、伯父宅に引き取られた宮本音禰に突然アメリカにいる遠縁の佐竹玄蔵から100億円もの遺産を相続する話が舞い込む所から始まる連続殺人事件の話です。語り手は宮本音禰本人。音禰の遺産相続の条件は、高頭俊作なる人物と結婚することで、この結婚が成立しない場合は、佐竹玄蔵の兄弟の血を引く子孫(音禰のほか7人の女性)の間で等分に分けて相続されることになっています。

音禰の伯父上杉誠也の還暦の祝いの席で、先ずダンサーとして舞台で踊っていた佐竹一族に属する笠原操が毒殺され、また別室で上杉の依頼した秘密探偵岩下三五郎に連れられてきた、音禰と結婚することになっている高頭俊作が殺され、また、この男が本当に高頭俊作であるのか確認を取ろうと岩下三五郎を探すと、その彼もまた殺されていたという、のっけから三重殺人が起こります。またこの日音禰は殺された高頭俊作のいとこだという高頭五郎(その他数多くの偽名あり)と運命的な出会いをし、なんと純潔まで奪われてしまいます。このことを隠すために、彼女は警察の調べにうその証言をしてしまいます。また、後日高頭五郎に連れ回されて、他の佐竹一族の様子を見に行きますが、皆揃いも揃っていかがわしい場所でいかがわしい仕事をしており、バックに男がいることが判明しますが、そのうちの一人が殺されている現場の隣の部屋に居合わせてしまい、うっかり指紋を残してしまったためにあらぬ疑いをかけられて高頭五郎と逃避行する羽目に陥ってしまいます。

こうして彼女が以下に他の佐竹一族およびその背後にいる男たちに干渉され、殺人現場に居合わせてしまったが巻き込まれた立場で語られるので、推理小説というよりはサスペンスの色合いの方が濃厚です。その彼女と高頭五郎が解き明かす謎は、相続に決定的な役割を果たすらしい「三つ首塔」です。明らかにされていく過去の因縁はなかなか興味深いです。

殺人犯を追うのは金田一耕助と等々力警部のコンビで、最終的に金田一耕助が音禰たちの窮地を救うことになります。死者10人。これまで読んだ横溝作品の中では最多ですね。それでも音禰たちにとってはハッピーエンドなので、読後感は悪くありません。


書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル1 八つ墓村』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル3 獄門島』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル4 悪魔が来りて笛を吹く』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル5 犬神家の一族』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル6 人面瘡』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル7 夜歩く』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル8 迷路荘の惨劇』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル9 女王蜂』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル10 幽霊男』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル11 首』(角川文庫)

書評:横溝正史著、『金田一耕助ファイル12 悪魔の手毬唄』(角川文庫)