徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:松岡圭祐著、『高校事変 XI』(角川文庫)

2021年09月20日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

しばらく小難しい積読本の消化すべく頑張ってましたが、続き物の新刊が出たとなれば話は別です。
松岡圭祐の書下ろし新刊、『高校事変 XI』は引き続きスプラッターな展開を見せています。

圧倒的な財力・軍事力・機動力で優莉家長男・架祷斗は慧修学院高校襲撃事件後、日本での緊急事態庁の設立を成功させ、日本を裏から支配する基盤をどんどん固めて行く中、優莉家三女・凜香の実母・市村凜は架祷斗の牛耳る緊急事態庁分室を根城にして、かつて自分を刺した女への復讐を果たすために娘を利用します。その女とは、『探偵の探偵』の紗崎玲奈。
優莉家長女・智沙子も架祷斗の意に従って人工筋肉を身につけ、秘かにいじめ殺された弟の復讐を果たす。
ヒロインの優莉結衣は死んだことにされていたものの、何とか北朝鮮経由で帰国を果たし、市村凜と凜香による紗崎玲奈の殺害を阻止します。
そんな中、智沙子と結衣の母親が昭和・平成時代に二度も日本を滅亡させそうになった凶悪テロリスト・友里佐知子であることが判明します。犯罪史に残る凶悪な半グレ連合リーダーで死刑になった父が優莉姓の戸籍を作ったのは実はこの友里佐知子との共謀によるもので、ローマ字書きすれば同じYURIで国際的な裏社会では通りがいいからだったとか。
友里佐知子は『千里眼』シリーズの最初の方に登場する敵キャラです。まさかここで絡んでくるとは意外でした。

さて、結衣と長男・架祷斗との対決はどうなるのかとハラハラしながら読んでいたのですが、なんと話半ばで結衣が架祷斗に雇われた中国系凶悪兄弟に人質を取られて捕まってしまい、処刑されてしまいます。え、そんなまさか!
もちろんヒロインが死ぬことはありません。種明かしは後にあります。
中国系凶悪兄弟に日本の5都市を原爆でテロ攻撃させるという架祷斗の野望が結衣によって水を差されたため、ここぞとばかりに架祷斗に弱みを握られていた首相が状況を利用して巻き返しを図り始め、ついに結衣本人が架祷斗の前に現れるところで11巻は終わっています。次こそは最終巻でしょうか。
松岡圭祐の作品はおもしろくて好きですが、バイオレンス系でない方がやはり安心して読めます。

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